J1トップ昇格の192㎝逸材「身長だけではだめ」 痛感した日本代表との差「音の質が全然違う」

来季トップ昇格が決定した広島ユースの小川煌【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
来季トップ昇格が決定した広島ユースの小川煌【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

広島ユースの3年生GK小川煌は来季トップ昇格

 192cm、80kg。圧倒的なサイズを持つサンフレッチェ広島ユースの3年生GK小川煌は、10月18日に来季からのトップ昇格が決まった。

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 長崎で生まれ育った小川は長崎市立淵中学校サッカー部から、そのポテンシャルを評価されて名門の広島ユースにやってきた。サイズばかりに目が行くが、小川の魅力は分析力にある。

 常に周りの選手のプレーを見て、自分に持っていないものを分析し、それが自分にとって必要なものであれば、積極的に取り入れる。それを繰り返してきたからこそ、今がある。

「プロで活躍していくためには、身長だけではやっぱりだめだと思いますし、筋肉量、身体操作を含めて、まだまだだと思っているので、普段からそこにフォーカスを当ててやっています。GKの技術的な部分を含めて、A代表、年代別代表、広島のトップの選手を見ても非常に高い。僕の周りには素晴らしいGKがたくさんいるので、いいところを盗みながら自分のものにしていきたいと思います」

 話を聞いていくうちに小川の独特の感性があった。トップの練習参加の中で感じたのは、GKたちが出す『音』だったという。

「大迫敬介選手はキャッチの音が違うんです。いいキャッチと言うのは、手や指のズレがないなど、細かい技術的な部分が必要になってくる。身体の使い方、予備動作、手の構えなど、大迫選手は常に自分の形を持っている。僕のキャッチと比べると、音の質が全然違うんです」

 野球ではよく、キャッチャーの技術は捕球の際の音の違いで分かると言われている。ただ、GKと違うのは、大きな音を出せばいいというわけではないことが挙げられる。

 キャッチャーは大きな音を鳴らすことで、ピッチャーの気分や自信を向上させるが、GKでパーンと言った大きな音が鳴るということは、ボールを掴みに行っているのではなく、ボールが手に収まったということ。本来のキャッチングより指や手がずれていることを指す。いいキャッチはパンと言った短い音が鳴り、きちんと掴んでいることを表す。

「僕はどこかずれているからパーンとなってしまう時がある。正面キャッチとダイビングキャッチや、ライナーやゴロのボールだったり、浮き球のボールだったり、いろいろな対応の種類がある中で、何をどう選択するのか。浮き球のキャッチはそこまで手の形は変わらないと思うのですが、ゴロなどのボールの際に手の形だったり、地面をうまく使ってやったりとか、状況に応じてキャッチングの形を変えられる柔軟性と、それぞれの型が必要になってくると思います」

 プレミアリーグEAST第18節の名古屋グランパスU-18戦。小川は安定したゴールキーピングを見せて2-1の勝利に貢献した。後半、相手のエースストライカーのFW大西利都との1対1を左足一本でセーブ。その後、大西にスーパーゴールを許してしまうが、安定したビルドアップ、キャッチングなどを見せて、追加点を許さなかった。

「1、2位(サガン鳥栖U-18とヴィッセル神戸U-18)との勝ち点差(2チームとも4差)を考えると、僕らはどの試合も3がマストなので、今日は入りからいい状態でプレーできたと思います」

 試合後、改めてトップ昇格について話を聞くと、引き締まった表情でこう答えた。

「1つの目標だったので素直に嬉しい気持ちと、ここから厳しい世界に飛び込んでいく覚悟があります。プロ生活はそこまで長くはないと考えれば、やっぱり一日一日を大切にしていかないといけないと思います。だからこそ、来年からではなく、今から常に上のレベルを目指してやっていきたいなと思います」

 心構えも十分。近年、GKもアスリート化が急速に進んでおり、サイズの大きさは前提で、その上でパワー、スピード、アジリティー、跳躍力などの身体的なものから、足元やセービング、ポジショニングなどの細かい技術まで必要になっている。小川はその要素を全て持っており、そのポテンシャルは計り知れない。それは前述した通り、恵まれたフィジカルだけではなく、高性能な思考力も搭載しているからだ。

「GKにはいろいろなタイプがあって、自分に合うタイプ、合わないタイプが絶対にある。だからこそ、自分を把握した上でいろいろな選手を見ながら、自分に合ったものを常に探していく。見つけたものを練習でトライをして、自分のものにしていく作業を繰り返しています」

 いつしか日本代表の大迫を超えていくように。伸び盛りの18歳は今を全力で生きている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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