欧州→鹿島復帰「どれだけのことを犠牲に」 再結集した4人…鈴木優磨が語った「報われたな」

鹿島アントラーズの鈴木優磨【写真:徳原隆元】
鹿島アントラーズの鈴木優磨【写真:徳原隆元】

鹿島の鈴木優磨「示す大変さというのはこの4年でものすごく痛感していました」

 鹿島アントラーズが、9年ぶり9回目となるJ1リーグ優勝を飾った。12月6日にメルカリスタジアムで行われたJ1リーグ最終節で、横浜F・マリノスに2-1で勝利。喜びを爆発させたのは、9年前の優勝を知る一人のFW鈴木優磨。2022年に復帰してからはもがき続け、「本当に報われたなという感覚」と噛みしめた。

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「長かったですね。大変な時期の4年間。帰ってきて4年目になりますけど、本当に苦しい時期がたくさんあったので、続けてきてよかったなと思っています」

 普段は多くを語らず、ピッチで見せる男。そんな印象も強い鈴木が、この日はミックスゾーンで15分以上も報道陣の質問に答えた。

「一つ一つの積み重ねかなと思いますね。日々の練習でチームとして足りないことをしっかり一つずつこなしてきた結果が、今回の結果につながったんじゃないかなと思います」

 2019年7月にベルギー1部シント=トロイデンVVに移籍し、2020-21シーズンには17ゴールをマーク。欧州でも実力を示したが、2022年1月に鹿島へ完全移籍で復帰した。しかし、2022年は4位、2023年は5位、2024年は5位と優勝に届かず、カップ戦でもベスト4が最高。常勝軍団がタイトルから遠ざかっていた。

 その期間、「正直、一番僕が責任を、負けたときには負っていたと自分で思っているんですけど」と、タイトルへの重圧が鈴木を苦しめていた。そんな空気を感じ取ったのは、今シーズンから就任した鬼木達監督。「負けたときは一番の責任は俺だから。思い切ってプレーしろ」と声をかけ、重荷から解放した。

 今季の試合内容も、決して圧倒的ではなかった。最終結果も2位の柏レイソルと勝ち点1差。そんなシーズンを鈴木は、「本当に大変だったので、達成感はものすごくあります。チームとしても個人としても、なかなか難しい時期も続いたので、本当に報われたなという感覚に今はなっています」と振り返った。

 試合後には、目に涙を浮かべ、チームメイトと熱い抱擁を交わす様子も映し出されていたが、「泣いてないっすよ。泣いてないっす」と否定。それでも感情が溢れたのは、鈴木と同じく9年前の優勝を経験し、欧州から鹿島へ戻ってきたMF柴崎岳、DF植田直通、MF三竿健斗と同じ思いを共有していたからだった。

「泣いてはないですけど、俺だったり岳くんだったり、植田くんだったり、健斗だったり、鹿島が大好きで、鹿島の強いときを知っていて、鹿島が苦しんでるのを見ていて、なんとか優勝をみんなでしたいという思いで帰ってきた。その選手たちの思いだったり努力だったり、どれだけのことを犠牲にしてきたかをよく知っているので。そこに関してはすごく来るものがありました」

 2016年の優勝のときは、「正直、右も左もわからなかったので、先輩たちが走ったところについていけばよかった」と明かした鈴木。2017年には、「皮肉にも、あのときの監督が今の監督なので」と話す鬼木監督が率いる川崎フロンターレに逆転優勝を許すなど、様々な経験を経てチーム内での立場も変化した。

「今そこを自分たちが示さないといけないので。示す大変さというのはこの4年でものすごく痛感していましたし、そこでいろんな経験ある選手が帰ってきて、経験ある監督が来てくれた。達成感というのは正直、全然違いますね」

 地元出身で、幼少期から強い鹿島に憧れて育った鈴木。「優勝することによって『鹿島に行きたい』と思うことだったり、そういう部分がここ何年か薄れていた」と危機感を持つ。「その強さを取り戻すにはいいきっかけの優勝だったと思っているので、これを見て次の世代がどんどん育ってくれればなと思っています」と地元への思いも明かした。再びの黄金期も予感させる瞬間だった。

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