前年度王者の東福岡が味わった初戦の“重圧” 指揮官が緊張する選手たちに掛けた言葉とは…

「初戦なので緊張はすると思うけど…」

 昨年度決勝では5万人超の観衆が集まるなか、世界でも話題になったトリッキーなFKなどで國學院久我山を5-0と粉砕。その試合で得点を決めた藤川をはじめ、DF小田逸稀、MF鍬先祐弥、MF高江麗央ら優勝を経験したメンバーも、独特な雰囲気に少し呑まれてしまったのかもしれない。何より、東福岡は昨夏に行なわれた高校総体初戦で昌平(埼玉)に敗れる悪夢を味わっている。

 それでも森重監督は、プレッシャーを正面から受け止めさせた。

「選手には『初戦なので緊張はすると思うけど、ヒガシらしいサッカーをしよう』と伝えて送り出しました。やっぱり緊張はあったと思います。でもそれが過緊張にならず、いい緊張感を持ちながらプレーしてくれれば、ウチらしいサッカーになるはずです」

 プレッシャーはイメージしたよりも少々重かったのかもしれないが、最終的には決定機をほぼ与えず1-0で勝利した。「目の前の一戦をしっかり勝ち抜いていく」(森重監督)ことを重要視するチームにとって、何よりも欲しかった勝利という結果を手にしたことが一番の収穫だったはずだ。

【了】

茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno

 

 

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