久保建英や南野拓実にはない唯一無二の特徴 鎌田大地が今後の日本代表の鍵を握る訳【前園真聖コラム】

6月シリーズで招集された鎌田大地【写真:徳原隆元】
6月シリーズで招集された鎌田大地【写真:徳原隆元】

森保ジャパンをもうワンランク上に上げるためには?

 2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)以降、多くの日本人選手がヨーロッパの各クラブで中心選手となって活躍している。今回招集された選手の中で今後の日本代表の鍵を握る選手は誰か。元日本代表MF前園真聖氏は、久しぶりに招集された選手が今後の日本代表に必要だと語った。(取材・構成=森雅史)

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 今の日本代表で鍵を握る選手は誰か。

 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)だと考えてもいいでしょう。2023-24シーズン、久保はクラブで不動の位置を獲得しました。中心選手として攻撃を牽引し、ドリブル突破、パス、そしてゴールとすべてに高いレベルを見せたと言えるでしょう。

 もちろん日本代表でも重要な役割を演じました。昨年9月はトルコ戦でフルタイムプレーし、チームの2点目となる中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)のゴールは久保のシュートの跳ね返りからでした。10月のチュニジア戦では伊東純也のゴールをアシストしましたし、11月のワールドカップ予選、アウェーのシリア戦では先制点をマークしています。

 今年1月・2月にはカタールで開催されたアジアカップにも参加しました。その後はさすがに疲労を感じさせる部分もありましたし、2月18日のマジョルカ戦以降はリーグ戦でのゴールがありませんでした。それでも、この1年の久保の成長には目を見張るものがあると思います。

 ただ、僕は現在の日本代表をもう1ランク上に上げるために重要な選手は、鎌田大地(ラツィオ/イタリア)だと思っています。

 鎌田は2023年11月16日、ホームのミャンマー戦で先発したものの負傷し、ハーフタイムで交代となりました。その後は2024年のアジアカップ、3月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦には招集されていません。

 その間、鎌田はイタリアで苦労していました。マウリツィオ・サッリ監督には信頼されず出場時間をなかなか与えてもらえませんでした。イゴール・トゥドール監督に代わってからはすぐにチームの中心として活躍して、本来の実力を発揮できるようになりました。

つなぎ役としては鎌田が第一人者

 僕は現在の日本代表における鎌田の立場は、サッリ監督時代ほどとは思いませんが、森保一監督の全幅の信頼を勝ち得ていないのではないかと感じるのです。

 2022年のカタールW杯で森保監督は全試合に鎌田を先発させました。ですが、グループリーグ第3戦のスペイン戦では後半23分で、ベスト16のクロアチア戦では後半30分で交代させています。

 鎌田をチームの中心にしたけれども、なかなか効果的なプレーができなかった、あの時のイメージがあるのかもしれません。ただ、W杯の時の日本は守備を前面に出した戦いをしました。あの戦術を選択したことで、犠牲になったのが鎌田と久保だと僕は思っています。

 去年から今年にかけて招集しなかったのは、チームでの出番がなかったことを考慮していたからでしょう。ですが3月19日にトゥドール監督が就任すると、3月30日のユベントス戦以降は先発を続け、5月19日、アウェーのインテル戦ではペナルティーアークから左足でゴールも奪いました。森保監督は、今回、鎌田がどれくらい調子を取り戻したのか確認したいのだと思います。

 それと同時に、森保監督には「どうやって鎌田を気持ち良くプレーさせるか」という点を考えてほしいと思います。たしかにトップ下やインサイドハーフには久保、堂安律、南野拓実などほかにもいい選手がいます。ですが、センターだったらどこでもプレーできるというのは鎌田だけなのです。

 それにつなぎ役として考えると、鎌田が第一人者ですし、ほかの選手に代わりは務まりません。クラブで見せているポテンシャルの高さを日本代表でも発揮できれば、中盤でのパスワークに大きな変化がもたらせるでしょうから、さらに日本代表は進化します。

 鎌田は、信頼すれば期待に応えてくれる選手だというのは、トゥドール監督の起用法でもよく分かりました。今回、彼のモチベーションをどこまでアップできるのか。森保監督の手腕に期待したいと思います。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



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前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

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