久保建英のCLデビュー戦、スペイン人記者はどう見た? 「インテリジェンス」と称賛も「インテルは彼を研究していた」【現地発】

久保建英がインテル戦でCLデビューを果たした【写真:Getty Images】
久保建英がインテル戦でCLデビューを果たした【写真:Getty Images】

9月20日のインテル戦でCLデビューの久保、厳しいマークも前半終了間際に好機

 レアル・ソシエダの久保建英が、スペインでのキャリア5季目にして、昨季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ファイナリスト相手にCLデビューを果たした。

 9月17日のラ・リーガ第5節レアル・マドリード戦、チームは1-2の逆転負けを喫したものの、久保は開始早々からアンデル・バレネチェアの先制点をアシストし、その後も右サイドで対峙したフラン・ガルシアやトニ・クロースを手玉に取るハイパフォーマンスで躍動した。来季復帰の可能性の噂が飛び交う古巣相手に最も危険な存在となった久保は、敵地サンティアゴ・ベルナベウでこの日最も大きなブーイングを浴びた選手となった。

 久保は先週末の勢いそのままに、待望のCL初戦を20日にホームで迎えた。相手はセリエA開幕から唯一の4連勝で首位に立つインテル。ソシエダにとって10季ぶりとなる欧州最高の舞台での重要な一戦に向け、イマノル・アルグアシル監督は公式戦3試合連続で同じイレブンを選び、久保はいつもどおり4-3-3の右ウイングで先発出場した。

 各ブックメーカーのオッズはアウェーのインテル有利となっていたが、試合が進むにつれに異なる様相を呈していく。ホームで開催される久しぶりのCLに試合前から興奮気味のサポーターたちは、熱い声援を力強く送り続けた。それを受けてソシエダは試合開始と同時に前線から激しいプレスをかけ、相手を押し込んでいった。立て続けにチャンスを生み出した後、前半4分にブライス・メンデスが相手からボールを奪い取り先制に成功した。

 チームは早々にリードを奪ったことで調子づいた一方、久保は5バックを敷いてきた相手の厳しいマークに遭い苦戦を強いられた。思うようにボールを持たせてもらえない時間が続いたあと、前半終了間際にようやく存在感を発揮する。同41分に右サイドからクロスを上げてロビン・ル・ノルマンの決定機を演出し、同45分には自らゴールを狙うがGKにファインセーブされた。

CLインテル戦が行われたソシエダの本拠地レアレ・アレーナの売店の様子【写真:高橋智行】
CLインテル戦が行われたソシエダの本拠地レアレ・アレーナの売店の様子【写真:高橋智行】

久保への評価が割れたスペイン紙「時には危険な場面を演出」「試合の入りに苦しんだ」

 後半も久保は正確なキックでチャンスメイクする。同3分に久保が蹴ったコーナーキック(CK)をミケル・メリーノが頭で流したあと、ファーポストで待ち構えたミケル・オヤルサバルが至近距離からヘディングシュートを放つがGKのファインセーブに阻まれる。さらに同24分、久保のCKを今度はミケル・メリーノが頭で合わせたが、惜しくもクロスバーをかすめ枠上に越えていった。

 疲労の色が濃くなった久保は同27分にアルバロ・オドリオソラと交代した際、ホームサポーターからスタンディングオーベーションが起きた。

 チームはその後、センターバック(CB)を1枚増やして完全に守りに入るも、またもや逃げ切りに失敗。同42分に一瞬の隙を突かれ、DF裏に抜け出したラウタロ・マルティネスに同点弾を許してしまい、1-1で終了した。シュート13対5、枠内シュート5対1と、強豪相手にほとんどチャンスを作らせなかったことを考えると、この結果は非常に悔やまれるものである。

 何度か決定機は生み出したものの、試合を通じてインテルDF陣に苦しめられた久保に対して、スペイン各紙の評価は若干分かれた。

 ソシエダの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「中盤の選手とバレネチェアのプレーが非常に良かったため、久保は今回、攻撃面をすべて担う必要はなかった。それでも前半45分に(ヤン・)ゾマーにセーブされたシュートやル・ノルマンに合わせたクロスなど、姿を現した時には危険な場面を演出した。またシュートをクロスバーに当てたミケル・メリーノへCKを蹴ったのも彼だった」と高評価し、4点(最高5点)をつけた。

 一方、もう1つの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は、「(カルロス)アウグストのマークに遭い、試合の入りに苦しんだ。しかし一度入ってしまうと美しいプレーでル・ノルマンにクロスを上げ、あと少しで決定的な役割を果たすところだったが、シュートはわずかに枠上に外れていった。そしてハーフタイム後、疲労困憊で交代した」と寸評し6点(最高10点)。その他、全国紙の「マルカ」の評価は1点(最高3点)、「アス」は2点となっていた。

久保建英について語ったスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】
久保建英について語ったスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマルコ・アントニオ・サンデ記者【写真:高橋智行】

スペイン人記者は久保の両面を冷静に指摘「インテルの武装解除方法を知っていた」

 この試合をスペインのラジオ局「カデナ・コペ」で実況したソシエダ担当のマルコ・アントニオ・サンデ記者が、インテル戦後に久保を分析してくれた。

「今日の結果は久保にとってもレアル・ソシエダにとっても、非常に大きな痛手を負うものとなった」と終盤の失点を嘆いたあと、「久保は今日、試合への入りが遅かったと思うし、インテルは久保のことをよく研究していたように感じたよ。彼らは久保がどう動くかを熟知しており、左サイドのカルロス・アウグストを使って上手く封じ込めようとしていた。インテルのCB3枚と左ウイングバックによる強力なDF陣には、常に久保を抑えるサポート体制があったと思う。これにより久保は持ち味のドリブルを武器に、相手DFを突破して中に入るという典型的なプレーを止められてしまっていた」と、インテルが最も危険な選手を抑えるための対策を施してきたことを伝えた。

 続いて、「久保はインテルに上手くコントロールされていたが、それでも一旦調子を上げると、インテルの武装を解除する方法を知っていて、何度もチャンスを作っていた。今日も彼はインテリジェンスだったよ」と黙ってやられていたわけではなかったことを評価した。

 しかし、「チーム全体が終盤、苦しむことになった。得点シーンを何度も作ったにもかかわらず決め切れなかったツケが回り、インテル最初のゴールは取り消されたものの、2度目の決定機で同点にされてしまった」と、早い段階で試合を終わらせられなかったことを指摘した。

 公式戦6試合1勝4分1敗と勝ち星がなかなか挙げられない苦しい状況が続くソシエダは次戦、中3日の24日にラ・リーガ第6節でヘタフェをホームに迎える。久保にとっては3季前の2020-21シーズン後半に所属した時に指導を受けたホセ・ボルダラス監督率いる、かつてのチームメイトが多数いるチームとの対戦となる。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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