プロ初出場なのに…浴びた大ブーイング「自分の課題はっきり」 歴史的敗戦での第一歩

望月耕平と加藤海輝が天皇杯敗戦を振り返った【写真:Noriko NAGANO】
望月耕平と加藤海輝が天皇杯敗戦を振り返った【写真:Noriko NAGANO】

望月耕平と加藤海輝「ボールをもう少し受けたかった」「クオリティまだ低い」

 プロキャリアは、ブーイングとともに幕を開けることになった。6月11日に行われた天皇杯2回戦で、J1リーグに所属する横浜F・マリノスは、3カテゴリー下のラインメール青森に0-2の完敗を喫した。この試合に横浜FMはFW望月耕平が先発出場し、MF加藤海輝が後半開始からの途中出場で、初めてプロのピッチに立った。2人の下部組織育ちの若手の門出となったが、格下の相手に敗れたことで試合後はブーイングを浴びることとなった。

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 序盤からボールを圧倒的に保持した横浜FMだったが、青森のGK廣末陸の好セーブにもあい、得点を動かせない。逆に前半35分にDFサンディ・ウォルシュが不用意な守備でPKを与えると、これを廣末に決められて先制される。さらに前半ATには相手のロングボールの処理をDF鈴木冬一がミスしてFWルイス・フェルナンドに追加点を決められた。ハーフタイムでその2人を含め3人の交代を行ったパトリック・キスノーボ監督は、試合後に「失点は自分たちから与えたようなもの」と憮然とした表情で話したが、出場機会を得てアピールをしたい選手たちが試合を壊してしまった。

 そんな試合だったからこそ、初出場の2人にとっては難しい状況だった。憧れていたプロのピッチに立てた喜びはありながらも、チームにとって悪い意味での歴史的な敗戦を喫し、試合後の望月は複雑な表情を見せた。

「Jリーグのベンチに入っている時も、ファン・サポーターから大きな歓声をたくさん受けてきましたが、あらためて自分が先発でピッチに入ることは感慨深いなと思いましたし、たくさんのパワーをもらえて試合に入れました」と、デビューを振り返り「ボールをもう少し受けたかった。相手にブロックを引かれていて間のスペースがなく、クロスからのシュートは多かった。その部分は自分の強みではないので、もう少しスペースでボールを受けられれば良かった」と、自分の良さが出にくい状況でのプレーを強いられたことを悔しがった。

 前日にはU-16日本代表時代から望月と仲が良いというMF佐藤龍之介がフル代表デビューを果たしていた。「世代別代表でも仲良くしていて、良い関係なので、一番の刺激というか、A代表で試合に出たことは素晴らしいと思いますし、自分もそこに早めに追いつけるように努力したい」と、刺激を受けていたなかでのデビュー戦だっただけに、格下相手の敗戦には感じるものが大きかった。

 0-2のビハインドという、より厳しい状況でピッチに送り出された加藤も「突然のことだったのですが、こういう形でデビューできたのは嬉しかったです。朝からずっと緊張していたのですが、(望月)耕平くんが(集合場所の)ホテルまで一緒に行ってくれて少しほぐれました」と言い、「0-2になって出ないかもなと思ったのですが、突然出られることになって自分の出場をきっかけ何かを変えたいと思ってピッチに入りました。2列目からの飛び出しなど、いくつかチャレンジできたこともありましたが、クオリティがまだ低いなと感じて。自分の課題がはっきり見えてきました」と、ピッチに立った45分間を振り返った。

 屈辱的な敗退のなかでも、2人が新たな一歩を踏み出したことはチームにとってもポジティブなことだ。望月は「試合を絡むにしても、チームの勝ちを最優先に考えて自分を動かしていかないといけないと思う。どんどんチームとしても、個人としても、積み重ねていかないといけない」と、勝利への意欲を高めた。先のことを考えれば人々の記憶に残るようなジャイアントキリングを喫した試合でデビューを飾ったことは、決して悪いことだけでもないだろう。これまで以上に勝利が求められる環境に立ったことを強く実感した2人が、「実はあの試合でデビューだったんだ」と笑って振り返る日がきっと来るはずだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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