来年プロ争奪戦の逸材「難しい役割でした」 決勝でアシスト…真夏の連戦で光った“能力”

神村学園2年DF竹野楓大…182センチの右サイドプレーヤー
8月2日に幕を閉じたインターハイ男子サッカー。昨年度から5年間、福島県での固定開催となったこの大会は、全国の予選を突破した51校が激しい戦いを演じた末に、神村学園と大津がファイナリストとなった。決勝は激闘の末に2-2からのPK戦で神村学園に軍配が上がった。
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昨年度のインターハイ決勝で昌平に延長戦の末に2-3で敗れ涙を飲んでから1年。同じ場所で初の栄冠を手にした神村学園のキーマンたちの物語を紹介していく。
第2回は右サイドでスペシャルな能力を持つ期待の2年生DF竹野楓大について。「3-4-2-1」では右ウィングバック、「4-3-2-1」では右サイドバックを務める182センチの竹野の凄さとは。
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182センチのサイズがあってずば抜けたスピードを持つ。右足のクロスを得意とし、守備面でも対人能力の高さと空中戦の強さを誇る。非常にハイスペックな将来有望のサイドプレーヤーだ。
神村学園中時代から注目を集めていた竹野は、中学3年時にU-15日本代表候補に選出されると、今年はU-17日本代表の一員としてスペイン遠征に参加。プレミアリーグWESTで前期11試合すべてに出場をし、インターハイでも5試合すべてにスタメン出場を果たした。
魅力は攻撃力にある。神村学園はウィングバック、サイドバックが高い位置をとってピッチを広く使うサッカーを特徴としている。特に4バックを敷くときは、攻撃時だけではなく、ビルドアップするときも両サイドバックが高い位置に張り出して、ウィングのような役割をこなす。
その中で守備を免除されているわけではなく、ネガティブトランジションになったら全速力でDFラインまで戻ってCBがサイドに吊り出されないようにしないといけない。つまり1試合を通して激しいアップダウンが求められる過酷なポジションでもある。
その難しいタスクを竹野は初戦から決勝まで見事にやってのけた。初戦から準々決勝までは右ウィングバックとして全体のバランスを見ながら、機を見た攻撃参加を繰り出す。準決勝は高い位置でプレーをしながらも、「後ろは常に意識をして、切り替わった瞬間に戻ることを意識した」と、尚志のキーマンであるドリブラーMF臼井蒼悟が飛び出してきたら猛然とダッシュで戻って、プレスバックで潰しにかかった。
大津との決勝戦では同点弾をアシスト
大津との決勝では、マッチアップするドリブラー・岩﨑天利と攻撃的右サイドバックの村上慶のコンビに対して、「なるべく穴を作り出さないようにした」と守備のポジショニングに気を配りながらも、攻撃に転じたら「そのまま後ろに重くなったらチームの良さが出せなくなる」と躊躇なくサイドを駆け上がって中央のゲームメークをサポート。
0-1で迎えた後半アディショナルタイム6分には右サイドを駆け上がって、正確なクロスからMF日高元の値千金の同点弾をアシスト。延長戦に入っても前半9分に足をつって交代するまでは最後までフルスプリントで攻守にわたって走り抜いた。
「5試合を通して難しい役割でしたが、自分なりに考えてチームのプラスになるプレーを心がけました。特に決勝の大津戦は自分のところにFW、サイドハーフ、ボランチかサイドバックと常に3人がいるような状態で、そのポジションチェンジに対して、僕が対応しないといけなかったので、一番頭を使いました。CBの中野(陽斗)の正確なコーチングにも助けられました。攻撃面では止まってボールを受けても怖くないので、動きながらもらって突破することを意識しました」
豊富な運動量とスピード、そして動きの中でも頭の回転と技術。間違いなく来年はプロの争奪戦が起こるであろう期待の2年生DFは、真夏の連戦を通じてその才を遺憾なく発揮し、チームの歴史を塗り替える初の全国制覇に大きく貢献した。
「守備のスライドの面では、代表のときも遅れてしまうことがあって、指摘をされていた。代表から帰ってきて、常に相手より早く準備をして構えることを意識しているので、その成果が少しは出たと思っています。ただ、まだまだ磨いていかないといけないとも思いました」
掴んだ手応えと、再確認した課題。経験値を重ねた竹野は、これからに向けてこう決意を新たにした。
「ここで王者となったからには、ここから刈り取られる側になると思う。そこで怯むことなく、『自分たちならやれる』という自信を持ってやっていきたいと思います。もちろんそのためにもっと成長していきたいと思っています」
(FOOTBALL ZONE編集部)



















