【プレミア開幕】「2mのメッシ」の異名 ヴィルツに並ぶ好数値…救世主に指名された“現代型CF”

ニューカッスルに加入したニック・ヴォルテマーデ【写真:ロイター】
ニューカッスルに加入したニック・ヴォルテマーデ【写真:ロイター】

プレミア初挑戦名鑑:ニューカッスルFWニック・ヴォルテマーデ(ドイツ代表)

 プレミアリーグ2025-26が開幕し、今夏の移籍市場は閉幕を迎えた。「FOOTBALL ZONE」では2025-26シーズンからプレミア初挑戦を飾る選手を紹介。今回はニューカッスルに加入したドイツ代表FWニック・ヴォルテマーデにスポットライトを当てる。絶対的エースFWアレクサンダー・イサクの退団表明後、思うようにストライカーを確保できずにいたニューカッスルが救世主に指名したのは、198cmの”現代型CF”だ。(参照:データメディア「Opta Analyst」、プレミアリーグ公式サイト)

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 ヴォルテマーデは、約6500万ポンド(約139億円)でニューカッスルが今夏に獲得した注目の大型ストライカー。移籍市場で選手に振られ続け、補強に苦しんでいたクラブにとって、締め切り直前での“ビッグディール”はサポーターの期待を一気に高めるものとなった。

 身長約2メートルという体格から典型的なターゲットマンを想像しがちだが、ヴォルテマーデの特徴はその先入観を覆す「柔らかさ」にある。ブレーメン時代の同僚や指導者からは「技術が高く、ボールを持った時の選択が賢い選手」と称されるなど、足元の技術と創造性に長けたプレーヤーだ。

 プロキャリアはブレーメンでスタート。2020年2月に17歳でクラブ史上最年少のブンデスリーガデビューを飾ったが、その後は新型コロナウイルス感染拡大や靱帯損傷など度重なる負傷により、思うようなキャリアを歩めない時期を過ごしたものの、2022-23シーズンには3部エルフェアスベルクへの武者修行が実を結び、31試合で10ゴール9アシストと躍動した。

 翌シーズンにブレーメンへ復帰すると、2023-24シーズンのブンデスリーガでは30試合に出場し、バイエルン・ミュンヘン戦では圧巻の個人技で存在感を示した。試合開始早々、自陣でボールを持つと2人をかわして脱出、さらにはマタイス・デ・リフトをトンネルで抜く技ありのプレーなど、テクニックと視野の広さを見せつけた。シーズン後半には10試合連続で先発出場を果たし、チームに欠かせない存在へと成長を遂げた。

 そして、2024-25シーズンにシュトゥットガルトへ移籍し、ワールドクラスのストライカーへと開花することになる。リーグ戦33試合17得点を挙げ、ドイツカップ制覇にも貢献。U-21欧州選手権では得点王となり、前線の起点としての働きも高く評価された。ボール保持時の冷静さ、味方を活かすセンス、危険なエリアへの積極的な飛び出しが、ビッグクラブの目に留まるようになった。

 実際、昨季のブンデスリーガでは非PK時のゴール12点を135分に1点のペースで記録し、非PKシュート数2.6本/90分と高水準。さらにシュート地点のほとんどがペナルティエリア内で、純粋なストライカーとしての嗅覚も備えている。ビルドアップ参加にも長けており、1試合平均1.9本のオープンプレーからのチャンス創出はセンターフォワードの中でリーグ1位。期待ゴールアシスト(xA)0.25はリバプールFWフロリアン・ヴィルツと並び、リーグ全体でも上位に食い込む水準だった。

 このように、ヴォルテマーデは決して「大きいだけのストライカー」ではない。豊富なドリブル(1試合平均9.8回のキャリー)や創造性(13本のチャンス創出キャリー)、そして高精度なシュート(決定率24.5%)と、多彩な武器を備えた“完成型”の現代型CFと言える。実際、バイエルンも獲得に動いたが、シュトゥットガルトは最大6000万ユーロ(約102億円)のオファーを拒否していたが、最終的に130億円オーバーの移籍金を提示したニューカッスルのオファーに応じた。

「2mのメッシ」の異名を持つヴォルテマーデは、かねてから自身の理想像に、世界最高の“万能型ストライカー”として知られるハリー・ケインの名を挙げている。プレミア史上最高のストライカーに数えられるケインの活躍に少しでも近づくことができれば、チームを去ったリバプールFWアレクサンダー・イサクの後釜として大きなインパクトを残すことができるだろう。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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