今季凋落の一途をたどるリバプール その裏にある3つの要因

 

昨季の優勝争いから一転、苦境に立たされているリバプール

 

 クラブの象徴である背番号「8」は、試合終了を告げる笛が鳴り響いた刹那、その場にしゃがみ込み、呆然と歓喜に包まれるバーゼルの円陣を眺めていた。

 リバプールは9日に行われた欧州チャンピオンズリーグ1次リーグの最終節、バーゼル戦を本拠地アンフィールドで迎えた。グループ2位に位置するバーゼルに勝てば逆転で予選突破という大一番であったが、結果は1-1のドロー。ホームで相手に予選突破を許してしまった。

 昨季はプレミアリーグで優勝争いを演じ、名門復活として満を持して再び欧州の地に舞い戻ってきたが、儚いエンディングを迎えてしまった。

 なぜリバプールはこれほどまでに凋落してしまったのだろうか。その要因は大きく分けて3つある。

 1つ目は、GKシモン・ミニョレにある。昨季好パフォーマンスでクラブの大躍進に貢献したが、今季は低調なプレーに終始。CL第5節のルドゴレツ戦、決して処理に難しくない相手のシュートをファンブルし、そのまま失点を許した致命的なミスが、ミニョレの今季を象徴したシーンであった。判断力も乏しく、不安定なプレーが続いている。

 それにより、どのような影響が及んでいるのか。DF陣が、同選手を信頼しなくなったのである。守護神によるリスクを懸念し、ラインを深い位置に保ってしまう。それによりバイタルエリアに空洞が生じ、相手にこのスペースを“プレゼント”してしまっているケースが多い。

 リーグ戦第12節クリスタル・パレス戦の最初の2失点も、このフリースペースをまんまと相手に突かれたものだった。ドイツ代表はGKマヌエル・ノイアーに全幅の信頼を寄せているため、DF陣は高いラインを維持することができているが、今のリバプールには到底成し遂げられないことである。

 この問題点に対してブレンダン・ロジャース監督は、新加入のDFデヤン・ロブレンを先発から外し、比較的高めの位置取りをするDFコロ・トゥーレをピッチに送り出すことで、バイタルエリアの空洞化の解決策を見出した。他の守備陣もそれに合わせることで、確かに中央のフリースペースは以前ほど際立つことはなくなった。

 しかし、DFマルティン・シュクルテルとトゥーレのセンターバックの場合、後方からのゲームメイクが全くと言っていいほど皆無なため、試合に停滞感が生じてしまう問題点もある。

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