進学検討の強豪を“倒す側”へ「真っ向勝負できる」 痛感した差…残り1年で「埋めないといけない」

前橋商業2年生MF飯島颯斗
第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。
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第22回は群馬県決勝の前橋育英vs前橋商業の伝統の「群馬クラシコ」から。前年度選手権王者は、伝統校の前橋商業の全員守備、全員攻撃に手を焼くも、前半に挙げたMF柴野快仁(FC今治内定)のゴールを守り抜いて5年連続28回目の出場を決めた。高校進学時、前橋育英も進路選択に入れながらも、倒す側に決断を下した2年生MF飯島颯斗が挑んだ決勝戦とは。
左サイドハーフとして鋭い突破と精度の高い左足が持ち味だが、この試合では守勢に回ることが多かった。それでも飯島は果敢にプレスバックやボランチのサポートに入りながらも、常に前を向く姿勢を忘れることなく、ボールを受けては相手の激しいプレスを交わしながらボールを前に運んだ。特に左ボランチの平石岬暉とのチャレンジ&カバーが光り、チームのベクトルを前に向けた。
「平石と意識したのはサイドで相手の守備にはまらないような連携だったり、前につなげたりすることは絶対にやり続けようということでした。僕らのところで相手のプレスを回避して、かつ僕がボールを受けて攻撃のスイッチを入れて、それで終わりではなく、リターンや3人目で受けられるように前に出ることも意識しました」
緊迫した試合の中で冷静に頭を働かせて、自分がやるべきタスクと相手に飲み込まれないメンタリティーを持ってプレーをした。だが、届かなかった。
「昨年度の選手権予選(準々決勝で3-4)、今年のインターハイ予選(準決勝で1-1からのPK負け)、今回と追い詰めたかもしれませんが、結果は全て負けています。点差以上に埋めないといけない差がある。押し込めているように見えるけど、育英の選手は慌てていないというか、慣れているように感じました。細かい声かけだったり、セットプレーの準備だったり、もっともっと細かいところまで意識をしてやっていかないと勝てないと感じました」
惜しかったという言葉の裏側にある歴然とした差。改めて痛感したことで、来年からやらなければいけないが明確になった。同時に自分がここに来た意義を見つめ直すきっかけにもしようとする姿勢を感じ取ることができた。
「中学生の時、正直最初は前橋育英に行きたいと思って、練習会にも参加をしました。その時にアルビレックス新潟U-18からもお声かけを頂いたのですが、地元の高体連でサッカーをしたい思いが強かったんです」
選手権に出たい、国立のピッチに立ちたい。この思いで進路を決めようとした中で、前橋商も熱心に自分を必要としてくれた。その熱意に飯島は徐々に心を動かされていく。
「私立が強い群馬において、公立校として唯一真っ向勝負ができる存在が前商だと思っていました。その中でtonan前橋の1個上の先輩のCB知久(弥詩)さんが『また一緒にやろう』と言ってくれて覚悟が決まりました」
前橋育英のユニフォームを着て選手権に出るのではなく、倒して選手権に出る。高い壁が存在するのを覚悟の上で前橋商の門を叩いた。だからこそ、感じた差は全力で埋めにいかないといけない。
「今日から切り替えて、またこのピッチに戻ってきて、これまでの先輩立ちの思いや伝統を背負って堂々と戦いたいです」
その目は真っ直ぐに来年に向けられていた。群馬はタイガーだけではない。強い意志と情熱を持ったゼブラ軍団の先頭に立って、飯島は残り1年を駆け抜ける。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















