日本語で記者を出迎え 語学堪能のJ助っ人、体感した中東サッカーの難しさ「これは言わなければ」 

アレクサンダー・ショルツが体感した中東リーグとJリーグの違いとは?【写真:(C) FC TOKYO】
アレクサンダー・ショルツが体感した中東リーグとJリーグの違いとは?【写真:(C) FC TOKYO】

Jリーグに復帰したショルツが抱く日本への想い

 今夏の移籍市場でカタール1部アル・ワクラSCからFC東京に完全移籍で加入をした元デンマーク代表のDFアレクサンダー・ショルツ。守備再建のキーマンとしてFC東京に加入した32歳の助っ人が日本復帰への思いを話してくれた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真/全2回の2回目)

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「今日のインタビューはだれ?」

 流暢な日本語で迎え入れてくれたショルツ。FC東京に加入した最初の挨拶を日本語でこなし、「意味ワカル?」のフレーズがファン・サポーターの間で話題にもなった。今回のインタビューにも日本語で受け答えをすることがほとんどで、その語学力に驚いた。

 ショルツが初来日したのは2021年7月23日のこと。デンマーク1部ミッティランから浦和レッズに完全移籍で加入すると、23年のAFCチャンピオンズリーグ優勝に貢献し、23年Jリーグベストイレブンに選出されるなど、守備の要として活躍。3年半の在籍で135試合21ゴール3アシストを記録した。

 浦和退団のセレモニーでは通訳を伴わず、日本語でスピーチ。「ありがとうでは足りない」とファン・サポーターに直接伝わる言葉を残して浦和を去った。

 そして今年6月、FC東京への完全移籍加入が発表され、日本に復帰。カタールでの1年間は「予想していたよりも難しかった」と振り返りながら、日本との違いについて話した。

「いいプレーができるように準備をしていたんですけど、自分のスタイルにはちょっと合っていないところが大きくて。自分の特徴はチームメイトがより良い状態でプレーをするというところなのですが、カタールではより個人の選手が中心のサッカーだった」

 浦和時代に圧倒的な守備力を見せ、ベストイレブンに選出されたショルツほどのプレーヤーが苦労する環境。カタールには「個人ではすごくいい選手が多くいた」ようで、「ディフェンダーにとっては難しくて、ストライカーにとってはやりやすい環境」だと話す。その一方で、Jリーグは「ストライカーにとってはより難しくて、ディフェンダーとってはより守りやすいようなリーグ」と、実際に体感したサッカー面での違いについて教えてくれた。

 カタールに挑戦を求めたなかで、日本が恋しくなる瞬間もあったというショルツ。特に食事面でそれを痛感したようで、浦和で過ごした3年半が大きな影響を与えたという。また、カタールではJリーグとは全く異なる応援文化も経験。ファン・サポーターがほとんどいないスタジアムでの試合も経験した。

 それでも、自身の経験として「それも経験してみたいっていうような気持ちもありました」と前向きに捉えながら、「もちろんファン・サポーターが多くいるようなところでプレーする方がやっぱりサッカーは楽しいなと思います」と、日本に帰ってきてファン・サポーターあってこそ感じる楽しさも見出した。

 そして、カタールでの1年間ではうまくいかなかったことを認めながら、「これは言わなければならない」とショルツらしい言葉が返ってきた。

「カタールでの1年というのは本当に重要な時間で。なぜこれを言わなければならないかというと、あまりうまくいかなかったっていうのは、そういった周りの環境のせいではなくて、全部自分にあることだと思ってる」

 浦和時代には「90%が日本人」と話していたショルツだが、現在は「65%〜75%くらい」まで戻ってきたという。1年のブランクもあり、「日本語のレベルはもっと高いと思ってるけど、やっぱり人前で話すのはいつも難しい」と語学面でもまだまだ向上の余地があるようだ。第一言語はデンマーク語だが、英語、ドイツ語、オランダ語、フランス語を操り、カタールでは日常会話レベルのアラビア語を学んだという。

 日本語はオンラインで日本語の先生とマンツーマンで学び、スマートフォンのアプリでは漢字も勉強しているという。選手とも日本語でコミュニケーションをとることが多いようで、意思疎通に問題なし。Jリーグでも屈指の助っ人DFが日本でサッカーをする楽しさを噛み締めながら、青赤のチームに還元していく。

(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)



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