「本当に悩んだ」…アジア杯議論の発言から8か月、守田英正が“何でも屋さん”へ成長した訳
10月シリーズは1勝1分で守田が躍動
森保一監督率いる日本代表は10月15日、ホームで行われた北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選オーストラリア戦に臨み、1-1で引き分けた。最終予選から4戦を終えて攻守においてMVP級の活躍を遂げているのがMF守田英正だ。アジアカップでの発言で注目を浴びたが、あれから約8か月。守田に起きていた心境の変化とは――。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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ホームで行われた一戦はほろ苦い幕切れとなった。MF遠藤航が体調不良のため不在となり、相棒はMF田中碧に。普段、遠藤が務めている役割もこなしながら、田中を生かし自身も攻撃に関わろうと奮闘していた守田。その存在感はひと際大きかった。
過酷な環境で行われたアウェーのサウジアラビア戦では、最終ライン、両サイドを守備でカバーして、3列目から飛び出してゴールにも関わる。ピッチ全体が守備範囲であり、どこまで見えているのか……と思わせるほどアイデア豊富なパスで攻撃を組み立てた。スーパーな出来の“何でも屋さん”だった。そして、守田が“何でも屋さん”になったのには理由があった。
「あれ(アジア杯)以降、本当にいろいろと悩んだし、自分のことを見つめ直したなかで、自分が表立って話したことだったり、そういうのもあったなかで、結局やっぱ1対1の、個の部分がまだまだ弱いなと感じましたし、それでクラブに帰ってからも、目に見えるデュエルの勝率だったりとか、数字に少しこだわり始めたので、そこは今ここにきて、良くなってきている部分かなと思います」
守田がそう話すのはアジア杯準々決勝でイランに敗れ、ベスト8で敗退を喫した森保ジャパンでも最大と言える悔しさが募った瞬間だ。優勝を目指していた大会で屈辱の8強止まり。その現実は選手に重く、重くのしかかった。試合後に守田が「正直、アドバイスとか、外からこうしたほうがいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとか、もっとなんか……ほしいですかね」と話した言葉が報道されると、たちまち拡散されて発言が一人歩きした。実際は守田がハッキリと提言したというよりかは、話しながら頭を整理し、何がチームにとって必要で最適か探っていたようなニュアンスだった。
その後、議論を呼び、守田も悩んだ。本当に発言は正しかったのか。ただ、チームの転換期、きっかけは必要だ。守田自身もこの発言を受けて、自分を変えようとした。「見つめ直した」のだ。
「間違いなくアジアカップの敗戦とか、僕が言ったこともそうだし、より過去があって今があると思っているので、監督もすごくより話を聞いてくれるようになりましたし、間違いなくあれがあって今があると思う。今後より一層良くなっていくと思いますし、満足はできない」
アジア杯の敗戦は今の森保ジャパン、全員の心に刻み込まれている。それだけ感情を説明できないぐらい悔しかった。だからこそ最終予選の今も、チームに慢心はない。戻ってはいけないと誰もが思い、守田を筆頭に“成長”で晴らし続けている。
負けて良かったとは言えないが、間違いなく森保ジャパン第2次政権のターニングポイント。ここから這い上がり、より一層タフで逞しい守田へと変化を遂げたのだった。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)