Jから言われた「APTを伸ばしたい」 躍進クラブ監督が賛同「同じ方向に進むべき」

柏のリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】
柏のリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】

柏は東京Vに勝利

 ルヴァンカップのプレーオフラウンド第2戦が6月8日に行われ、柏レイソルは東京ヴェルディに2-1の逆転勝利を収め、2試合合計スコアを5-1として勝ち上がりを決めた。昨季は残留争いをしていた柏だが、J1リーグでも4位と好調をキープしている。

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 結果が出ているチームだからこそ、不思議に映るシーンがあった。試合終了直前のラストプレーのことだ。柏はCKを獲得した。第2戦のスコアも2-1とリードしているなかで、途中出場したMF小泉佳穂は素早くコーナーアークまで行き、間髪入れずにリスタートをした。結局、フィニッシュに行くことなく攻撃は終わったが、通常であればリードを守りに時間稼ぎをしてもおかしくない時間帯だ。

 選手たちがそうしたプレーを選択した理由をリカルド・ロドリゲス監督に聞くと、「多分、選手たちはプレーすることを満喫していたのではないでしょうか。もっともっと楽しみたい、自分たちのプレーで人々、サポーターのみなさんを楽しませているという実感があったのか、さらにプレーを続けようとする意欲が沸いていたのでクイックスタートしたのではないでしょうか」と、説明した。

 とはいえ、これが90分で完結するゲームであれば、そうした選択にはなっていなかっただろうとスペイン人監督は続ける。「2-1で勝っていたことに加えて、第1戦でも3-0で勝利していたため、トータルでは5-1という状況です。必ずしも時間を費やすことが必要な状況ではないということも、選手たちの頭のなかにあったのでしょう」と、ショートコーナーでプレーを再開した選手たちへの理解を示した。

 実際、ショートコーナーをした小泉佳にも意図を確認すると、「2戦合計で5-1だったので、時間稼いでどうこうする時間でもなかったので、少し早くリスタートして、もう1点取りに行きたかったんです」と、口にした。そして、そこにあった3つの意図を説明してくれた。

「一つはチームのスタイルで、今年はどんどん点を取りに行こうとしているのを表現したかったのと、僕もそうですが途中から出ている選手たちには少しでもチャンスでアピールしたり、点を取りたい気持ちがあったと思うので、それが一つです。あとは、そっちの方が見ている人たちも面白いかなと思ってやりました」と、

 ルヴァンカップではリーグ戦でなかなか出場時間を得られない選手が出ることも多い。そうした選手たちにとっては、一瞬一瞬が大事なアピールの場になる。少しでもプレー時間が欲しいという思いも、クイックリスタートにはあったようだ。「スタートから出て90分プレーしている選手たちは、『(点差が開いていて)セーフティーだから、ゆっくりでいいじゃん』って思っていたかもしれませんが、そこは我慢してもらってやらせてもらいました」と、小泉は笑顔を見せたが、柏がしっかりしたチーム内競争ができている証と言えるだろう。

 また、スペイン人監督は、リーグや他クラブにとっても自分たちの姿勢を見せるプレーになったと胸を張った。

「私は選手たちに常に『もっとプレーしよう。より攻撃を続けよう』と伝えています。毎試合、試合前に行われるマッチコミッショナーミーティングでは、『Jリーグはアクチュアルプレーイングタイムを伸ばしたい。皆さん協力してください』と言われます。私はその意見に共感しますし、プレミアリーグを筆頭にヨーロッパの5大リーグもその方向に進んでいますから、Jリーグも同じ方向に進むべきだと思います。それに我々は大きく貢献していますが、多くのチームはJリーグの目指す方向性にありません。今日、このチームがJリーグの目指す方向に大きく貢献していることを、ピッチの中でも最後のプレーで証明してくれたと思います」

 会見中、ほとんど表情を変えなかったリカルド・ロドリゲス監督だが、ルヴァン杯ベスト8進出と同時に、自身が日頃から伝えていることが浸透していることを確かめられたことにも手ごたえは感じられたはずだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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