Jクラブが獲得熱望の大学生FW 昇格へのラストピース…練習参加で感じた「十分に通用する」

日本大学の五木田季晋【写真:安藤隆人】
日本大学の五木田季晋【写真:安藤隆人】

水戸に加入が内定している日本大学FW五木田季晋

 先月、大学3年生ながら2026-2027シーズンの水戸ホーリーホック入りが内定した日本大学のFW五木田季晋。184センチのサイズと前線での懐の深いボールキープ、鋭いターンからの強烈なシュートを持つ彼は、J2リーグで首位を長く走っている水戸ホーリーホックにとって、どうしても欲しかったストライカーだった。

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 水戸の長身ストライカーと言えば、今季は188センチの寺沼星文、186センチの久保征一郎がいたが、寺沼は夏のウィンドで東京ヴェルディに移籍。7月末には湘南ベルマーレから184センチのFW根本凌を獲得したが、8月16日のジュビロ磐田戦で右腓骨骨折、右脛骨骨折という大怪我を負い、長期離脱を強いられた。

 それだけに前線で起点を作り出し、かつ個人でもラインブレイクできる長身ストライカーの獲得は重要事項だったはず。

 そこで白羽の矢が立ったのが五木田だった。彼はまだ大学3年生。もうしばらく他のチームからのアプローチを待つ選択肢もあったが、「大学在学中からプロの世界にチャレンジしたいと思っていたので決めました」と口にしたように、2027年からと言わず、今年から出場を狙う強い気持ちを持って決断を下した。

 川崎フロンターレU-15から川崎の下部組織で育った彼は、サイズとスピード、ゴールへの嗅覚と貪欲さが売りのストライカーとして、テクニカルな川崎U-18のサッカーにおいて、絶対的なフィニッシャーとして君臨していた。

 高校3年時にはプレミアリーグEASTにおいて得点ランキング4位の13ゴールをマークし、チームを同リーグ制覇に導いた。サガン鳥栖U-18とのファイナルはノーゴールに終わり、2-3の敗戦を喫したが、期待を一身に背負って日本大学にやってきた。

 日大では1年から出番を掴み、頭角を現して行った彼だが、今年は関東大学サッカーリーグでわずか1得点。「結果を全然出していないので、そこに目を向けてやっていかないといけない」と危機感を募らせるが、彼が最前線で身体を張って起点を作っているからこそ、平尾勇人(東京ヴェルディ内定)、矢越幹都ら1.5列目以降がチャンスをもらい、ゴールという結果を出せているとも言える。

 焦らずにその時を待つ。それは内定先に対しても同じだ。水戸は得点ランキング2位とチームナンバーワンのゴール数を誇るFW渡邉新太も負傷し、チームにとって大きな痛手となっている。前述した通り、大型ストライカーの需要もあることを考えると、いつ彼に出番が来てもおかしくない。

「水戸の練習参加を通じて、前線で起点になってゴールに向かっていくところは十分に通用すると思ったし、そこが評価されてのオファーだと受け止めています。前線からのチェイシングは日大でも大事にしているところなので、それは継続してやっていきたいと思います」

 いつチャンスが来てもいいように。気持ちを落としている暇はないし、彼自身も内定選手だからという気持ちはなく、即戦力のつもりでいる。

「まだJリーグで戦ったことはないからこそ、(いざ出番が来たら)フレッシュな状態で戦えると思いますし、むしろそのフレッシュさをどんどん出していかないといけないと思っています。だからこそ、まずは日大をしっかりと勝たせて、水戸に行かせていただけるタイミングがあったら、勝利にきちんと貢献するという意識を持ってやっていきたいと思っています」

 悲願のJ1昇格に向けて五木田は必要なピースになる。いや、ならなければならない。前線でどんなボールも収め、水戸が誇る2列目以降のアタッカーの能力を引き出し、自らも決める。その姿を早く見たい。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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