「NEXT欧州組」Jリーガー推しの10人 日本代表OBが厳選…名古屋センターバックは「ワールドクラスになれる」【解説】

左から森下龍矢、松木玖生、川﨑颯太、細谷真大【写真:Getty Images】
左から森下龍矢、松木玖生、川﨑颯太、細谷真大【写真:Getty Images】

【専門家の目|栗原勇蔵】松木玖生は海外で揉まれたらひと回りもふた回りも成長する

 今年6~7月にかけて、MF伊藤涼太郎(アルビレックス新潟→シント=トロイデン)やFW小川航基(横浜FC→NECナイメヘン)、MF安部柊斗(FC東京→RWDモレンベーク)、DF常本佳吾(鹿島アントラーズ→セルヴェットFC)らが海を渡った。果たして、次にヨーロッパへ羽ばたくJリーガーは誰なのか。「FOOTBALL ZONE」ではその顔ぶれを今一度おさらいすべく「NEXT欧州組」特集を展開するなかで、元日本代表DF栗原勇蔵氏に、期待値も込みで“NEXT欧州組”を10人選んでもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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   ◇   ◇   ◇   

■松木玖生(FC東京/MF)
生年月日:2003年4月30日(20歳)
身長・体重:180センチ・78キロ
プロ入り:2022年(2年目)
今季成績:12試合・0得点2アシスト
A代表歴:なし

「パリ五輪世代の中でも中心を担う松木は、海外に行く可能性が高いでしょう。フィジカルと球際の強さ、高いボール奪取能力を誇り、大舞台になればなるほど燃える性格だと聞きます。すでに完成度が高い印象ですけど、1年目からプロの世界で堂々とプレーできた分、今季に関してはそこまでの成長曲線は描いていないように感じます。プレースピードも含めて海外で揉まれ、自分に足りない課題がはっきりと分かれば、そこからまたひと回りふた回り成長して凄い選手になると思います」

■細谷真大(柏/FW)
生年月日:2001年9月7日(21歳)
身長・体重:177センチ・69キロ
プロ入り:2020年(4年目)
今季成績:21試合・7得点0アシスト
A代表歴:1試合・0得点

「細谷は最前線で勝負してほしい選手。スピードとパワーに優れていて、馬力あるドリブルと動き出しが特徴で、順調に成長すれば日本代表のレギュラーを担ってもおかしくないと思います。ただ直線的な仕掛けやパワーだけでは、海外の化け物みたいなセンターバック相手には潰されてしまいがちです。ポストプレーで収める感じでもないので。もしかしたら海外で一度は壁にぶち当たるかもしれないですけど、まだ若いし、それを乗り越えて大化けする可能性はあると期待しています」

■伊藤敦樹(浦和/MF)
生年月日:1998年8月11日(24歳)
体長・体重:185センチ・78キロ
プロ入り:2021年(3年目)
今季成績:21試合・2得点3アシスト
A代表歴:1試合・0得点

「インターセプト数(10)、タックル数(64)ともにリーグ3位タイと守備力が高く、CB、サイドバック、ボランチを器用にこなす大型ユーティリティーですね。技術も高いし、ヘディングもできるし、ボールを運ぶこともできる。6月のエルサルバドル戦でA代表デビューしましたが、伊藤のようなタイプが海外で開花すると、日本の未来も変わっていく気がします。ポーカーフェイスっぽい感じも面白い選手だなと思います」

名古屋DF藤井陽也は「ワールドクラスのポテンシャル」

■安居海渡(浦和/MF)
生年月日:2000年2月9日(23歳)
体長・体重:174センチ・69キロ
プロ入り:2022年(2年目)
今季成績:19試合・2得点0アシスト
A代表歴:なし

「ボール奪取力が一番の持ち味。ほかにも、ゴール前に顔を出したり、ポケットを突くオフ・ザ・ボールの動きはなかなかのものです。目標にしている遠藤航(シュツットガルト)とは少しタイプが違う気はしますけど、スピードも技術もあるし、『走れる』イメージなので見ていて面白いです」

■藤井陽也(名古屋/DF)
生年月日:2000年12月26日(22歳)
体長・体重:187センチ・82キロ
プロ入り:2019年(5年目)
今季成績:21試合・1得点2アシスト
A代表歴:2023年3月に招集のみ

「ダイナミックなプレーが身上で、1対1に強く、しかも上手い。(サンフレッチェ広島の元日本代表DF)塩谷司を彷彿させ、板倉(滉)にスピードがある感じの印象です。いろんなプレーができてしまうスマート感があるので、ガツガツ感には少し欠けるかもしれないですけど、いざ1対1になってもかなりの安定感がある。ファイターとして見てもかなりのレベルだと思います。海外で実績を積んだら、ワールドクラスになれるポテンシャルを秘めています」

■森下龍矢(名古屋/DF)
生年月日:1997年4月11日(26歳)
体長・体重:168センチ・69キロ
プロ入り:2020年(4年目)
今季成績:21試合・2得点4アシスト
A代表歴:1試合・0得点

「森下の特徴はスピードですね。スプリント数リーグトップ(475)と推進力もある。今は3バックのウイングバックを主戦場としていますけど、横浜F・マリノス戦のプレーを見ていいなと思いました。日本代表にいかにも合いそうなスタイルで、サイドのポジションでボールをもらったら、三笘(薫/ブライトン)みたいに1人、2人抜いていくような怖さを身に付ければ、代表にも定着できるはずです。カットインからのシュートもいいものを持っています」

■山田 新(川崎/FW)
生年月日:2000年5月30日(23歳)
体長・体重:175センチ・75キロ
プロ入り:2023年(1年目)
今季成績:18試合・2得点1アシスト
A代表歴:なし

「山田はルーキーですけど、“ザ・FW”という感じで、常にゴールを狙っている。そのうち日本代表に入る気がするし、どういうふうに成長していくのか見てみたいですね。常に全力でボールを追うがむしゃらさが目を引くし、得点の匂いがする選手。(元日本代表FW)大久保嘉人さんもそうでしたけど、DFとしてはそういう相手がいるのは本当に嫌なので、スコアラーとして一番大事なところだと思います」

鹿島DF関川郁万には「森保監督も目星は付けているはず」

■中村桐耶(札幌/DF)
生年月日:2000年7月23日(23歳)
体長・体重:186センチ・78キロ
プロ入り:2019年(5年目)
今季成績:19試合・1得点0アシスト
A代表歴:なし

「中村はスピードがある感じの見た目ではないけどスピードはあるし、脚力を生かした鋭いボール奪取と後方からの攻撃参加が特徴の成長株。クレバーな左利きで、センターバックだけでなくボランチもこなすので、どのポジションで使うのがベストなのか判断が難しいくらいです。まだ不動のレギュラーではないですけど、MF高嶺(朋樹)を柏レイソルに出せたのは、中村がいたからではないかなと。将来的に、日本代表の4バックでセンターバックを担っている可能性もゼロではないでしょう」

■関川郁万(鹿島/DF)
生年月日:2000年9月13日(22歳)
体長・体重:182センチ・72キロ
プロ入り:2019年(5年目)
今季成績:17試合・2得点0アシスト
A代表歴:なし

「関川は対人の強さと足もとのテクニックを兼ね備えた現代的なセンターバックです。まだ粗削りで、ビルドアップは狙いすぎて引っ掛けられることもあるとはいえ、チームメイトの植田直通よりも技術は高いです。両足蹴れるし、地上戦も空中戦も強い。相手に振り切られないスピードも持っている。世界では少し小さい部類には入りますけど、昌子源や植田らがいる鹿島で揉まれて成長していると思うし、相方次第で成長するという意味では、海外に行けばさらにたくましくなって、面白い存在になっても不思議ではない。森保(一)監督もきっと代表候補として目星は付けているはずです」

■川﨑颯太(京都/MF)
生年月日:2001年7月20日(21歳)
体長・体重:172センチ・70キロ
プロ入り:2020年(4年目)
今季成績:19試合・1得点0アシスト
A代表歴:2023年3月に招集のみ

「川崎はタックル数でリーグ5位(61)を記録していて、ボール奪取能力は国内でも高いレベル。最初に足を出して取れなくても、2歩目、3歩目と次の足でボールを取りに行けちゃう俊敏性があります。(元フランス代表MFクロード・)マケレレや、(フランス代表MFエンゴロ・)カンテみたいな、1ボランチを任せられるタイプ。遠藤航のほうがパワフルですけど、川崎はアジリティーや独特な間合いでボールを取りますね。パスセンスを磨けば、可能性はさらに広がると思います」

(FOOTBALL ZONE編集部)



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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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