ブラジルW杯と「大きな違い」 掲げた同じ目標…長谷部誠コーチが見た森保Jの「逆算」

長友佑都が遠藤航の不在について話した【写真:増田美咲】
長友佑都が遠藤航の不在について話した【写真:増田美咲】

長谷部コーチがザックジャパンと森保ジャパンの“違い”を語った

 森保一監督率いる日本代表は10月シリーズでパラグアイ代表(10日/大阪)とブラジル代表(14日/東京)と対戦する。南米の強豪とのテストマッチで北中米ワールドカップ(W杯)に向け現在地をはかる。8か月後、世界の頂点を目標にする森保ジャパン。5日に取材対応した元日本代表MF長谷部誠コーチは、かつてW杯優勝を公言していた2014年ブラジルW杯との“違い”について言及した。

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 過去W杯5度の優勝を成し遂げたブラジルとの対戦を前に、長谷部コーチがゆっくりと話し出した。「当時との大きな違いは……」。アルベルト・ザッケローニ監督が率いていた2014年ブラジルW杯。長谷部コーチをはじめ、本田圭佑、香川真司、長友佑都、吉田麻也、内田篤人、遠藤保仁……。そうそうたるメンバーで“歴代最強”と言われた。自然と「W杯優勝」の目標が掲げられ、世界で勝つことを大きく意識した瞬間。だが、結果はグループリーグ敗退。1分2敗のグループ最下位だった。

 あれから9年経った2023年6月。MF遠藤航が主将に就任し、森保ジャパンの再スタートとなった活動期間で指揮官が「ベスト8という目標ではなく、優勝、世界一を目指しながら今のレベルアップをしていく」と初めて公言した。その3か月前、選手から「目標をテッペンにしないのですか?」と切り出されたことがきっかけだった。

 当時と同じ「W杯優勝」。だがその意味合いが少し違うと長谷部コーチは話した。

「大きな違いは監督が示しているところじゃないですかね、その目標を。2014年、当時は選手でもW杯優勝を発言する選手が多くいて、ただザッケローニさんは自分たちの世界での立ち位置をしっかり考えなさい、と。もちろん自分も優勝したい、全部勝って優勝したいと言っていましたけど、しっかり地に足をつけてやっていかなきゃいけないというスタンスをとっていた。もちろんそれは1つのやり方だったので僕はいいと思います」

 一方の森保ジャパンはまず監督が、そして主将の遠藤が最初に方針を打ち出した。監督、選手、スタッフだけではない。W杯の3年前に明確な目標を掲げることで、周囲やファン・サポーター、日本国内を巻き込んで後押ししてもらい、“全員で”優勝を勝ち取る。そのためだった。

「今は夢を見ているのかというとそうではなく、本当に優勝するために何をしなきゃいけないか、監督はすごく逆算をしてやっているというのを間近で見させてもらっている。よく監督もいいますけど、W杯優勝は本当に11人だけでは絶対にできない。たとえば9月シリーズの戦い方。W杯優勝が大前提にあるのでああいう戦い方をした。それをすごく考えている」

 9月に行われたアメリカ遠征では初戦のメキシコ戦から次のアメリカ戦で11人を総入れ替え。強化だけではなく、本大会のシミュレーションを重視した活動だった。それも限られた時間でW杯優勝への道筋を描いてきたからだ。

 10月に待ち受けるパラグアイ、ブラジルとの2連戦。MF遠藤航やDF板倉滉ら主軸の負傷者続出という緊急事態に見舞われることとなったが「イレギュラーが起こった時でも、他の選手たちにとってはチャンスなんだ、そこで成長するチャンスなんだなっていう風に捉えている。そういうところは別物」と長谷部コーチは分析する。現在を見極めながら、未来を見据える。森保ジャパンはW杯まで二軸を忘れずに歩を進めていく。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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