久保建英のレアル復帰は「この調子なら実現可能だ」 スペイン記者に直撃…現地で再燃する去就報道への見解は?【現地発】

レアル・ソシエダの久保建英【写真:Getty Images】
レアル・ソシエダの久保建英【写真:Getty Images】

今の久保はレアル復帰に値するのか…スペイン記者2名に直接見解を訊く

 スペイン1部レアル・ソシエダで2シーズン目を迎えた日本代表MF久保建英の評価が上昇している。ラ・リーガ5試合を終えて、3ゴール1アシスト。その活躍ぶりが際立っているのは、開幕から4試合連続でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出された事実からも明らかだ。

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 9月17日のラ・リーガ第5節レアル・マドリード戦(1-2)では、ゴールやアシストこそなかったものの、クロスから先制点に絡んだほか、随所で効果的にチャンスへ関与するなど出色のプレーを披露。レアルで今季公式戦6戦6発と驚異的な活躍ぶりを見せるイングランド代表MFジュード・ベリンガムらとともに、ラ・リーガ序盤戦で輝きを放つ1人としてその名を轟かせている。

 そんななか、現地メディア上で囁かれ始めたのが、昨季まで所属したレアル復帰の噂だ。昨夏、久保はソシエダへ5年契約で完全移籍したが、レアルとの関係性が完全に絶たれたわけではない。ソシエダが将来的に売却する場合の専売権(他クラブがソシエダにオファーを出した場合、それと同じ条件で優先的に購入できる権利)および、移籍金50%のキャピタルゲインを得る権利を保持しているとされる。

 果たして今の久保はレアル復帰に値するのか。ソシエダ2シーズン目で躍動する22歳MFに対する評価を現地記者に直接訊いた。

マルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】
マルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】

■マルコ・アントニオ・サンデ記者
(スペインのラジオ局「カデナ・コペ」 レアル・ソシエダ番記者)

 うーん、その質問に答えるのは簡単ではないな。レアル・マドリードでプレーするということがどれほど難しいことか……。あそこに辿り着いているのは、ヴィニシウス(・ジュニオール)を筆頭にロドリゴや(フェデ・)バルベルデなど、世界屈指の才能溢れる若い選手たちだというのは誰もが知っていることだ。

 久保が今シーズン開幕当初からレアル・ソシエダで、申し分ないパフォーマンスを発揮し続けているのは間違いない。彼がサンティアゴ・ベルナベウで行われたラ・リーガ第5節レアル戦でのプレーで発信したメッセージや、それ以前の試合(※今季開幕からMVPに選ばれたジローナ戦、セルタ戦、ラス・パルマス戦、グラナダ戦)で発信し続けてきたメッセージは、「自分は成熟しつつあり、洗練された気品を備え、国際レベルでプレーできる選手であることを証明するキャリアと経歴がある」というものだったと感じている。

 久保が素晴らしいパフォーマンスを披露して発信し続けているそのメッセージは、獲得の最終決定を下すレアルの首脳陣にまで間違いなく届いているはずだ。

「今のレベルを発揮し続けられるなら、それ以上何も証明するものなどない」

ディエゴ・メングアル記者【写真:高橋智行】
ディエゴ・メングアル記者【写真:高橋智行】

■ディエゴ・メングアル記者
(スペインのデジタルスポーツメディア「コネクシオン・デポルティーバ」記者)

 今シーズンの久保の活躍ぶりは見ていてとても面白いし、将来性豊かで才能溢れる選手だと思っている。レアル・マドリードが当時(※2019年夏)、彼と契約を結んだのも頷けるよ。でも、実際にレアルでプレーするとなると話は別で、それが本当に難しいことを私たちは皆、理解している。だからこそ今、この日本人選手がサンティアゴ・ベルナベウに復帰する可能性について、スペイン中でいろいろと話題になっているんだ。私は久保が今見せているレベルのパフォーマンスを発揮し続けられている限り、それは実現可能なことだと思っている。

 またカルロ・アンチェロッティがレアル・ソシエダ戦前日、バルデベバスにあるシウダー・レアル・マドリード(※レアルの練習場)で行われた記者会見に出席した際、久保について、「非常に興味深い選手だ。明日の対戦では彼に細心の注意を払わなければならない」と警戒するほどだったしね。

 復帰の可能性は十分ある、けれどもそれには彼が今以上に成長する姿を見せ続けてアピールしなければならない。例えばミランにレンタル移籍していたブラヒム・ディアスが再びメレンゲ(※レアル・マドリードの愛称)の一員になるため、3年にもわたり、あそこで大きな飛躍を遂げて戻ってきたようにね。

 何度も言うが、久保がレアルに戻るためには、今の調子を維持する必要がある。彼は目が眩むほど速いプレーで違いを生み出すことができる特別な選手なので、今のレベルを発揮し続けられるなら、それ以上何も証明するものなどないと思う。また彼のような個性はレアルの攻撃面で欠けているものでもある。あのような特徴を持つ選手は今、ヴィニシウス、ロドリゴ、ブラヒムしかいない。そのためレアルの将来を見据えた場合、久保は非常に興味深い選手だと言えるだろう。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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