アンリ育てた重鎮の目に…フランスで一人「しんどかった」 田中パウロ淳一の高校時代

フランスで手応え掴み川崎入団も「僕の上位互換みたいな人がいっぱいいた」
J3で昇格争いをしている栃木シティのFW田中パウロ淳一は、一度はJリーガーという立場を失いながらも、再び這い上がってきた。まさに波乱万丈のキャリアを歩んできたが、高校時代にはフランス1部ボルドーの練習に参加したことも。プロ入り前の貴重なエピソードを聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全6回の6回目)
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幼少期からプロを目指してサッカーに打ち込んできた田中だが、「自分的にはプロに行けると思っていたんですけど、実力が伴っていなかったです」と振り返る。小学校の頃は地区1回戦で負けてしまったと言い、「いわゆるトレセンには入ったことがなかった。だから、悔しい思いをしてきました」と明かす。
それでも大阪桐蔭高校に進学し、高校2年生だった2011年1月にフランス遠征に参加。そのとき、元フランス代表FWティエリ・アンリ、ニコラ・アネルカらを育てたクロード・デュソー氏、元日本代表監督のフィリップ・トルシエの目に止まる。「プロに行けるのでは?」とボルドーの練習に参加することになった。
高校生でこのようなチャンスをもらえるのは当時は稀だったが、「僕が変なタイプというか、物怖じないタイプだった」からだと推測する。覚えているのは、元フランス代表のMFヨアン・グルキュフがいたこと。トップチームのスタメン組は軽い練習で終わることが多く、サブ組と過ごす時間が多かったという。
簡単な言葉とサッカー用語は覚えて行ったが、周りはプロばかりで「僕はプライベートで一人でした。それを考えるとすごくしんどかったです」。プレーではアピールできたつもりでいたが、「プロになりたい気持ちがあるなら、もっと言葉を覚えたりするだろう」と言われてしまい、1か月を待たず帰国する。
「僕みたいなタイプはたぶん活躍できると思うんですよね。ちょっと小さくて、ちょこちょこしているタイプはうまくいけると思うんですけど、でもどっちかというと削られたときに対応できないというか。向こうは荒いので、ちっちゃいやつは壊しに来るので、それを考えるとリスクはあったのかなと思います」
フランスで手応えも掴み、2012年には川崎フロンターレに入団。1年目からリーグ戦3試合に出場したが、大久保嘉人やレナトといった豪華な攻撃陣に食い込めず。「僕の上位互換みたいな人がいっぱいいたので、しんどかったですね」と挫折を味わう。そのなかでも、特に衝撃を受けたのがMF楠神順平だった。
川崎退団後、セレッソ大阪やオーストラリアでも活躍して昨季限りで現役引退したドリブラーを、「すごかったですね。止められなかったし、見ていてすごく参考にしました」と尊敬の念で見ていた田中。それから13年の月日が経ち、酸いも甘いも噛み分けた。さまざまな経験を糧に、チームをJ2昇格へと導いていく。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)





















