鬼木監督と再会は「イヤでした」 昨季ベスト11も出場減…二人三脚で目指した”理想”「日本人では出せない」

鹿島の知念慶は横浜FC戦で決勝弾
後半20分に決勝点となるゴールを挙げたのは、MF知念慶だった。川崎フロンターレ時代にも鬼木達監督の下でプレーしていた知念だが、当時のポジションはFW。ボランチには昨シーズン、ランコ・ポポヴィッチ元監督にコンバートされ、その1年目でベストイレブンも受賞していた。
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川崎を強豪に仕立てた鬼木監督が就任すると知った時の心境を知念は「全然、楽しみじゃなかったです。イヤでした」と、率直に明かした。自分自身の良さが出せないんじゃないかという考えがあったと認め、「確実に苦労するだろうなというのは思っていましたし、案の定、苦労する時期もありました。でも結果的に鬼さんは成長を促す人なので、自分自身もやりながらちょっとずつ成長できている部分はあるのかなと思います」と、話した。
昨季のベストイレブンに選出された知念は、開幕戦こそスタメンだったが、その後は途中出場が多くなってベンチに入れないことも珍しくなかった。「昨年は試合に出て良いシーズンを過ごせた」知念だが、鬼木監督からは「もっとできる」と練習中から厳しく指導されていた。そして鬼木監督が求めるボランチとしてのプレーができず、出場機会を失うという自身の不安が的中した形だったが、鬼木監督からは7月頃から個別指導を受け、二人三脚で取り組んでいたという。
「夏くらいに『もっとこうして欲しい』と言われたり、『おまえは能力が高いんだからもっと自信を持ってやれ』と言われた時期もありました」
自身の強みについて「ほかのボランチと違い、もともとFWで点を取れる部分が強みだと思うので、もっとゴールやアシストで得点に絡めればもっと怖い選手になれるかなと思います」と語った。
実際、この試合でもDF小川諒也のCKから決勝点をマーク。「諒也がすごく良いボールをくれたので」と言うが、FWのようなゴールだった。それ以外にも、こぼれ球を拾い、相手との対人に勝ち、縦パスを入れるシーンもあった。また、チームが苦しい前半には最前線までチェックに行き相手のロングボールをブロックし、サポーターを煽るなど、雰囲気を変えるようなプレーも見せていた。
シーズン終盤に来て、チームを助ける活躍を見せる知念について、鬼木監督も「昨年、ボランチでベストイレブンを取ったのは、本当に素晴らしいと思います。ただ、そういう後はプレッシャーもあると今シーズン、思っていました。よりボランチらしくと言ったら表現としてあっているかわからないですけど、能動的な部分だけではなく、ゲームをコントロールしながらとか、彼の運動量の良さもありつつ、そのパワーをどこで発揮したら良いのか。そういうのがすごくボランチらしさで必要になってくるかなと思ったので、そういう話もしながら、本当に細かいところ『ここはターンできるんじゃないの?』『前に付けられるんじゃないの?』とか、そういうものを映像で2人で確認しながらやったりしました」と、成長を促したことを明かした。
その上で鬼木監督は、何よりも知念の姿勢を評価した。「チャレンジする意識があったというのが、僕はすごく(評価している)。成功と失敗はいいとして、自分自身で『もう一皮むけてやろう』『ボランチでやっていくためには、これが必要なんだ』と本人が意識してくれるのが嬉しい。それもできるようになったら、なかなかいないボランチになると思います。今日も、ああやってセットプレーでも点を取れますし、逆に守備でもセカンドボール、競り合い、あの強度はなかなか日本人では出せないと思うので、頼もしくなってきたなと思っています」と、シーズンを通じての13番の成長に目を細めた。
知念自身も「去年と比べたらできることは増えたと思うし、頭の整理もシーズンを追うごとにできてきた。自分の持ち味を失わないようにしつつも、新しいことにトライできている期間」と、この最終盤での活躍に胸を張る。この日、先発を4人入れ替えた鹿島だが、知念のようにシーズンを通して成長を実感できている選手が多くいることは、首位に立ったまま迎える残り2試合でも間違いなくチームの強みとなるはずだ。




















