森保ジャパンで評価高騰…“主力外”でも「頼もしい限り」 代表OBが見た日本の成長株【前園真聖コラム】

前園真聖氏が2選手の活躍を評価した【写真:Getty Images】
前園真聖氏が2選手の活躍を評価した【写真:Getty Images】

2024年の日本代表を評価、元日本代表の前園真聖氏が太鼓判押す2人の名

 2024年の日本代表では多くの選手が出場のチャンスを得た。そして森保一監督の期待に応え、成長した姿を見せた選手がたくさんいる。その中で特に台頭が著しかったのは誰か。今年の日本代表15試合を踏まえて、元日本代表の前園真聖氏が目覚ましいと思った選手は誰だったのかを聞いた。(取材・構成=森雅史)

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 現在、日本代表は選手層も非常に厚くなり、どのポジションにも2人、あるいはそれ以上の選手が同等程度の力を持っていたり、あるいは別の特長をもって務めることができたりという状態になっています。2024年、そんな競争の激しい中で一層の活躍を見せたと思っている選手がいます。

 色々な人と話をすると、今年とても良かったのは守田英正(スポルティング/ポルトガル)だという意見がたくさんありました。ただ、もともと守田はとてもいい選手でした。森保監督は前から守田を重用していましたし、新型コロナウイルスの影響下でヨーロッパから選手をチャーター機で帰国させなければいけなかった時、吉田麻也と守田だけを搭乗させていたということもありました。

 そう考えると、確かに守田は今年活躍しましたが、意外ではなかったと思います。守田なら当然今年ぐらいの活躍ができるポテンシャルを持っています。きっとこれからも今年と同じようなパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

 確かに守田も良かったのですが、今年日本代表の中でのプレゼンスを上げた選手は2人います。1人は中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)です。

 今年の中村の活躍は目覚ましいものがありました。2024年の日本代表戦15試合のうち、90分出場したのは1試合、途中交代や途中出場は8試合でした。ですがその中で4ゴールを挙げています。

 1月1日のホーム・タイ戦では後半から出場すると後半27分にはチームの2点目。アジアカップ初戦(ベトナム戦)で先発すると前半アディショナルタイムにゴールを奪いました。6月の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のアウェー・ミャンマー戦では先制点と後半アディショナルタイムに得点しています。

 中村で目立つのは決定力の高さです。常に冷静で慌てることなくプレーできるので正確にゴールを決められます。また忘れてならないのは、同ポジションの三笘薫(ブライトン/イングランド)のコンディションが悪い時、中村が安心して使えるということです。

 所属チームでの好調ぶりも頼もしい限り。2022年カタールW杯の時、三笘が負傷を抱えていてなかなかコンディションが上がらないということがありましたが、今は中村がいるので、どちらか調子の良いほうを使うという戦い方ができます。

 もう1人は小川航基(NECナイメヘン/オランダ)です。第2次森保ジャパンで、空中戦に強くパワーで海外の選手に対抗できるFWは上田綺世(フェイエノールト/オランダ)で、上田の代わりはなかなか見つかっていませんでした。

 そこに2024年、小川がしっかり成績を残してアピールしてきました。今年は途中出場・途中交代が7試合、フル出場が1試合ですが、その間にミャンマー戦、バーレーン戦、サウジアラビア戦、中国戦のいずれもヘディングで5点、ミャンマー戦でこぼれ球に詰めて1点を奪っています。そして得点はすべてアウェー戦でした。

 ヨーロッパの強豪国と対戦した時にどれくらい活躍できるかは未知数です。しかし今年見せた決定力の高さは今後の期待を膨らませてくれます。これまで上田が度々怪我に悩まされてきたことを考えても、小川の成長が日本代表の大きな力になってくれることは間違いないでしょう。

 森保監督が中村や小川のように、少しずつ新しい血をチームに加えようとしているのも今の日本代表の成長につながっています。ですが来年もさらに新しい選手が台頭してこなければ、W杯での日本代表の躍進はありません。来年は今年の中村や小川を超える成長を見せるどんな選手が出てくるか、とても楽しみにしています。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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