帰り道に伝えた「ここでやりたい」 即決で進学先変更…名門で手にした“人生ノート”

三重から宮城へ…滝川結女は名門・常盤木学園へ進学
女子サッカーの未来を考えるーー。WEリーグとFOOTBALL ZONEの共同企画「WE×ZONE 〜わたしたちがサッカーを続ける理由〜」がスタート。5年目を迎えたWEリーグで日々奮闘する選手たちの人生に迫る。第1回はアルビレックス新潟レディースのなでしこジャパン(日本女子代表)FW滝川結女。“新発田のアイドル”として知られる26歳の点取り屋が歩んだ道筋とは。連載3回目は親元を離れ、宮城県まで“越境”した人生の転機・常盤木学園高校時代について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全6回の3回目)
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女子サッカーの強豪校・常盤木学園。滝川にとって運命的な出会いだった。中学は地元・三重の楠クラブレディースでプレー。当時から静岡の名門・藤枝順心高校と距離が近かったことで、頻繁に練習試合をしていた。だからこそ「最初は藤枝順心(高校)に行こうと思っていた」。だが、ある日両親から「常盤木の練習に1回行ってみたら?」と話を持ちかけられ、挑戦してみることに決めた。
「常盤木は優勝ばっかりで強かったし、自分が行けるのかなと思っていた。でも親が言うので練習参加したんですね。その日、終わった直後に『ここでやりたい!!』と親に話しました」
当時は小林里歌子(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)や白木星(しらき・あかり/元マイナビ仙台レディースなど)ら年代別代表クラスが切磋琢磨していた。中学3年生の滝川にとってトップ・オブ・トップを維持する先輩たちの姿は衝撃だった。練習参加を終えた帰り道、すぐさま両親に思いを伝えた。「結女が行きたいところに行くのが一番だから」。すぐに阿部由晴監督へ相談し、入学が内定。「即決でしたね」。親元を離れることも関係ない。直感を信じて選んだ道だった。
「中学3年の時にはもう衝撃だった。入ってから1年生の頃には練習について行くのに必死でした。複雑なメニューも多くて理解してやらなきゃいけない。1年生の時が一番大変でしたけど、常盤木は上下関係がない。呼び捨て、タメ口が伝統で。先生の考えで試合中に『さん』付けするコンマ数秒が勿体無い、と。やっぱり常盤木に行って、学んだのは人間力。阿部先生がすごく『人として』をいう方だった」

高校時代に身についた“思考力”「やんなきゃいけない」
毎日、練習場まで寮からバスで30分。車中では阿部先生の“ミニ講義”が開かれる。サッカーの話だけではなく、政治や経済など含めて話はバラエティーに富んだ内容で、部員は自身のメモ帳に感じたことを書く。試合でもベンチ外の選手は応援ではなく、展開を見ながらメモを取る。
「そういう環境の中で育ってやっていたので外から見た意見も聞ける。小中学校時代は感覚でやっていた部分もあったけど、高校の時は自分で考えてやんなきゃいけないというのを学んだ。サッカーノートもあったけど(メモ帳は)人生ノートみたいな感じ」
技術を磨き、精神面を磨いた。クラブユースとの差に悩んだこともあった。年代別代表で実感し「レベルが高いなと思った。やっぱり比べるとまだまだだな、と」。それでも、考えることから逃げず自分の武器と向き合い、サッカーの道を突き進んだ。
高校3年生で進路を決断。当時のなでしこリーグ1部を志すことにした。WEリーガーとして今プロで戦い続けられる理由の一端は滝川の核を作り上げた高校時代があったからだ。(第4回へつづく)
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)





















