町田が優勝戦線に浮上できている訳 6月が転機…代表OBが称賛する手腕「黒田さんにしか見えない」

町田を率いる黒田剛監督【写真:徳原隆元】
町田を率いる黒田剛監督【写真:徳原隆元】

【専門家の目|太田宏介】古巣で町田の現状に言及

 FC町田ゼルビアは8月11日、J1リーグ第25節でヴィッセル神戸と対戦し2-0で勝利を収めた。これでリーグ戦6連勝を達成、1位鹿島アントラーズと勝ち点差4となったなか、元日本代表DF太田宏介氏が古巣の戦いぶりやキーマンについて語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 町田は昨季、黒田剛監督2年目でJ1初昇格ながらもリーグ終盤まで優勝争いを演じ、最終的には3位と健闘。今季も黒田体制で挑み優勝へ向けてスタートしたが、開幕3戦で2敗と少し出遅れた。その後は4勝2分と勝ち点を積み上げたが、そこから6試合で5敗と苦境に陥った。

「序盤戦は怪我人が続いてメンバー固定できずにいて、去年のサッカーがベースとなるなかで、オ・セフンが1トップを務める形が多かったですけど、あまり結果が出ずに代わりにミッチェル・デュークが出る。基本的にその1トップがターゲットマンとして動き、そこから相馬や西村がセカンドボールを回収してみたいなパターンが多かったが、あまり機能はしてなかったですね」

 そこで町田は昨年パリ五輪にも出場し、チームトップとなる9ゴールを決めていた藤尾をスタメンで起用。藤尾は今季序盤ベンチを温めることが多く、開幕から19試合でスタメン起用はたったの3回であった。しかし5月末から徐々にスタメンの座を奪取し、直近では6試合連続でスタメンとなっている。

「6月から藤尾(翔太)に代えてから前線からの守備が整理されてハマるようになるようになって、これまでよりも高い位置でボール奪えるようなったんですよ。それである程度ボールを握れる時間が増えたんですよね。去年もそうだったんですけど、普段の練習って戦術的に細かいパスつなぎだったりとか、試合で見せている町田の姿とは正反対のことをやるんですよ。その積み重ねが得点を見てもいろんなバリエーションが増えてきて、セットプレーはもちろん強みですけどそれだけに頼らない、それだけじゃなくていろんなところから取れるようになった」と、藤尾起用とともにチームが浮上していったと要因を明かした。

 さらに町田は神戸戦で左サイドが本職の日本代表DF中山雄太をボランチ起用し、ミドルを決めるなど好パフォーマンスを披露。藤尾の起用を含めて、黒田監督の采配が光っている。

「思い切って変えたのが功を奏したしたと思いますし、何より(藤尾)翔太に関しても期待しながらずっと使い続けていってたんで、選手を変えるタイミングだったりとか選手を開花させるのは凄いですよね。中山も林幸多郎に左サイド取られてベンチの期間もありましたが、コンバートのところとかすべて結果に直結してる。就任されてからもう3年連続でずっと見せ続けているので、近くにいても分からないですけど、不思議な力を持ってますね。多分そういった勝負の目というか黒田さんにしか見えない感覚があるんでしょうけど、凄いですよね」と黒田監督の采配を絶賛している。

 町田は現在首位と勝ち点4差で2年連続優勝争いをしているなか、「すごい楽しみですね。去年やっぱり悔しい思いしてるんで、初めての経験ではないしより去年の経験が生きる。経験豊富な選手たちも多いですし、今年は特に楽しみですね。去年以上にチームとしての力っていうは選手層を含めて感じます。たまに練習に行きますけど、上に行くチームのオーラというか空気感は漂ってます」と期待を寄せている。果たして悲願のJ1制覇となるのか、黒田監督の采配を含めて注目が集まる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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