日本代表に「1つ欠けている要素」 W杯優勝のため…指揮官が掲げる重要な“3つのポイント”

なでしこジャパンのニールセン監督が今後の強化プランを語る
2011年のドイツ大会以来となるW杯優勝を目指すなでしこジャパンが、強化計画の“第2フェーズ”へと入っていく。デンマーク女子代表監督やマンチェスター・シティ・ウィメンのテクニカルダイレクターなどを歴任し、初の外国人指揮官として招聘されたニルス・ニールセン監督は「これから第2段階に入っていく。(3月の)アジアカップに向けてということで、より選手を絞り込んで取り組んでいく」と、今後のプランについて明らかにした。
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9月8日、千葉県にある「高円宮記念JFA夢フィールド」で行われた「2025年度公益財団法人日本サッカー協会(JFA)Proライセンスコーチ養成講習会」の講師として登壇したニールセン監督。その後、報道陣の取材に応じて今後の計画の一端を語った。W杯出場権のかかるアジアカップ、そしてW杯本大会に向けて、どのような課題を感じているのか。次なるステップへ進むための重要な“3つポイント”について語った。
昨年12月の監督就任からここまで、ニールセン監督は“オンザボールでもオフザボールでも主導権を握るサッカー”をベースに戦術の浸透を積み重ねてきた。2月のシービリーブスカップで優勝を果たしたものの、5月と6月に行ったブラジル遠征、スペイン遠征では3連敗。7月に国内組を中心として臨んだE-1選手権では韓国、中国と引き分け、3位に終わった。
1つ目のポイントは、もう一段階も二段階も上の戦術における柔軟性だ。今後の国際大会を見据えたときには、これが必要になると、ニールセン監督は考えを示す。
「プランA(基本戦術)が機能しないとき、どう切り替えるか。ストライカーの数を増やすとか、プレスの仕方を変えるとか、そういった“プランB”の準備が今後の焦点になります。プランBをやった時に選手が慣れていないと、自分たちを苦しめてしまうことになるので」
特に来年3月に行われるアジアカップのような、翌年のブラジルW杯の出場権がかかる一発勝負の大会では、試合状況に応じた戦術変更能力が求められる。試合中にプランを切り替えたときに柔軟にアジャストできるよう、オプションを増やして実践する力を高めていく段階にしていくという。
フィジカル面の課題――世界と戦うには「走力」と「強さ」が必要
2つ目の課題はフィジカルだ。
「走行距離やスピードを増やしていかないと、自分たちがやりたいサッカーはできていかない。チャンピオンになるためには、ランニングの距離を増やしたりとか、高強度のランを増やしたり、努力をいろいろしたり、特に身体面に関していえば、これからどんどん準備はできると思います」
3つ目はメンタル面。「お互いに信頼して、常に全力を尽くす、そういったメンタル面が必要。例えば、ドイツみたいに大柄なチームと戦う時に、相手が大柄だからって怖がるということがないように。そうした考え方の面もしっかりと準備していく。こういった3つをよりまだ取り組んでいく必要がある要素かなという風に思っています」と指揮官は語る。
海外のリーグでプレーする選手も多く、日常的に大柄な相手とのデュエルを経験している。臆せず臨むことこそが必要で、当然のように単なる体力ではなく、世界基準での「速さ・強さ・持久力」が求められる。
「1つ欠けてる要素として、いかに時にはずる賢くプレーするかが重要になってくる。ゲームプランを選手が理解してきた中で、いい相手にどう勝つか考えた時とか、自分たちの目標を考えた上で、時にはずる賢くプレーする必要も出てくる」
結果を求めるなら、状況に応じて、駆け引きをしてずる賢くプレーするも重要だ。「最善は尽くしたけど勝てなかった」では、世界の頂点は見えない。勝ち、優勝を求めるうえで、あらためて必要なことである。
これまで50名の代表選手を招集し、選手の選考も徐々に絞り込みに入っている。ニールセン監督は「現時点ではそのプラン通りで遅れてもいないですし、想定通りに進んでいると思ってます」と語る。2年後のブラジルW杯での優勝を目指して、ロードマップを描き、プランを着々と進めている。
(砂坂美紀 / Miki Sunasaka)





















