引退試合で「あれはロマンでしょ」 鹿島OBも勢揃い…憧れコンビが結成「もう見たくて見たくて」

興梠慎三の引退試合に豪華メンバーが揃った
昨シーズンを最後に浦和レッズで現役を引退した興梠慎三氏が、12月13日に埼玉スタジアムで引退試合を行った。キャリアのスタートで所属した鹿島アントラーズと、引退までプレーした浦和の対戦形式になったが、鹿島側で出場したDF昌子源(FC町田ゼルビア)は鹿島関係者にとっても良い1日になったと振り返った。
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「URAWA REDS 2017 vs KASHIMA ANTLERS 2007-09」と銘打ったゲームは、興梠氏が双方のクラブで活躍し、黄金期を迎えた時期のメンバーが中心に招かれた。それだけに、2007年から09年のリーグ3連覇が軸になった鹿島サイドは、そこから約10年後に黄金期を迎えた浦和と比較すると、少し年齢層が高いチームだった。それでも、興梠氏はこの1日について「0-0で終わっても良いからガチの試合を」と宣言していた。
興梠氏も「自分が『ガチでやる』と言ってしまったので。特に前半の方々は年齢も、引退してからだいぶ長い間だったので、試合中も『きついよ、きついよ』と言われながらもやってくれました」と明かした。鹿島の守備陣は53歳になったU-22日本代表監督の大岩剛氏と43歳の岩政大樹氏のコンビ。そこに、引退してから1年の興梠氏や、母国ブラジルで現役選手として活躍するFWラファエル・シルバらの浦和攻撃陣が襲い掛かる構図だった。
ベンチで見ていた昌子は「オズワルド(・オリヴェイラ監督)から開始5分で動いておけって言われて」と笑ったが、11年に鹿島に入団してスタートしたキャリアだっただけに「呼んでいただけるのは嬉しかったですし、この空間にいられたっていうのが。久々に(大岩)剛さんと(岩政)大樹さんのコンビで、あれはロマンでしょ。鹿島のセンターバックからしたら、もう見たくて見たくて」と、ワクワクしながら過ごしていた部分もあったという。
また「ちょっと懐かしいっていうか、昔の選手のチャントなんて、今はあんまり聞けないじゃないですか」と笑顔を見せ、「僕、(田代)有三さんのチャントとかめっちゃ好きで、個人的には知らん間に手拍子してました」と、久々に味方として聞く鹿島サポーターの声援も楽しんでいたと明かした。
ハーフタイムには、2人の先輩センターバックから「2-0でつないでやったぞ」と声を掛けられて後半からピッチへ。主役とはいえ興梠氏には絶対にゴールを決めさせないという思いも持ちながらプレーし、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)のアシストからゴールを決めた。最終的には浦和の3-1で終わった試合だったが「こっちの右サイドの西(大悟)、遠藤(康)と、浦和のマキ(槙野智章氏)とウガ(宇賀神友弥氏)のやり合いとか久々に見て、懐かしいなあと思ってました」と、当時の激闘の記憶も蘇っていたと1日を振り返った。
興梠氏は試合後、浦和時代には一度も行かなかった鹿島サポーターの陣取るゴール裏へ出向き挨拶をしていた。「鹿島のことを嫌いになったわけじゃなくて、僕は今、浦和レッズの人間だというのを自分の中で噛みしめて、あえて行かなかったんですよ。本当は行きたかったんですけど、今のタイミングじゃないと思いながら、それが11年間続いたので鹿島のファン・サポーターに申し訳ないという思いがあった」と話したが、それもこの日で消化された。
興梠氏の希望で、お祭り試合ではなく、今できる中での全力を尽くして勝負をする試合になったからこそ、”アウェー”を戦った鹿島の選手達やファン・サポーターにとっても鮮明な思い出に残る1日になっただろう。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)





















