練習後、即女装で撮影も…本末転倒に危機感「そこが違うから」 田中パウロ淳一の矜持

栃木シティの田中パウロ淳一【写真:徳原隆元】
栃木シティの田中パウロ淳一【写真:徳原隆元】

時間のかかる編集をしない理由「それをやるとサッカーに影響が出てしまう」

 後半戦に突入したJ3だが、昇格組の栃木シティが優勝争いに絡む台風の目となっている。そのなかで2月・3月度の月間MVPに選ばれる活躍と同時に、SNSでもバズっているのがFW田中パウロ淳一だ。限られた時間のなかで、どのようにして両立しているのかを聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全6回の4回目)

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 TikTokでは、サッカー素人のはずの彼女が、突如として著名なサッカー選手のテクニックを披露する「彼女シリーズ」でバズった田中。再生数では1000万回再生を突破した投稿もある。普段の投稿でも100万回再生、50万回再生をコンスタントに記録しているが、やはり本業はサッカー選手だという矜持を持つ。

「もっとしっかりやれば、それで食っていけると思うんですけど。でも、そっちに全振りしないようにはしています。ただのインフルエンサーだったらそれでいいんですけど、そこが違うから僕がJリーグに行けているのはあります」

 TikTokでは撮影から投稿まで1人でやっているが、YouTubeは編集してもらっているという。「YouTubeを編集する時間は、僕にはないので。YouTubeだと編集が大変で椅子にずっと座っていないといけないので、それをやるとサッカーに影響が出てしまう」。だからこそ、「彼女シリーズ」との相性は抜群だった。

 練習を終えると、他の選手が帰宅するのをよそに女装に着替える田中。撮影こそチームメイトにお願いしているが、声も自身で吹き込む。「カメラは撮ってもらっていますけど、ほぼ編集は要らないので。声を当てているだけなので、それも考えてあのシリーズになっていますね」とあっという間に撮影を済ませる。

 サッカーのための時間を死守しながらも、いかに時間をかけずにバズらせるか。「Jリーガーを目指していると言っているYouTuberとかインフルエンサーの方もいると思うんすけど、逆転してしまっているので」と警鐘を鳴らす田中。自身の活動から、「そうじゃないというのを感じてもらいたいですね」と語る。

 それでも、貴重なプライベートを犠牲にしているのは間違いない。「撮影で帰りが遅くなることで家族との時間も短くなる。だからこそ、もうちょっとサッカーを頑張らないといけない」と覚悟を明かした田中。平日のほとんどをサッカーとSNSに費やしているが、オフの日には妻と過ごす時間をできるだけ作っているという。

 今の一番の目標を聞くと、「J2に行くこと」と力強く宣言。「J1はそんなに甘くないですけど、J2はいけると思っています。J2に行けば、もう何してもいいかなという感じです。その先はまだ考えていないですけど、後からやりたいことは増えると思います。引退した後は今はあまり考えていないです」と明かした。

 J2への自動昇格を掴み取ることができるのは、J3の上位2クラブだけ。栃木シティはヴァンラーレ八戸、FC大阪との激しい争いが続いている。「序盤は僕たちに勢いがあったと思うので、勝ち点を積んでもっと集客できるようにつなげていきたい」と語る田中。3年連続となる昇格へ、自信を胸に突き進んでいる。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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