周囲から「あの選手、代表の人だよね」 感じた日の丸の責任、決意のもう1度「この舞台に立ちたい」

滝川結女がなでしこジャパンで得た「初めての経験」
女子サッカーの未来を考える――。WEリーグとFOOTBALL ZONEの共同企画「WE×ZONE ~わたしたちがサッカーを続ける理由~」がスタート。5年目を迎えたWEリーグで日々奮闘する選手たちの人生に迫る。第1回はアルビレックス新潟レディースのなでしこジャパン(日本女子代表)FW滝川結女。“新発田のアイドル”として知られる26歳の点取り屋が歩んだ道筋とは。連載最終回はWEリーグと未来について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全6回の6回目)
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滝川の人生に刻んだ一戦がある。7月に行われたE-1選手権。なでしこジャパンの一員として、臨んだ初戦のチャイニーズ・タイペイ戦(4-0)。国際Aマッチ初出場を達成。しかも、この1試合でゴールまでマークした。小学5年の時に2011年のFIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会での世界一に立ち、目標に据えたなでしこジャパン。日の丸を背負い、ピッチに立った経験は何にもかえ難かった。
「代表として国を背負って戦う、世界大会で戦うというのが初めてだったので、重さというのもすごく感じられました。周りからの評価、国を背負っていることに対して、自分たちの責任感をすごく感じられた。いざ(日本に)帰ってきた時に周りからは『あの選手、代表の人だよね』と言われるようになったというのも、確かですし、本当に(代表選手の誇りを)感じながらやらないといけないというのも、初めての経験だった。やっぱり代表に行くことはすごく大事なことなんだなと改めて思いました。だからこそもう1回、この舞台に立ちたいと感じられました」
今回は主に国内組のみの構成で、WEリーガーが主体となった。仲間の中には、DF石川璃音(三菱重工浦和レッズレディース→イングランド1部エバートン)ら今夏に日本を離れて欧州へと飛び立った選手もいる。海を渡り研鑽を積むなでしこジャパンの選手たちとともに、もう1度、世界へ。その思いは一層強くなった。
「海外組と一緒になったら、またレベルも全然違います。もちろんもう1度代表に入ってメンバーに定着していく目標でやっていきます。でも、まずはそこまでのレベルに達していかないといけない。WEリーグでどれだけ結果を残せるか。今、目の前にあるリーグで、ずば抜けて結果を残せないと、そこにはもう入っていけないのかなと思うので、今シーズンはチームとしてタイトルを目指すことはもちろん、個人としてはその覚悟でやっていきます」

滝川が持つプロ意識「お客さんに勝つ試合を見せたい」
5年目を迎えたWEリーグ。プロ選手になったことで自身の自覚も、周囲の環境も変わってきた。だが、欧米と比べれば伸び代があるリーグ。選手としては目の前にある一戦、そしてゴールへこだわることがトップへ近づく1歩だと考える。
「日本にプロリーグができたというのはすごく大事なことだな、と思います。5年目になって、フィジカル、激しさ、強度も上がってきているのかなと思う。見ている人たちにとっても、すごく女子サッカーの1つ魅力があると思います。サッカーでお金をもらえているというのもあって、プロ意識を持ちましたし、より、覚悟を持ってやらなきゃ、結果を出さなきゃ、と。お客さんに勝つ試合を見せたいと年々、意識が上がってきているのかなと思います。私も今はもう内容どうこうというよりか、結果を見せたいと思いながらやれているので、プロとしてそこはやらなくてはいけないのかなと思っています」
滝川の異名は“こぼれ球の女王”。元なでしこジャパンFW川澄奈穂美も認める才能だ。8ゴールを挙げた昨季は泥臭く、押し込んだゴールが多かった。国際Aマッチ初得点もそうだ。これも結果にこだわり続けたから。「自分がゴールをして勝たせられる選手になっていきたいというのがある。嗅覚がだんだん鋭くなっていったかな」。そして、WEリーグを次世代へ伝えていきたいからだ。
「年齢ももう26歳で中堅になってきていますし、下の子たちは若い子も入ってきている。そういう子たちにも自分が若い頃に教えてもらったことを伝えていきたい」
初めてボールを蹴ったあの日から――。今日まで紡いできた滝川の歴史。自らの考えで決断し、道を選んできた。プレー、人柄……人々を魅了するのは芯を通し、貫く強い信念があるから。これからも滝川の長い人生、分かれ道はあるだろう。それでも滝川結女は必ず決断する。その先に待つ未来は必ず明るいはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)













