目を奪われた藤色の20番 見ている人をワクワクさせ…「1つのパスで自分の価値を示したい」

藤枝東のボランチ原田音生に注目
プリンスリーグ東海第13節・藤枝東vs東海大翔洋の一戦で、ピッチの中央に君臨する藤色の背番号20に目を奪われた。
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原田音生はスッと背筋が伸びた姿勢で、両足を駆使した正確なトラップから、左足でショート、ミドル、ロングのパスを面白いように通していく。ポゼッションの際には横のスライドで顔を出してボールを受けては周りにテンポ良く散らし、前線へのシンプルな縦パスで攻撃のスイッチが入った時は、一気に前に出てアタッカー陣のサポートと、隙あらばミドルで狙っていく姿勢は攻撃にリズムをもたらしていた。
「大きい展開と小さい展開の両方できることが僕の強みだと思っています。狭い局面でのつなぎの際に、自分が全体にボールを散らしてそこから攻撃を展開できるとみんなの視野も広がるし、バリエーションも増える。そこは意識しています」
藤色の背番号20試合は2-2のドロー決着となったが、原田のトラップや左足の技術センス、空間認知やスペース察知など独特の見えている世界にワクワクさせられた。
「基本ポジションはボランチですが、中学時代までは右サイドハーフ、左サイドバック、シャドーなど、いろいろなポジションをやりました。藤枝東に入ってからボランチでやらせてもらっていて、ポゼッションもできるし、縦に速いサッカーもできるので、本当にいい環境でプレーさせてもらっています」
今年は怪我で出遅れたシーズンだった。半月板を損傷し、復帰まで3、4か月かかった影響でプリンス東海の出場試合数は少ない。インターハイ予選も準決勝の前に体調不良となり、準決勝を回避し、決勝(浜松開誠館に0-1)も残り数分しか出られなかった。
だが、後期は前期の悔しさをぶつけて躍動する時期を迎えている。この試合の数週間前、彼は藤枝MYFCの紅白戦に参加。30分1本のみの出場だったが、そこでプロのスピードや強度を体感し、「自分にとっては運ぶところ、散らすところなど判断できて、プレスを剥がしてパスを出せたのは自信になりました」と大きな手応えを掴んだ。
今月はいよいよ高校サッカー選手権静岡県予選が始まる。藤枝東これまで選手権優勝4回、準優勝3回、インターハイ優勝2回、準優勝1回を誇り、中山雅史、長谷部誠という2人のW杯戦士を輩出した伝統の藤色のユニフォームで知られる名門中の名門だ。
だが、2015年度に出場して以来、選手権は9年間遠ざかっている。激戦区で知られる静岡を勝ち抜く難しさは重々に承知だが、一昨年までは3年連続で予選決勝で敗退し、今年は前述したとおり、インターハイ予選で決勝敗退。いつも後一歩のところで全国の壁を打ち破れなかっただけに、今回こそはという思いは強い。
「やっぱり長い間(選手権に)行けていないからこそ、自分がいる代で出場したいという気持ちは強いです。そのためにはもっとフィジカルを鍛えて、守備のところでも貢献できる、何でもできる選手になりたい。今は吸収できるものは全て吸収していくつもりで毎日の練習に励んでいます。1つのパスで自分の価値を示せるようにしたいです」
左利きだが、右でもナチュラルにボールが持てる。キックフォームも複数あって、ボールの置かれたところに応じて変化を加えられる。ロマンしかない藤色のレフティーボランチが輝きを増していくのはこれからだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















