来月開始“8秒ルール”がJに与える影響「苦戦するチーム出る」 クラブW杯で体感…元代表GKの攻略法

浦和GK西川周作はクラブW杯で一足早く経験した
J1リーグは7月27日、未消化だった第23節の浦和レッズ対アビスパ福岡の一戦が行われた。0-0の引き分けに終わったが、これにより、全20クラブの消化試合数が24で並び、浦和は勝ち点38で8位、福岡は同32で11位となっている。
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J1は次節が8月9日に再開されるが、この試合からは新たにFIFAクラブ・ワールドカップ(W杯)でも導入されたGKの8秒ルールが採用される。このルールは、GKがボールを手で保持したまま8秒以上が経過した場合、対戦相手にコーナーキック(CK)が与えられることになるというもの。8秒のカウントを分かりやすくするために、主審はGKが手でボールを保持して次のプレーに移行できると判断した段階から8秒のカウントダウンを開始し、残り時間5秒からは手を挙げて指を折り、声を出して秒数を伝えることになっている。
このルールを一足早く経験したGKがいる。クラブW杯に出場していた浦和のGK西川周作だ。実際にクラブW杯では、このルールのもとで3試合をプレーした西川は、新ルール適応が暑さの残る夏になることから、GKだけではなく、フィールドプレーヤーにも影響が出ると予想する。
「(新8秒ルールが)始まるタイミングが夏ということなので、フィールドの選手からすると、すごく苦しいと思います。押し込まれている状況でGKがボールを取った時、時間帯を考えると前に出ていけない時間も当然あります。そこでの時間の使い方は、やっている側からしたら苦しいと思っています。僕はクラブW杯で経験しているので、タイミングや時間が迫った時にどうするかはある程度、(どうすればいいかという感覚が)あるんですけど、苦戦するGKやチームは出てくるんじゃないかなと思います」
西川はクラブW杯での3試合、ボールを手で収めた時に8秒を頭のなかで数えるのではなく、主審のサインを意識していたと振り返る。「僕はレフェリーの手が上がるのを待って、(どこに蹴るか)判断しようと思っていました。手が挙がって5、4、3、2、1とやるので、その5秒でどこに蹴るかを考えればいいかなと。慌てないことが大事ですが、自分だけでなく受け手にも伝わっていないといけない。それによって蹴る場所、蹴るボールの質が決まってくるのかなと思います」と話した。
審判の挙手を意識していたということは、これまでボールを持った時に、すぐにピッチを見渡してどこに蹴るかを決めることができた西川には、新たに主審を見つけて、その手が挙がることを確認するという作業が加わったことになる。浦和の守護神は「レフェリーの方を見ながら良い目安にしたいと思っていますし、相手が嫌がるフィードを出せるように、その8秒でしっかり判断したいと思います」と言ったが、戸惑う選手も間違いなく出てくるだろう。
最近でこそ足を使うGKは珍しくなくなってきたが、西川はキャリアの早い段階から今のように足元の技術に秀でた、異色のGKだった。改めて、なぜ、そういうプレースタイルになったのかと聞くと、「中学の時、前半はGKをやって、後半はFWをやったりして、フィールドプレーヤーの経験もあったので、そこ(足元の技術)は自信がありました。育成年代でも、やっぱりGKだけじゃなくてフィールドのトレーニングに混じったりすることもいいのかなと思います」と、二刀流で鍛えた成果だったと明かしてくれた。今後、新8秒ルールが浸透し、さらに相手のプレスを回避する際にGKの重要性が増すなか、西川のように育成されていくGKも増えていくかもしれない。
(河合 拓 / Taku Kawai)





















