森保ジャパン第2次政権、好調の陰にマッチメイクの手腕 注目の一戦“舞台裏”とは?【コラム】
強豪との対戦が続く日本代表
森保一監督率いる日本代表は10月17日にキリンチャレンジカップでチュニジア代表と対戦する。9月にはアウェーでドイツ代表(4-1)、トルコ代表(4-2)と戦い、10月13日には新潟でカナダ代表に4-1で勝利。強豪との対戦が続くマッチメイクで強化に成功している。現在はFIFAランクも19位まで上昇した日本。その舞台裏に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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9月にドイツとの対戦が実現した日本。敵地でカタール・ワールドカップ(W杯)以来の再戦となった。W杯のグループリーグ初戦で対戦して、2-1の勝利を収めたのが約11か月前で、その後同組のスペインにも勝利。2大会連続の決勝トーナメント進出を決め、世界に衝撃を与えた。
森保監督の第2次政権としてスタートしたのが今年。初戦は3月24日のウルグアイ戦(1-1)、次はコロンビア(1-2)で6月のエルサルバドル(6-0)、ペルー(4-1)と続いた。エルサルバドルを除けば、いわゆる強豪との対戦が続き、南米や欧州などさまざまなタイプの国と経験を積んでこられた。
W杯出場国との対戦も大きい。そのなかでも注目度ともに高かったのがドイツだろう。再戦が実現した一番大きな要因はカタールW杯の雪辱を晴らすためで、ドイツ側の主催として招待された。試合後には田嶋幸三会長も「カタールW杯でいい成績を残したから」と対戦に至った経緯を話した。
ドイツとしても、ホームで日本に勝利して代表人気を復活させたいところだったが、叶わず。さらに今回、日本とドイツの一戦が行われたのはヴォルフスブルクで、DFB(ドイツサッカー連盟)のスポンサーであるフォルクスワーゲンのお膝元だ。2019年まではメルセデスベンツと契約していたものの、同年からフォルクスワーゲンへ変更。現地ドイツの記者によると、勝利を収めてスポンサーの顔も立てたい思惑もあったようだ。
ヴォルフスブルクはJFA(日本サッカー協会)の拠点があるデュッセルドルフからも4時間ぐらいかかる。実際、航空機と電車を乗り継いでもかなり行きにくい場所だった。一方で、9月に行われたドイツ対フランスはドルトムントで開催。“格”から言って仕方ないことだが、DFBの思いは少なからずあったようだ。
それでも日本はドイツに勝利を収め、ドイツはハンジ・フリック監督の解任に追い込まれた。そこから10月には1年前に敗れたカナダやチュニジアとの対戦など、JFAのマッチメイクにおける手腕は評価される。今回カナダはほとんど“セット”で対戦する韓国とは戦わずに帰国。これを受けて韓国国内では「日本サッカー協会は早くも北中米新興強豪カナダと強化試合を成功させた。韓国が9月の評価戦の相手さえ確定できなかった時期、JFAは素早く動き、1か月後の評価戦の日程まですべて確定した」と羨望する声が上がっているという。
ここから先はアジアとの対戦が続く。11月からはW杯アジア予選がスタートし、来年1月にはアジアカップが待ち受ける。アジア杯で優勝すればFIFAランクを大きく上げるチャンスで、これが2026年北中米W杯のポット分けにも影響してくる。アジア杯に向けても最終調整としていいマッチメイクとなった日本。史上初のベスト8、そして優勝を目指すW杯に向けて第2次政権はいいスタートになった。