浦和に突き付けられた「9」 次は結果で爪痕を…リベンジへ西川「ぬるいプレーをしているようでは」

浦和の西川周作【写真:ロイター】
浦和の西川周作【写真:ロイター】

浦和は3戦9失点で全敗し大会を終えた

 浦和レッズは米国開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)に出場し、グループリーグ敗退で大会を終えた。2021年6月に天皇杯の初戦を戦ってから4年にわたって続いた大会が一区切りを迎え、全ての歩みを知るGK西川周作は「本当にたくさんの方、そして選手が本当に努力してきて得られた大会」と話し、「本当にいろんな感情が入り混ざった大会になった」と振り返った。

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 浦和の今大会の出場は、2021年の天皇杯優勝から、22年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)東地区の戦い、23年のACL決勝を経て切符をつかんだ。23年の12月には、以前のミニトーナメント形式のクラブW杯に出場し、中間チェックポイントのような経験も積んだ。21年の天皇杯初戦は6月9日のカターレ富山戦。当時J3の富山を相手にFWキャスパー・ユンカー(現名古屋グランパス)の決勝ゴールで辛くも1-0の勝利を収めていた。

 この道のりの中では、何度も敗退しそうな瞬間があったが、すでにチームを去るか引退した選手たちが多くを救ってきた。21年の天皇杯決勝は大分トリニータ戦だったが、リードを守りきるためにユンカーを交代させたものの同点に追いつかれた。FWの控えがいない中で投入されたのはDF槙野智章(22年にヴィッセル神戸で引退)で、そのシーズン限りでの契約満了が決まっていた男が劇的な決勝ゴールを決めた。準決勝のセレッソ大阪戦では、同様に契約満了が発表されていたDF宇賀神友弥(24年の浦和復帰後に引退)もゴールを決めた。

 22年のACL準決勝では全北現代(韓国)戦で、1-2のビハインドで迎えた延長後半終了間際にDF酒井宏樹の決死のタックルからクロス。DF明本考浩(現ベルギー1部ルーヴェン)のヘディングのこぼれ球をユンカーが押し込んだ。23年のACL決勝では、サウジアラビアの強豪アル・ヒラルを相手にFW興梠慎三(24年に引退)が貴重なアウェーゴール。ホームの第2戦では、MF岩尾憲(現徳島ヴォルティス)のフリーキックが相手のオウンゴールを誘った。こうやって、32チームに拡大リニューアルされた今回のクラブW杯への出場権を手にしていた。

 西川は「本当にたくさんの方、そして選手が本当に努力してきて得られた大会でもあるので、得るものがたくさんあったのかなと思う」と、全試合を終えて振り返った。そして「この3戦は僕にとっても、チームにとっても無駄じゃなかったなと大きな手応えもあり、悔しさもあり、本当にいろんな感情が入り混ざった大会になったと思います」と、1つの長い道のりを終えて話した。

 23年のクラブW杯では、リーグ最少失点のチームが準決勝でマンチェスター・シティ(イングランド)に0-3で敗れ、3位決定戦ではアル・アハリ(エジプト)に2-4で敗れた。堅い守備が持ち味のチームが臨んだ今回も、3試合全てで複数失点を喫して合計9失点だった。0-4で終えた現地時間6月25日のモンテレイ戦後に西川は「最後に仕留めてくる力とか、そういったところは差を感じた部分です」と話し、国内での戦いでの意識を高める必要性を口にしている。

「クラブとしても結果を出せなかったこと、一つ差を感じられたことが、収穫だと思っています。あとはこの悔しさ、この差をどう埋めるべきかって考えると、やっぱりJリーグでの環境は本当に大事になってくると思うので、Jリーグで緩いプレー、ぬるいプレーをしているようでは結果も出ないと思いますし、Jリーグで大丈夫でもこういう場所では通用しないっていうところは、全員が感じられたと思います。日本に帰ってどれだけ高い意識で、与えられた環境の中で自分たちがやるか、やらないかだと思っています」

 1つの長いプロジェクトは米国の地でフィナーレを迎えた。望むようなハッピーエンドにはならなかったかもしれないが、それは次へのスタートも意味する。莫大な資金を持つサウジアラビア勢の台頭もあり、以前よりJリーグのクラブがアジアの頂点に立つハードルは高まっている。まして、浦和は2016年を最後にリーグ戦の成績で翌シーズンの本大会出場の権利を得たことがない。基本的に天皇杯からACLエリートへ出場する道がなくなった今、リーグ優勝が1回のみの浦和が4年後に大舞台へ戻ってこようと思えば少なからず変化も必要になるだろう。

 今大会で浦和が話題に上ったのは、必死の声援を送るサポーターの熱量がほとんどだった。次はサッカーの部分でも爪痕を残して世界にアピールするためにも、国内で違いを見せるだけのチーム力を身に着けることが求められる。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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