スカウト注目の187㎝“ハイスペ”CB 世代別代表で刺激…目指す「こいつがいれば大丈夫」

東洋大の岡部タリクカナイ颯斗【写真:安藤隆人】
東洋大の岡部タリクカナイ颯斗【写真:安藤隆人】

東洋大の1年生CB岡部タリクカナイ颯斗

 187センチのサイズとしなやかな身体操作と天性のバネ。強烈なキックも併せ持ったハイスペックなCBは、関東大学サッカーリーグ1部で大きな存在感を放っている。

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 東洋大の1年生CB岡部タリクカナイ颯斗は今年7月にU-22日本代表に選出され、ウズベキスタン遠征、9月のロサンゼルス五輪のアジア一次予選にあたるAFCU23アジアカップ予選(ミャンマー)にも出場する注目株だ。

 関東1部・第18節で東洋大は首位・筑波大と激突。岡部は4バックの右CBとしてコーチングでラインコントロールをしながら、筑波大のFW山下景司とトップ下のMF大谷湊斗と激しい「1年生マッチアップ」を見せた。

 30分に左サイドを突破され、MF清水大翔に先制点を浴びるが、その後は終始安定した守備を披露。前半終盤には左サイドを筑波大の右サイドバック布施克真に突破され、中央へクロスを上げられるが、完全にタイミングを外された状態にもかかわらず、岡部はニアサイドで驚異の跳躍力と対空時間でボールを頭ではじき返した。もしこれが頭を超えていたら、背後のゴール前にはフリーの選手が2枚おり、追加点を許す危険性があっただけに、まさにチームを救うビッグプレーだった。

 後半も堅守を続けた結果、86分にDF高橋愛翔が執念の同点弾を叩き込み、勝ち点1を掴み取った。

「(ボランチの矢田)龍之介や湊斗も代表で一緒にやったことがあるし、景司も高校選抜で一緒になった。彼らには絶対負けたくなかった気持ちと、1人、1人をリスペクトしているので、そういう相手にしっかり立ち向かっていくことを意識しました」

 この言葉通り、立ち上がりから気合いに満ちていた。多くのJクラブスカウトも詰めかけた中で、彼は相手の中盤の構成力を遮断するためにハイラインを維持し続け、FW山下が消える動きでラインブレイクを仕掛けても冷静に首を振ってポジションを取り、山下の動きに連動して飛び出してくる大谷に対しても鋭い寄せを見せて対応した。1年生ながらDFリーダーとして守備を牽引し、最後まで集中力を切らさなかった。

「1年ですけどチームで突き抜けた存在になりたいし、『こいつがいれば大丈夫』と思われるようなディフェンダーになりたいと思ってプレーしています」

 こう力強く口にしたのは、昨年のU-18日本代表、今年のU-22日本代表で大きな刺激を受けたからだった。

「海外の相手もそうですが、徳田誉(鹿島アントラーズ)は今までのFWとは違うなと感じました。身体が強いということは前から分かっていたんですけど、体勢が悪いところでも打ってくるし、シュートに持っていくのはすごくうまい。シュートのバリエーションが多いからこそ、同い年であそこまでJ1で活躍できるんだと感じました。他にも井上愛簾(サンフレッチェ広島)、(ンワディケ・ウチェ)ブライアン(世雄、桐蔭横浜大)など1人、1人の特徴は違うし、それぞれ突き抜けたものを持っている。だからこそ選ばれているのだと思うのですが、いろんな特徴があるアタッカーを相手に対応できたのは大きな財産となっています」

 日本を代表するCBへ。着実にステップを踏んでいる岡部タリクカナイ颯斗から目を離してはいけない。それだけの価値を持つ選手であることは間違いないのだから。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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