最終学年で失ったレギュラー「今までの考え方じゃ厳しい」 努力実らせた意識改革「みんなに迷惑かかる」

藤枝東の澤野翔祐【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
藤枝東の澤野翔祐【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

藤枝東の3年生アタッカーMF澤野翔祐

 意識が変われば、行動も変わる。藤枝東の3年生アタッカーであるMF澤野翔祐は夏前までレギュラーではなかったが、ここに来て一気に頭角を現してきた。

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 プリンスリーグ東海・第13節の東海大翔洋戦において、右サイドハーフでスタメン出場をすると、鋭い縦への積極的な仕掛けだけではなく、守備面の貢献度の高さに目が行った。

 プレスバックのスピード、タイミング、強度が非常に高く、攻撃から守備に切り替わった瞬間にすかさず守備のポジションに切り替えて、右サイドバックの井上凱晴やボランチのサポートに入った。

 1-2で迎えた試合終盤には右サイドを一気に加速をするドリブルで突破して決定機を演出。これは相手GKのビッグセーブに阻まれるが、その流れで得た右CKから劇的な同点弾が生まれた。

 試合後、彼に話を聞くと、守備が得意な選手かと思いきや、その逆で、これまでは守備が課題でなかなか試合に絡めなかった過去があったという。

「課題が守備なのは1年生の頃からずっと言われていたのですが、昨年まで『俺は攻撃力で賄おう』とずっと思っていたんです。昔から攻撃力を武器にしていて、スピードや推進力を徹底して磨くことでレギュラーをつかもうと思っていたんです」

 だが、なかなかトップチームに上がれないまま2年生の冬を迎えた。新チームが立ち上がった際に、チームナンバーワンのアジリティーと突破力を買われ、今年春のフェスティバルではこれまでのトップ下のポジションではなく、右サイドハーフとしてスタメン出場を果たしていた。だが、プリンス東海が開幕するとベンチスタートの日々が続いた。

「開幕前まではずっと調子も良くて、結果も出せていたんです。でもだんだんうまく行かなくなって、開幕から出られなくなった時は本当に悩みました。正直、最初の方は勢いというか、自信もあって、とにかくそのまま行こうと思い切ってやれたのですが、それだと調子がいい時は良くても、悪くなるとどう突破をしたら分からなくなってしまったんです」

 最高学年を迎えてようやく掴んだと思えたレギュラーの座は、するりとその手からすり抜けて行った。だが、春先の経験が彼に大きな気づきを与えてくれたのだった。

「初めてトップの試合に絡めるようになって感じたのは、『今までの考え方じゃ厳しいな』ということでした。試合こなせばこなすほど、守備をしないと本当にみんなに迷惑がかかるなと感じるようになりました」

 悩みながらも、守備の意識を持って練習からプレスバックや前からのプレスに取り組むようになった。同時に「右利きで右サイドなので、左足をもっと練習するようになりました」と、縦突破だけではなく、カットインも磨き始めた。

 インターハイ予選こそ初戦の聖隷クリストファー戦で出場した以外は出番がなく、プリンス東海も数試合の途中出場に留まった。

 だが、この時間は意識が変わったことで、自分とより向き合うことが出来、特に課題の部分と真摯に向き合って取り組むことができた。そして夏以降、その努力が報われるようになって行ったのだった。

 8月の和倉ユースサッカー大会からスタメンでも起用されるようになると、プリンス東海後期開幕戦となった静岡学園セカンドとの一戦では1ゴール1アシストの活躍で3-0の勝利に貢献。そこからスタメンに定着して行った。

「トップのスタメンの座をようやく掴んだのに、手放したくないという気持ちと、もっとチームのために走れる選手になりたいという気持ちを持っています」

 もう一度、東海大翔洋戦のプレーに話を戻すと、彼のプレスバックの質はとても守備が苦手な選手とは思えないものだった。

「今、気づいたのは、守備ができないのは苦手だからではなく、意識の問題、やる気の問題だということです。意識が変わったことで、他のところにもいろいろ気づいたり、気に掛けたりすることが増えました」

 気づきを力に変え、チャンスを再び掴み取った。春先に掴んだチャンスと、この夏に掴んだチャンスとでは質が大きく違う。ここから急激な成長曲線を描いて、高校最後の選手権予選に挑み、チームを10年ぶりの選手権出場に導くべく。藤色のアタッカーはチームのために攻守両面で持ち前のアジリティーをフルに発揮する。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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