黒田監督が信頼される訳 町田助っ人FWが語る手腕、将来的ビッグクラブへの“青写真”

町田でプレーするエリキ【写真:(C) FCMZ】
町田でプレーするエリキ【写真:(C) FCMZ】

【インタビュー】エリキは黒田監督の高校サッカー界での実績を信頼

 FC町田ゼルビアは、第25節終了時点でJ2リーグの首位を走っている。その原動力となっているのは、リーグトップの14得点を挙げているブラジル人FWのエリキと、今シーズンからクラブの指揮を執っている黒田剛監督だ。

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 黒田監督と言えば、1995年から昨年まで約30年にわたって青森山田高校を率い、同校を全国屈指の名門校に育て上げた。2005年には高校総体(インターハイ)で優勝を果たすと、16年にはJFAプレミアリーグEASTとJFAプレミアリーグチャンピオンシップ優勝、全国高校サッカー選手権大会を優勝。18年にも全国高校サッカー選手権を制すなど、数々のタイトルを獲得してきた。元日本代表MF柴崎岳、現在はFC東京に所属するMF松木玖生をはじめ、数多くのJリーガーを輩出している。

 とはいえ、プロの世界で指揮を執るのは初めてのこと。高校サッカー上がりの指導者が通用するのかと、懐疑的な目で見る向きも少なくなかった。だが、エリキは最初から不安はなかったという。

「自分が日本で再び挑戦をするという目標を決めた時に、監督の情報もいろいろ聞きましたが、全く心配はしていませんでした。高校サッカーで素晴らしい成績を残して、数々のタイトルを獲得していること、素晴らしい選手を輩出してきていると聞いていたからです。選手たちを成長させてくれると感じていました。これまで私は、ポルトガル代表やブラジル代表、日本でもジュビロ磐田の監督を務めた経験を持つルイス・フェリペ・スコラーリ監督をはじめ、非常にいい、経験豊富な素晴らしい監督の下でプレーする機会に恵まれました。ルイス・フェリペ・スコラーリ監督と仕事をしたように、今回も経験豊富で素晴らしい黒田監督と仕事ができることを誇りに思います」

 実際に仕事をするなかで、その予想は間違っていなかったとエリキは言う。

「黒田監督は、プロでは初めての采配になりますが、ここまで素晴らしい仕事をされています。それは、チームの成績が物語っていますよね。そして、選手たちも非常に成長しています。今後も、この監督とともに、自分の持っている能力、クリエイティブさをチームのために出していきたい。そして、これまでの歴史をリスペクトしながら、この先に素晴らしい歴史を築くために能力を発揮していきたいと思っています。このFC町田ゼルビアの将来を信じてこれからも戦っていきたいですし、チームメイトからも多くのことを学びながら、成長していきたい」

FC町田ゼルビアは「正しい道を進んでいる」

 そして、「ただ、サッカーというのは、移り変わりの激しいスポーツです。黒田監督をリスペクトしていますし、素晴らしい選手を育成していますが、シーズンは長くてまだ続きます。今後もいい結果を得て、みんなで監督と協力をして、プロ初采配のシーズンを素晴らしいものにしたいと思います」と、大事なのはシーズン途中での結果や評価ではなく、最終的な結果になることを強調した。

 25試合でリーグトップタイの14得点という数字を見ても分かるように、エリキはJ2に収まるストライカーではない。「これまでのキャリアでは、すべてのクラブが1部リーグに所属しているクラブでした。ブラジル時代にタイトルを獲ったこともありますし、横浜FM時代にもタイトルを獲っています。中国では優勝はできませんでしたが、能力を発揮して、個人的には結果を出せたと思っています」と、エリキ自身も言う。

 キャリアで初の2部リーグ挑戦だが、「この挑戦に立ち会えることを幸せに思っています。すべての瞬間が特別ですし、自分はまだ28歳で若いと思っているので、もっともっとレベルアップができると信じています」と、カテゴリーを問わずに成長ができると自信を見せた。

 それでも今シーズン、チーム、そしてクラブが目指すのはJ2優勝、そしてJ1昇格だ。

「FC町田ゼルビアは本当に正しい道を歩んでいると思いますし、自分たちの目標を達成するのは、クラブがビッグクラブになるために必要な要素です。このクラブの歴史にしっかり自分の名前を刻めるようにしたいですね。FC東京の試合が味の素スタジアムで行われると、そのたびに『KING OF TOKYO』と偉大な(ブラジル人FW)アマラオ選手の横断幕が掲げられていますが、私の綴りもERIKと最後がKなので、『ERIKING(エリキング)』と呼ばれるような活躍ができたらいいですね(笑)」

[プロフィール]
エリキ/1994年7月18日生まれ、ブラジル出身。ゴイアス―パルメイラス―アトレチコ・ミネイロ―パルメイラス―ボタフォゴ―パルメイラス(いずれもブラジル)→横浜FM―長春亜泰(中国)―町田。J1通算41試合21得点、J2通算25試合14得点。スピード、ドリブル、優れたゴール嗅覚を武器とする万能型FW。これまで対戦した中で最も衝撃を受けた選手はブラジル代表FWネイマール、元ブラジル代表FWロナウジーニョ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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