負傷者続出の森保J…緊急事態を救う「貴重な存在」 識者が米国遠征メンバーをガチ予想

センターバックとボランチに怪我人が続出している
森保ジャパンは9月に北米遠征を行い、日本時間7日にオークランドでメキシコ、10日にコロンバスでアメリカと対戦する。来年6月開幕の北中米W杯に向けて、現地で2つの開催国に挑める絶好のチャンス。森保一監督もできるだけベストのメンバーで臨みたいと明言している。
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しかし、ここに来て最終予選の主力メンバーに怪我が相次いでおり、特に冨安健洋(無所属)と伊藤洋輝(バイエルン)に続き、高井幸大(トッテナム)や町田浩樹(ホッフェンハイム)の怪我が伝えられるセンターバック、田中碧(リーズ)と守田英正(スポルティング)が所属チームで負傷交代したボランチの選考には、90%決まっていることを示唆した森保監督も頭を悩ませているはず。しかし、言い換えればE-1選手権で、日本を優勝に導いた“国内組”や未招集の選手たちに招集のチャンスが広がったとも言える。改めて4バックにトライする可能性もあるが、今回は3-4-2-1をベースに候補を予想していきたい。
GKは最終予選でフル出場の鈴木彩艶(パルマ)を筆頭に、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、Jリーグでの好調が目立つ谷晃生(FC町田ゼルビア)の3人が順当だ。ただし、E-1選手権でアピールした早川友基(鹿島アントラーズ)や現在ベルギー1部で5試合3失点の堅守を支える小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)にも食い込むチャンスはあると見る。サプライズがあるとすれば、下田崇GKコーチも映像でチェックしていることを明かしたメジャーリーグ・サッカー(MLS)の高丘陽平(バンクーバー・ホワイトキャップス)か。ブンデスリーガの開幕戦でデビューを果たしたミオ・バックハウス(長田澪)がメンバー入りすれば面白いが。
怪我人続出のセンターバックで中心を担いそうなのが、新天地となるオランダの名門で早速スタメンを勝ち取っている渡辺剛(フェイエノールト)だ。また瀬古歩夢(ル・アーブル)もスイスからステップアップしたリーグアンで開幕デビューを果たしており、今回の遠征で序列を上げる可能性は高い。板倉滉(アヤックス)は伝えられるふくらはぎの負傷が深刻でなければ招集されうるが、ここで無理をさせるべきではないと判断されるかもしれない。アキレス腱の負傷から復帰した谷口彰悟(シント=トロイデン)も、現時点では出場時間をセーブしながらのプレーが続いており、招集は微妙なところだ。6月の最終予選で衝撃的なA代表デビューを果たした鈴木淳之介(コペンハーゲン)だが、湘南から移籍したデンマークの名門で、未だ出場チャンスの獲得にいたっておらず、今回は見送りか。
そうなるとUEFAチャンピオンズリーグにも出場できる、チェコの強豪で奮闘する橋岡大樹(スラヴィア・プラハ)にも大きなチャンスが回ってきそう。E-1選手権後に渡欧し、ベルギーの名門でセンターバックとしての評価を高める綱島悠斗(アントワープ)にもチャンスはありそうだが、リーグ戦で2試合続けて途中交代しており、コンディション面が100%ではないという懸念もある。それでも現在、欧州で出場チャンスを掴んでいる貴重な存在で、ボランチとのポリバレントでもあることから、有力候補であることは間違いない。あとは同じくE-1優勝メンバーから荒木隼人(サンフレッチェ広島)や安藤智哉(アビスパ福岡)、古賀太陽(柏レイソル)あたりから、この緊急時に“フルメンバー”でチャンスを得るかもしれない。
左右のウイングバックでは最終予選の主力メンバーから目立った怪我人は出ていないが、6月メンバーから三戸舜介(スパルタ)が、オランダリーグで負った膝の怪我で、選考外になりそうだ。久々の代表復帰戦となった6月のインドネシア戦で得点を決めるなど、評価を上げた森下龍矢(レギア・ワルシャワ)だが、大橋の所属する英国チャンピオンシップのブラックバーンへの移籍が決まった。前向きなステップアップだが、タイミングがタイミングだけに、代表選考にも影響する可能性もある。
常連組では堂安律(フランクフルト)や三笘薫(ブライトン)が当確とられるが、やはり気になるのは移籍騒動の渦中にある中村敬斗(スタッド・ランス)だ。トルコの名門ベシクタシュが有力候補にあがるが、9月の招集は難しいと見られる。一方でフランス2部降格の同クラブからベルギーの古巣に復帰した伊東純也(ゲンク)はまだ途中出場が続く状況だが、日本代表での信頼から順当に選ばれるのではないか。
E-1組ではチームキャプテンを務めた長友佑都(FC東京)に加えて、カタールW杯組でもある相馬勇紀(FC町田ゼルビア)が選出されてもおかしくないが、森保監督も現地視察した19歳の小杉啓太(ユールゴールデン)がU-20代表を飛び越えて、A代表に初招集される期待も高まる。この夏、スウェーデンから欧州5大リーグにステップアップする可能性も取り沙汰される中で、湘南ベルマーレの下部組織から欧州に飛び立った才能が、代表レベルでも開花するのか。もう一人、サプライズがあるとすればベルギーの新天地で、早くもポジションを掴んでいる畑大雅(シント=トロイデン)か。ただ、6月のメンバーである平河悠(ブリストル・シティ)も健在で、センターバックやボランチに比べると、潤沢なポジションと言える。右の望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)は手薄になっている3バックとのポリバレントで食い込む可能性も。
バーミンガム・岩田智輝は「面白い存在」
ボランチは田中と守田の状態が心配される中で、キャプテンの遠藤航(リバプール)と佐野海舟(マインツ)が中盤の軸になりそうだ。そこにベルギーからドイツにステップアップを果たした藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)が挑む構図だが、ここで伊藤敦樹(ヘント)が復帰してもおかしくない。山本理仁(シント=トロイデン)は昨夏のパリ五輪で共闘した藤田が移籍したチームで主力を担い、序盤戦の首位快走に大きく貢献している。小久保や谷口など、代表スタッフに注目されやすい環境であるだけに、ここのところの好調が目に留まってもおかしくない。
もう一人、面白い存在が岩田智輝(バーミンガム)だ。セルティックでは壁に当たったが、昨シーズンはリーグ1(イングランド3部に相当)で圧倒的な活躍を見せてチャンピオンシップ昇格に大きく貢献。そのまま中盤の主力として開幕ダッシュを支えている。現在はセントラルMFが主戦場となっているが、センターバックやサイドバックとのポリバレントであることも、2022年のE-1選手権から3年ぶりのA代表復帰にはプラス材料だ。また佐野航大(NECナイメヘン)もオランダで開幕フル出場を続けており、6月の活動に続いて招集されてもサプライズではない。E-1組からの抜擢があるとすれば川辺駿(サンフレッチェ広島)か。ポテンシャルとしては怪我から復調中の中島洋太朗(サンフレッチェ広島)も面白いが、佐藤龍之介(FC東京)とともに、9月末からチリで行われるU-20W杯に主力として出た方がプラスではないか。
2シャドーは久保建英(レアル・ソシエダ)と南野拓実(モナコ)の招集はほぼ確実と見られるが、プレミアリーグ開幕前のコミュニティ・シールドで膝を負傷した鎌田大地(クリスタル・パレス)は、試合復帰に向けて前向きな状況にあると伝えっれる。しかし、“森保ジャパン”の強みとも言える同ポジションで、コンディションに不安のある鎌田を強行選出するのは道理に合わないのではないか。そう考えると同じボランチとのポリバレントである旗手怜央(セルティック)、デンマークからステップアップしたブンデスリーガの開幕戦で先発デビューした鈴木唯人(フライブルク)が有力だ。E-1後もJリーグで好調を続ける宮代大聖(ヴィッセル神戸)や中村草太(サンフレッチェ広島)がここでチャンスを掴んでもおかしくないが、FWの大橋祐紀(ブラックバーン)などもこなせるポジションだけに、どうなるか。
1トップは上田綺世(フェイエノールト)と小川航基(NECナイメヘン)がオランダの開幕戦から順調に滑り出した一方で、ドイツ国内でのステップアップを果たした町野修斗(ボルシアMG)は終盤からの出場にとどまっている。町野はシャドーもこなせる選手なので、27人編成であれば3人とも選ばれる可能性もあるが、浅野拓磨(マジョルカ)の復帰なども十分に考えられる。チャンピオンシップでリスタートとなった古橋亨梧(バーミンガム)は得点という結果を出せていないが、新しい環境でスタメン起用されているのは好材料だ。
その古橋の元同僚である前田大然(セルティック)はスコットランドの開幕3試合で2アシスト。ゴールを量産した昨シーズンから本領発揮とまでは行っていないが、ここで選ばれない理由が見当たらない。前線は未招集の選手にとって狭き門だが、サプライズがあるとすれば、アンデルレヒトから期限付き移籍したベルギーの新天地で、連続ゴール中の後藤啓介(シント=トロイデン)と森保監督も視察し、高評価を語った坂本一彩(ウェステルロー)か。ただ、後藤はやはりU-20W杯が優先される可能性が高いと予想する。

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。



















