日本屈指のアタッカー三笘薫も“恩恵” 選手が「共通認識」…森保J進化で生まれた「安心感」
三笘が普段プレーするWBと最終ラインの関係性について言及
森保一監督率いる日本代表は10月13日、2026年の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第4戦オーストラリア戦(15日)へ向け埼玉県内でトレーニングを行った。10月に入り、長袖で歩くにはちょうどいい気候となった17時頃から始まったトレーニング。練習を終えた日本代表MF三笘薫はミックス取材で、森保ジャパンを支える最終ラインとウイングバック(WB)の関係性について語っている。
サウジアラビア戦では左WBで先発し、後半途中からシャドーの位置でもプレーした三笘。これまで最終予選3試合ともスタメンを飾りプレー時間も長いなか、15日のオーストラリア戦も「もちろん準備はしています」と体力的にも問題ないと自信をもって答える。
日本は最終予選では3-4-2-1を採用。選手たちは口々に“攻撃的3バック”と今の陣容を表現した。そのなかで左センターバックを務めるDF町田浩樹が攻守ともに高パフォーマンスを継続。縦関係の三笘も、町田と良い連係を築けており、仕掛けやすい環境が整っている。森保ジャパンは過去に2022年のカタールW杯でも、3バックで戦い強豪ドイツ、スペインを撃破した実績があるが、当時は守備的な印象が強かった。そこからチームも熟練してきており、今回のアジア最終予選ではここまで3試合14得点無失点の結果を残している。
三笘へ日本の守備の安定性について尋ねると「僕が前へ行ってもうしろが3枚いる。逆サイドのウイングバックが下がって4枚いるので、分かりやすく安心して攻撃参加できます」と自身が受けている恩恵について語る。「もちろん、自分も最終ラインに入らなければならないですけど」と話す通り、守備時のリスク管理の規律もチームで徹底されているようだ。
「5枚並べられるという部分で各レーンも守れますし、もちろん5-4-1のところで、最近はブロック引いているのでそこの安心感というか。自分たちがW杯でやってきたことが上手くできていると思いますね」
9月以降の3試合、守備時にも両ウイングバックが上手く機能。サウジアラビア戦では右で堂安律が、左で三笘が対峙した相手をしっかりと封じ込める仕事を全うした。だが指揮官が変わったばかりのオーストラリアは、サウジアラビア以上に組織的に仕掛けてくる可能性も十分にあるため警戒は必須だ。
トニー・ポポヴィッチ新監督が率いるオーストラリアは、初陣となった第3節の中国戦で先制を許す展開に陥りながらも、セットプレーなど高さを生かした攻めで3-1の逆転勝利を飾った。近年ボールをつなぐ場面も増えているオーストラリアではあるが、こうした試合展開からも高さへの対策は最大限しておくことに越したことはない。
三笘は「前線の守備でいかにいい形で蹴らせないかというところが大事」とセオリーをなぞりつつ「サウジ戦でもそういうところでやらせてしまって、最後のところで危ないシーンもありました。そこはしっかりと改善しないといけない」を兜の緒を締める。三笘が前線へ上がった際のスペースも要注意な点だが、そこはチームとして日本が落とし込んだ3バックとの連係面が生きてくるはずだ。
2年前、前回大会の敵地オーストラリア戦では、途中出場した三笘が2ゴール。「1人でも剥がせればチャンスになる」と本人も自負するように、その突破力は次戦も1つの鍵を握る。三笘は「今本当に一体感があります」と、2年前と比較してもチームの成長を実感しており、「守備からしっかりと入り自分たちのチャンスがあれば、勝てる試合が増えているというところで、全員が共通認識を持てている点は前回と少し違うんじゃないかなと思います」と、ポジティブにとらえている。
だが最終予選で開幕3連勝と、今大会アジアで快勝続ける日本の強さの秘密を聞かれても「毎試合勝たないといけないと思っていますし、まだ3試合終わっただけ。一喜一憂せず次も勝たないとそういう話は出ないと思います」と三笘に慢心はない。攻守ともに組織化された森保ジャパンで、唯一無二の高速アタッカーが舞う姿に期待が高まっている。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)