海外リーグのリアルな“人気度”を徹底調査 年代別で大きく差…若年層が注目するリーグ

海外リーグの“人気度”の実態とは?(写真はイメージです)【写真:ロイター/アフロ】
海外リーグの“人気度”の実態とは?(写真はイメージです)【写真:ロイター/アフロ】

国内最大手の調査会社「インテージ」が調査

 来年6月に北中米で開催されるFIFAワールドカップ2026の組み合わせ抽選会が現地時間12月5日に行われ、日本代表の相手はオランダ、チュニジア、欧州プレーオフBの勝者に決定した。より海外サッカーへの関心が高まる中、国内最大手の調査会社「インテージ」は、幅広い年代を対象に海外リーグに関心を持つ582人にリサーチ。日本人が最も関心を寄せる海外リーグの実態に迫った。(取材・文=インテージ・中川大輔)

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 日本人が最も関心を持っている海外サッカーリーグの1位は「プレミアリーグ」だ。

 年代を問わず、プレミアリーグの存在感は群を抜いている。なぜプレミアなのか。豊富な資金力を背景に、マンチェスター・シティFWアーリング・ブラウト・ハーランドをはじめ世界的スター選手が集結し、試合のクオリティの高さは他の追随を許さない。加えて、日本人選手の活躍がある。稲本潤一や中田英寿、香川真司、吉田麻也、岡崎慎司といった先駆者に続き、近年では三笘薫や冨安健洋、鎌田大地、遠藤航、田中碧らがプレミアの舞台で存在感を示している。「世界最高峰のリーグで日本人が戦っている」という事実は、日本国内の視線を自然と引き寄せる。

 さらに見逃せないのが、リーグ側の巧みな放映権戦略だ。プレミアリーグは早くからグローバル展開に積極的で、日本国内でも視聴環境が整っている。2025~2026シーズンも「U-NEXT」を通じて、テレビだけでなくPCやスマホでいつでもどこでも観戦できる。実際、過去1年以内に有料配信などで海外リーグを視聴した人のうち、プレミアリーグを観た人は64.8%。約3人に2人がプレミアを選んでおり、圧倒的な強さが数字にも表れている。

 では、2位はどのリーグだろうか? ブンデスリーガ? それともセリエA? 答えは「ラ・リーガ」である。そして、3位以下では年代別で特徴が出てくる。

 年代が変わっても、海外リーグへの関心構図に大きな違いはない。1位はプレミアリーグ、2位はラ・リーガが全世代から高い関心を集めている。全体ではセリエAが3位だが、15~29歳に限って分析すると「ブンデスリーガ」が3位に浮上する。

 この違いには、世代ごとの“原体験”が色濃く影響している。

 ブンデスリーガは、ここ10~15年にわたり、日本人選手が継続的に活躍してきたリーグだ。特に若年層は、子供の頃から「ブンデスリーガで活躍する日本人」を見て育った世代であり、自然と興味を持ちやすい。さらに、SNSで流れるハイライト動画やゴールシーンを通じて「日本人が強豪相手に活躍している」という実感を得やすいことも人気の理由だろう。加えて、ブンデスリーガは若手育成に定評があるリーグとして知られている。「若い選手が成長していくストーリー」が見えやすく、同世代のファンにとって魅力的に映る。

 一方でセリエAは年齢が高い人ほど関心を持っている。その背景には、1990年代~2000年代前半に「世界最高峰リーグ」として君臨していた時代を経験したファンの存在が大きい。40代の筆者も世界最高峰リーグと言えば「セリエA」の印象が残っている。1998年に日本代表が初めて出場したフランスW杯、そして中田英寿の出現により、日本で海外サッカー人気が広まった頃、テレビ中継や雑誌で最も多く取り上げられたのはセリエAだった。ユベントス、ミラン、インテルといった名門クラブのスターたちは、当時のファンにとって“原体験”として記憶に残っている。年代ごとの原体験の違いが、現在の関心順位に影響している点は非常に興味深い。

若年層はフランス・オランダ・ベルギーにも注目

 海外リーグに関心を持つ人(582名)に、どのリーグに関心があるか複数回答で尋ねた結果では、年代による特徴があった。若年層(15~39歳)に注目すると、フランス、オランダ、ベルギーの3リーグへの関心が40~69歳と比べて高い。フランスリーグの関心度は15~39歳が33%(40~69歳は23%)、オランダは15~39歳が23%(40~69歳は14%)、ベルギーは15~39歳が21%(40~69歳は10%)となっている。

 最も年代差が大きいのは「ベルギーリーグ」である。ベルギーリーグの関心度が若年層で高い背景には、周知の通り「シント=トロイデン」の存在が大きい。2017年に日本企業がオーナーとなって以降、日本人選手を積極的に受け入れ、毎シーズン複数の日本人選手が在籍。メディアで取り上げられるだけでなく、日本語の公式サイト、SNSの日本公式アカウントがあり日本との接点が多い。この点も、ベルギーリーグを身近に感じさせ、若年層の関心を押し上げている。今季も、日本代表DF谷口彰悟や11月に初選出されたFW後藤啓介など、7選手が所属している。

 日本人が注目する海外リーグには世代ごとの傾向がある。プレミアリーグが圧倒的な支持を集め、ラ・リーガやブンデスリーガ、フランス、ベルギーなども世代によって存在感を示す。その背景には「どの日本人選手を見て育ったか」「どのリーグに触れたか」という原体験の違いがある。

 さらに2026年、カナダ、メキシコ、アメリカで史上最大規模のW杯が開催される。48か国の代表選手のプレーを目にすることで、日本人に“新しい出会い”が生まれ、海外リーグへの関心が広がる可能性は十分にある。海外で活躍する日本人選手の動向とW杯での発見。この2つが重なり、日本のサッカーファンがどのリーグに視線を向けるのか、今後の動向に注目したい。

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株式会社インテージ

 株式会社インテージは1960年に創業。インテージグループとしてアジアNo.1*であるマーケティングリサーチ/インサイト事業に加えてマーケティングソリューション事業を展開し、9か国の海外拠点とともに国内外の企業・団体のマーケティング活動を総合的に支援している。事業ビジョンとして“Create Consumer-centric Values”を掲げ、深い生活者理解とデータ活用の高度化による顧客企業支援を通じ、生活者の幸せの実現を目指している。
*「ESOMAR’s Global Top-50 Insights Companies 2025」に基づく(グループ連結売上高ベース)

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