32試合でゼロ…監督も「少し奇妙な状況」 4試合連続無得点の浦和、首位と勝ち点15差

32試合で獲得したPKが0本、スコルジャ監督「シャープにプレーすべきなのかも」
浦和レッズは9月27日のJ1第32節、東京ヴェルディとのアウェーゲームを0-0で引き分けた。これで9月のリーグ戦は4試合連続ノーゴールに終わり、ルヴァンカップの試合も含め公式戦未勝利とシーズンのタイトルが懸かる勝負所のタイミングで失速の時期を迎えてしまった。
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1点が遠いゲームになったのは前節の清水エスパルス戦(0-0)と同様だったが、Jリーグ公式サイトでゴール期待値「4.31」を記録したのと比較すれば、この日は質が伴わなかった。浦和が迎えたビッグチャンスは前半にFW松尾佑介、後半にMFサミュエル・グスタフソンがシュートを放った場面だったが、いずれもコーナーキックからだった。流れのなかからゴールを予感させる場面はあまりなく、ラスト5分でDF関根貴大のクロスにアタッカーが間に合わず、ボールがゴール前を通過していったのが最後のチャンスだった。
マチェイ・スコルジャ監督は「ヴェルディは被ゴール期待値が非常に少ないというスタッツ通りにチャンスを作りづらい相手でした」と相手の守備を称える言葉を残した一方、「4試合連続無得点ですから、浦和の選手の質を考えれば必ず変えるべきところです」と課題を受け止める。
1つのポイントはスタメンの1トップに松尾を起用し、指揮官が「斜めに相手の背後へ走る狙いを持ちました」と話したようにサイドでポイントを作った後があるだろう。2列目でスタメン起用されたMFマテウス・サヴィオやMF中島翔哉はボールに寄ってプレーをしながら局面を打開することが多く、MF金子拓郎は右サイドに開くことが多い。そうなると、ゴール前にどのように圧力を掛けていくのかという点で厚みを欠いた。
後半15分にスコルジャ監督は元スウェーデン代表の長身FWイサーク・キーセ・テリンを投入した。それによりクロスのターゲットはハッキリしたものの、東京Vの守備陣にとっても明確なマークすべき存在となっているなかで打ち破る難易度は高かった。
イサークが「僕の特徴は、ディフェンスがしっかりとタイトにマークしてくることで、その結果周りがチャンスを掴むこともあります。だからもう一度みんなで映像を確認して、そういう局面を有効に活用していきたいです。以前のチームでも、僕の周りにいる選手がそういう場面からゴールを奪うことが多かった」と話したように、単純に得点力を期待するストライカーとしての存在だけでなく、イサークの周囲を有効活用できるとゴールパターンも増えるだろう。
途中出場のMF早川隼平がミドルシュートを放った場面のようにイサークをポストプレーのターゲットに使い、相手が引き付けられて生まれたスペースを活用する攻撃は1つのヒントになり得る。ただし、全体的に攻撃の最終局面は個々のアイディア任せになっている面も見られ、チームの典型的なゴールパターンとでも呼ぶべきものが見当たらないのが問題の根本にあるかもしれない。
そして、今季のリーグ戦を32試合終えた時点で獲得したPKが0本というのは、ペナルティーエリア内での鋭さや、相手に後手を踏ませるような最終局面の攻撃ができていないことの象徴かもしれない。スコルジャ監督も「これは少し奇妙な状況です」としながらも、「確かにペナルティーエリア内の球際などではよりシャープにプレーすべきなのかもしれません」と話した。
ビルドアップに関わり続けたMFサミュエル・グスタフソンが「しっかりとメソッドの部分、ゾーン3のファイナルサードで何をしたいかを明確に作らなければいけないですね」と話したように、シーズン終盤戦に入ってきて得点パターンの構築ができていないことが浮き彫りになってしまった。リーグ戦ラスト10試合となった9月のスタート時点では逆転優勝への可能性を感じさせる位置にいた浦和だが、この失速で気が付けば残り6試合で首位の鹿島アントラーズとは勝ち点15差がついてしまった。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)





















