強行日程&時差経験で「絶対に強くなれる」 “常連組”に初招集で「三笘、遠藤に聞いてみたい」

日本代表の早川友基【写真:Noriko NAGANO】
日本代表の早川友基【写真:Noriko NAGANO】

常連組のなかに初招集された鹿島GK早川友基

 アメリカ遠征中の森保ジャパンで、早川友基(鹿島アントラーズ)がピッチの内外で心を弾ませている。国内組だけで臨んだ7月の東アジアE-1サッカー選手権大会2025で26歳にして待望のデビューを果たし、海外組が大勢を占めるチームに続けて招集された。英プレミアリーグをよく観戦していると早川は、三笘薫(ブライトン)やキャプテンの遠藤航(リバプール)らへ、ぜひとも聞きたいことがあると明かしている。(取材・文=藤江直人)

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 鹿島アントラーズの守護神から日本代表のチャレンジャーに立場を変えた早川友基はいま、人生で初めてアメリカ本土にいる。森保ジャパンのアメリカ遠征へ出発する直前。26歳の夏に代表デビューを果たした早川は「グアムやハワイへ(旅行に)行った経験はありますけど……」と苦笑しながら、こんな言葉を残していた。

「僕はあまり時差とかを感じないタイプなんですよ。旅行だったら(着いたら)時差も関係なく夜中まで起きていますけど、逆にそれをいざサッカーでやる、となったらどのような感じになるのか。また話が変わってくると思っていますし、本当に楽しみにしているところでもあります。例えば飛行機に長い時間乗って、着いてすぐ練習というのも楽しみだし、そういった体験をしたほうが絶対に強くなれると思っているので」

 6日(日本時間7日)に行われるメキシコ代表戦へ向けて、日本代表がトレーニングを積んでいる西海岸のカリフォルニア州オークランドと日本の時差は16時間。9日(同10日)には舞台を東北部のオハイオ州コロンバスに移してアメリカ代表戦と、来年のワールドカップ共催国との2連戦に臨む。

 広大な国土を物語るようにアメリカ国内でも時差が存在し、コロンバスと日本の時差は13時間となっている。アメリカ戦後にチームは解散し、選手は各々の所属クラブへと戻っていく。鹿島のスケジュールを見れば、ホームのメルカリスタジアムに湘南ベルマーレを迎えるJ1リーグ第29節が13日の金曜日に待っている。

「日本へ帰ってきてから2日後に試合、というスケジュールも、そこでどれだけのパフォーマンスできるのか、といった点で、自分にとってはもう楽しみでしかないんですよ」

E-1で勝利貢献

 強行日程へ逆に言葉を弾ませた早川は、桐蔭学園高校から明治大学を経て2021シーズンに鹿島へ加入。翌2022シーズンの終盤戦でレギュラーを獲得すると、2023シーズン、背番号を「29」から守護神の象徴となる「1」に変えた2024シーズンと、2年続けてリーグ戦で全試合フルタイム出場を果たしてきた。

 迎えた今シーズンも全28試合でフルタイム出場を継続。Jリーグが発表しているスタッツのなかで、相手の枠内シュートを防いだ「セーブ総数」でトップとなる「81」をマークしている。身長187cm・体重81kgのサイズを生かしたダイナミックなプレーや正確なフィードが、森保一監督の目に留まった。

 国内組だけの編成で臨んだ7月の東アジアE-1サッカー選手権2025に招集された早川は、先発出場した同12日の中国代表との第2戦であわや同点のピンチを救うビッグセーブを披露。クリーンシートで2-0の勝利に貢献し、チームの主力となる海外組が加わる今回のアメリカ遠征にも続けて招集された。

 すでに8大会連続8度目のワールドカップ出場を決めている日本で、本大会開幕まで1年を切った段階で代表メンバーに名を連ねる状況が何を意味するのか。年代別を含めて「代表」の二文字に無縁だった早川は「今回選ばれたということに関しては、本当に鹿島に感謝したいですね」とこう続ける。

「メディアの方がワールドカップとかヨーロッパ組とかおっしゃいますけど、正直、僕のいままでの経歴を見てもチャレンジャーの立場なんですよ。その意味でも、常に選ばれてきた選手たちと一緒にプレーするなかでいまの自分の基準、いまの立ち位置といったものが分かるし、いまの自分で通用するのは何なのかを感じられるし、逆に足りないものが何なのかも経験できる。自分にとっては本当にポジティブな要素しかないですね」

早川「絶対にヨーロッパ組のほうがきつい」

 早川がアメリカ遠征へ向けた思いを語ったのは、敵地IAIスタジアム日本平で清水エスパルスと1-1で引き分けた8月31日のJ1リーグ第28節後だった。一夜明けた1日には日本を発つスケジュールが待っていたなかで、早川は「絶対にヨーロッパ組のほうがきついと思うんですよね」とこう続けた。

「何ならいま、この時間から試合をしている選手もいると思うし、そういった経験を聞けるのも面白いと思っているんです。僕はいつもプレミアリーグを見ているんですよ。リバプールとかブライトンとか。なので遠藤(航)選手や三笘(薫)の話をいろいろと聞いてみたいですね。自分が映像越しに見ているのと、実際にプレーしている選手たちの間にどのようなギャップがあるのか。そういうのを聞けるのも本当に楽しみにしています」

 ヨーロッパ組の鈴木彩艶(パルマ)を主軸に大迫敬介(サンフレッチェ広島)、谷晃生(FC町田ゼルビア)と東京五輪組で長く固定されてきた森保ジャパンのキーパー陣の序列を、ここにきて大きく変えた。

「いままで自分に携わってくれた方を含めて、いろいろな方から連絡をいただいてすごくうれしかったし、改めて日本代表という立ち位置は本当に素晴らしいものなんだ、感謝の思いを感じながら今回の2試合で自分がしっかりと結果を残していくのが重要なんだと思っています」

 自身も東京五輪世代である早川は、プロになって5シーズン目で先頭集団に追いついた。今回の代表選出時に周囲から受けた数々の祝福を新たな力へ変えながら、最新のFIFAランキングで17位の日本をともに上回る13位のメキシコ、15位のアメリカとの連戦で、大きな爪痕を刻むチャンスを貪欲に狙っていく。

(藤江直人 / Fujie Naoto)



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藤江直人

ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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