“有言実行男”堂安律の次なる挑戦 新たな自分が指し示す頂点への道程「皆を黙らせる一番いい機会」【現地発】

日本代表の堂安律【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
日本代表の堂安律【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

前回大会はベトナム戦で1ゴールを記録

 森保ジャパンの背番号10、日本代表MF堂安律は2度目のアジアカップに臨む。1月12日はドーハでアジア杯グループリーグ初戦ベトナム戦(14日)に向けた練習に臨んだ。5年前の2019年UAE大会では準々決勝ベトナム戦(1-0)で1ゴール。5年を通して堂安は“進化”を遂げた。2024年は新たな自分の発掘へ――。東京五輪、カタール・ワールドカップ(W杯)を経て成長を続ける男の次なる挑戦が始まる。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 堂安に科された新たな試練はアジアナンバーワン。2011年以来遠ざかっている頂点へ導くための“結果”が求められる。

「毎回日本が優勝候補と言われていると思うし、その中で(2大会連続で)優勝できていないというのは、やっぱり情けない結果だと正直思う。頭の中では日本がそろそろ圧倒的ナンバーワン、アジアナンバーワンにならなくちゃいけないって思っています。ただ片隅にはそんなに甘い大会にはならないというのもやっぱりわかっているし、理想と現実は違うのはわかっている。でも、もちろん俺たちは理想を求めて大会に臨んでいくので、圧倒的な結果を残したいって思いもありつつも、難しくなった時に我慢する時間帯も必要かなというのは思います」

 現実を受け止めるのは前回大会の経験があるから。前回大会は初戦で格下のトルクメニスタンと対戦もリードを許して前半を折り返した。堂安もゴールを挙げたが、苦戦したと認めざるを得ない。その後チームは決勝まで上り詰めるが、カタールに完敗を喫して準優勝に終わった。

「もう5年も経ったかという感じ。やっぱりアジア杯を経験した選手も少なくなっていて、メンバーってこんなに変わるんだなって思いもある。ただ、いろんな選手と話しますけど過去の経験を、経験した選手が還元するというのはもう古い考えだと思っている。新しい選手がどんどん新しいことにチャレンジしないと結局何も変わらないですし、W杯の時も過去の大会を振り返って『ベスト16を超えたい』とかそういう時代じゃないのかなというのもある。常に新しい選手が新しい目標に向かっていくことが、今までの歴史を変えるキーかなと思っている。過去のことよりも、次は先のことに向けてやりたい」

 堂安は2019年の当時20時。2018年の第1次森保ジャパンでA代表に初招集されてから、2列目のキーマンとして躍動し、攻撃の“顔”として臨んだ初めての公式戦だった。だが、アジア杯では通算2ゴールという結果には満足せず「不甲斐ない大会」になってしまった。

「(前回は)不甲斐ない大会でしたね。全くいいものを残せなかったと思っています。調子に乗っていた。今そういう自分に会えば引っ叩きたい」

 ただ、そこで終わる堂安ではない。常に高い目標を掲げ続け、それから、10番を付けた東京五輪、ドイツ戦、スペイン戦の2ゴールを記録したW杯で存在感を見せた。

 いつだって有言実行だった。堂安をレベルアップさせてきたのは悔しい経験だったのかもしれない。2018年のロシアW杯ではメンバーに入れず、「次の大会は自分の大会にする」と話していた。2017年のU-20W杯では「10番で東京五輪に出る」と目標を口にした。次に掲げたやり遂げるべきタスクはアジア王者だ。

「(5年前は)やってやるぞという気持ちは多分みんなに伝わっていたと思いますけど、『本当にこいつやれんのかな』という思いは多分皆さんもあったと思う。今は少なからず自分も経験を得て結果も出して、『本当にこいつやってくれんじゃないか』という思いに少しずつ変えられてきていると思う。それを、確信させる大会にしていきたい。そういう自分を見せたい。10番つけてからの一番の大きな大会なので、みんなを黙らせる一番いい機会でもあるし、結果に集中してフォーカスしながらやりたい」

 森保ジャパンはW杯後にさらなる成長を遂げて、現在は9連勝中。MF久保建英やMF三笘薫、MF伊東純也らが攻撃陣を牽引しているなかで、堂安も経験が生きる時が必ず来るはず。「新しい自分」を見せることで10番の価値を示すことにもなる。

「いろんな経験をした上でここまで来ていますけど、今の自分が今までの自分の最高値。最高のコンディションでやっていると思っている。去年1年、苦しい時間ではあったと思っているんですけど、今自分その期間を経て、また新しい自分が2024年見せられると思う。その第1歩にアジアカップがなったらな、と思います」

 まずは初戦、そして頂点へ。W杯で躍動したドーハの地で再び堂安が輝きを遂げる。

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