418連勝で記録ストップ「歴史を壊した」 まさかの敗戦に”絶望”…名門が燃やす闘志「まだ終わってない」

インターハイ予選で敗戦も選手権へ闘志を燃やす青森山田【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
インターハイ予選で敗戦も選手権へ闘志を燃やす青森山田【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

インターハイ予選でまさかの敗戦となった青森山田に脚光

 高校生たちにとって全国大会が終わったこれからが本当の夏を迎える。高体連はインターハイ、Jクラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く「真夏の挑戦者」シリーズ。

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 第12回はインターハイ青森県予選決勝で八戸学院大野辺地西に1-1からのPK戦の末に敗れ、県25連覇を阻まれた青森山田について。県内公式戦連勝記録が418連勝でストップするなど、全国的に大きな話題となったこの試合から2か月。捲土重来をチーム全員で期する彼らの夏を描く。

「あの敗戦はチームの歴史を壊してしまって申し訳ないという気持ちが強かった。でも、しもう過去を引きずっていても仕方がないので、みんなで前を向いてやっていこうと話し合いを重ねてやっています」

 青森山田のMF杉山大起は、和倉ユースサッカー大会(以下・和倉ユース)の試合後にこう口にした。杉山はこの大会、炎天下のゲームの中でも最後まで声を張り上げ、サイドで果敢なプレスと縦突破、カットインを仕掛け続け、チームを鼓舞し続けるなど、チームのムードメーカー、リズムメーカーとして献身的かつ積極的なプレーを披露した。

「インターハイに行けなくなった期間は、大学生とも試合をたくさんしたし、和倉ユースも強豪校や強豪Jユースが一同に介する重要な大会なので、本当に個人としても、チームとしても成長しようと並々ならぬ気持ちで臨んでいます」

冬の選手権へ向けて闘志を燃やしている

 5月に取材した時よりもフィジカルはさらに屈強になっていた。それは杉山だけではなく、他の選手たちにも当てはまることだった。

「あの一戦の直後は大きな絶望が襲いかかりましたし、本当に悔しいというか、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、そこで『変わらなきゃ』と本気で思って、大きく変わろうとしているのが今だと思います」

 こう口にしたエースストライカーの深瀬幹太も肩まわりや足の筋力が増していた。深瀬はプレミアEASTでチーム最多の6ゴールをマーク。彼がゴールをした5試合は全勝している。だが、県予選決勝はゴールを決めることはできなかった。

「改めてチームの勝利が自分に懸かっていると思いました。責任感が増したというか、普段の練習から(シュートの)1本中の1本を必ず決めるとか、パスが少しでも雑になると、ああいう結末を迎えてしまうなど、1つ1つを大切に、集中して取り組むことの重要性を痛感したので、より意識は高まりました」(深瀬)。

 プレミアリーグのライバルたちがインターハイ、日本クラブユース選手権でしのぎを削る中、彼らはリベンジを胸に、チームの強化、個人の強化に全力を尽くした。7月の初めの方は「直近の明確な目標がなくなって、みんなが同じ方向を向くのが難しい時期もあった」(杉山)が、何度も選手間でのミーティングを重ねて、徐々に意見が出てくるようになった。

「悔しい思いはありましたが、インターハイを客観的に見てみると、運動量や強度を持つチームがちゃんと上位に来ていたし、サイドからの得点が多い印象を受けました。僕はサイドの攻撃の選手だからこそ、自分がもっと起点となってチャンスメイクと、自ら決め切れる選手になっていきたいと思っています」(杉山)。

 過去はどうあがいても変えられない。現実から目を背けていても何も始まらない。このことを深く理解している彼らは、今やるべきことをひたすら継続していくことに闘志を燃やしている。

「2冠(プレミアリーグ、選手権)を目指して、スタートを切っています。みんなで『青森山田はまだ終わっていないぞ』というところを見せたい」

 杉山のこの言葉が全員の総意だった。青森山田のプライドは前に進む大きなエネルギーとなっている。巻き返しの土台を作る夏へ。妥協を知らない彼らは、力強い一歩を踏み締めている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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