J1練習参加…190cm&85kgの逸材 父はナイジェリア人、病気で2年プレーできずも急成長

桐蔭横浜大のンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄「目標はプレミアリーグ」
身長190センチ、体重85キロ。桐蔭横浜大の2年生FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄は圧倒的なスケール感を持つ、大学屈指のストライカーだ。
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ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ彼は中学時代、FC東京U-15深川に所属していたが、3年生になりたての時期に大腿骨頭すべり症が発覚。すぐにドクターストップがかかり、そこから2年間思うようにサッカーができなかった。修徳高に進み、高校2年生になってようやくプレーができるようになると、そこから急成長を遂げた。
リハビリ中に身長も一気に15センチほど伸び、徐々に身長とプレーがアジャストされていくと、高校3年時の段階でJクラブのスカウトも注目する存在となった。
高卒プロは叶わなかったが、関東の強豪・桐蔭横浜大に進むと1年時から出番を掴んだ。フィジカルが着実についてきたことで、当たり負けをしなくなり、走る姿勢も整って爆発的な初速やロングスプリント、強烈なシュートなど出力が増した。
さらに足元の技術は中学時代にしっかりと身につけていたことと、大学でより考えてプレーすることが増えたことで、身体操作がマッチするにつれて間で受けてからの瞬間的なターンや細かいボールタッチで運ぶドリブル、タイミングを見たパスなど、最前線でプレーの幅がどんどん広がってきた。
「僕は本能で動くタイプなのですが、それだけだと安武享監督から練習でも常に怒られるので、周りに合わせながら自分を生かすことは常に考えるようになりました。練習中も味方とアイコンタクトなどをとって、自分発信ではなく、相手がこう考えている、こう動いたら、僕はこう考えて動く、空いたスペースに入るなど、味方発進のメッセージを受け取りながらプレーできるようになった実感はあります。もちろん本能でプレーする部分も大切にしていて、チームとしてや味方のイメージする形を理解しながら、自分の発想と本能をうまくアジャストさせる。そこを意識するようになっています」
今年、桐蔭横浜大は関東大学サッカーリーグ1部において、開幕から5敗1分の最下位と苦しんでいる。だが、5月3日の第5節の日本大学戦でブライアンは、右サイドを突破したMF杉本英誉のクロスに対し、DFの背後を巧みに取る入り方からドンピシャヘッドを突き刺して今季初ゴールをマーク。すると、続く第6節の日本体育大学戦でも杉本のクロスから2戦連発弾。期待大の2年生ストライカーがここに来て調子をあげてきているのは、チームにとっても非常に明るい話題だ。
成長著しい彼を当然、Jクラブが放っておくわけがなく、すでにJ1とJ2の3クラブの練習に参加。高校時代も参加をしており、「高校時代はスピードや駆け引きが必要だと感じて、今回はJ1クラブの練習でマッチアップをしたときに、隙がなくて単純な動きでは自分でゴールまで持っていくのは難しい。もっと動きに工夫が必要だと感じました」と大学のうちに身につけなければいけないものを再確認した。
「改めて自分のストロングポイントであるフィジカルや身体能力の部分は通用するのですが、それだけだとプロの世界で点を決められるFWにはなれない。僕の目標は小さい頃からプレミアリーグでプレーすること。そこは今もずっと変わっていません。最終的にそこに行くために逆算をしているなかで、すでに海外で経験を積んでいる選手の存在は刺激になります。特に1歳上の福田師王選手を見ると、僕はまだプレーが単調というか、まだなんとなく動いていると感じるので、自分がする動き1つ1つに意味を持たせることを意識して、コツコツと積み上げていきたいと思います」
これから先、どこまでスケールアップしていくのか。彼のプレーを見ているとプレミアのピッチでプレーする姿も夢物語ではないように感じる。それほど伸びやかで野性的かつインテリジェンスを感じるプレーにワクワクする人は少なくないはずだ。
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。




















