玉田圭司が選ぶJ歴代レフティー11傑 現役の日本人プレーヤーが2人…元バルサ助っ人は「キックの音が違った」

左から中村俊輔、西川周作、パトリック・エムボマ、名波浩【写真:Getty Images】
左から中村俊輔、西川周作、パトリック・エムボマ、名波浩【写真:Getty Images】

【専門家の目|玉田圭司】Jリーグを沸かせた左利き11人を厳選

 1993年に開幕したJリーグは5月15日に30周年を迎える。「FOOTBALL ZONE」ではこの節目に合わせて特集を展開。ここではかつて名古屋グランパスなどで活躍した元日本代表FW玉田圭司氏に自身と同じ左利きという条件の下、Jリーグ歴代のレフティー11人を選出してもらった。(取材・構成=橋本 啓・FOOTBALL ZONE編集部)

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■パトリック・エムボマ(FW/元カメルーン代表)
所属Jクラブ:ガンバ大阪、東京ヴェルディ、ヴィッセル神戸

 抜群の破壊力があり、誰にも真似できないプレーが一番の魅力でした。伝説となったリフティングボレー弾にしても衝撃的でしたよね。スタジアムを沸かせてくれる助っ人だったなと、改めて思います。プレーでファンの心を掴めるプレーヤーだったという印象で、やはりこの11人には外せません。

■中村俊輔(MF/元日本代表)
所属Jクラブ:横浜マリノス/横浜F・マリノス、ジュビロ磐田、横浜FC

 日本代表メンバーに選ばれた際、世界基準のキックを間近で見れたのは幸せでしたね。居残り練習も欠かさずこなしていて、キックの質を高めながら感覚を確かめていたのかなと。とにかくキックへのこだわりは凄かったです。

■名波 浩(MF/元日本代表)
所属Jクラブ:ジュビロ磐田、セレッソ大阪、東京ヴェルディ

 現役時代の名波さんには「ボールを持たせると何かを起こせる」という印象がありました。あのような選手が1人いるだけでチームも強くなるだろうなと。中盤のパス捌きに関して言うとおそらく、ボールを受ける前から頭の中でしっかりとビジョンが描かれていたんじゃないかなと思うので、それを現役時代に一度は共有してみたかったです。

■藤本淳吾(MF/元日本代表)
所属Jクラブ:清水エスパルス、名古屋グランパス、横浜F・マリノス、ガンバ大阪、京都サンガF.C.、SC相模原

 名古屋グランパス時代、一緒にやっていてものすごく感覚が合う選手でした。名波さんと同じようにボールを受ける前からビジョンが描かれていて、なおかつ周りに気を遣える。どのタイミングでボールが欲しいのかを常に考えていたんじゃないかと思います。そういう選手がいるとFWとしてもやりやすいですし、気持ちよくプレーできますよね。

■モネール(DF/アルゼンチン出身)
所属Jクラブ:横浜フリューゲルス

 小学校の時、フリューゲルスの選手がサッカースクールに来てくれたんです。その中にモネールさんも来てくれて気さくに話しかけてくれたり、優秀賞の景品としてグッズを貰ったりしたんですよね。それがすごく印象に残っています。その思い出があるので、ここに選ばせてもらいました。プレーはもちろん、やはりそのキャラクターに魅了されましたね。

ディアスの左足シュートに驚き「あんな正確にゴールを決められるんだと」

■西川周作(GK/浦和レッズ在籍)
所属Jクラブ:大分トリニータ、サンフレッチェ広島、浦和

 ゴールキーパーとしてトップレベルの実力を見せつけてきたなか、年齢的にベテランの域になってた今、より進化してきた印象もあります。キックフィードやセービングといった高度な技術は何より素晴らしい。西川選手のようなゴールキーパーは貴重な存在なので、若い選手がそれを学んで“第2の西川”と言われるような選手が出てきて欲しいです。

■フリスト・ストイチコフ(FW/元ブルガリア代表)
所属Jクラブ:柏レイソル

 プロ入り直後のルーキー時代、間近で接して衝撃を受けました。キック1つにしても、ほかの人と音が違うんですよ。大袈裟ではなく、倍くらいの音がして。FCバルセロナ時代にバロンドールを受賞した名手なだけあるなと。練習に遅刻したり、キャンプに遅れて合流したりするんですけど、それでもしっかり結果を残す。プロとしての振る舞いは褒められないんですけど、当時若かったので「カッコイイな」と魅力的に映っていました。

■家長昭博(MF/川崎フロンターレ在籍)
所属Jクラブ:ガンバ大阪、大分トリニータ、セレッソ大阪、大宮アルディージャ、川崎

 一言で言うと、独特ですよね。技術がしっかりあって、走る時は走るし、頭のいい選手だと思います。年齢を重ねてプレースタイルをアップデートしてきた姿が、それを物語っていますよね。家長選手のような異質な選手がチームにいると魅力を感じますし、「次はどういうプレーをするんだろう」って思わせてくれる選手はなかなかいない。現役として長くプレーし続けられている1つの理由は、まさにそこでしょう。

■三都主アレサンドロ(MF/元日本代表)
所属Jクラブ:清水エスパルス、浦和レッズ、名古屋グランパス、栃木SC、FC岐阜

 実力の高さはもちろん、キャラクターがすごく良くてプライベートでも仲が良かったです。2006年のドイツ・ワールドカップのブラジル戦で僕がゴールできたのは、彼のアシストのおかげでもありました。今でもこの得点シーンはメディアなどで持ち上げてくれることがあるので、僕にとってはまさに恩人。あの得点シーンに関しては「ここに来るだろう」というのが直感で分かったんです。そういう意味でも信頼関係の中で生まれたゴールだったと思います。

■レオナルド(MF/元ブラジル代表)
所属Jクラブ:鹿島アントラーズ

 1994年のワールドカップで優勝したブラジル代表の一員で、その直後にJリーグにやって来た助っ人としてはドゥンガさんやジーニョさんなどもいたなか、ひと際輝いてましたね。とにかくプレーが華麗でゴールやアシスト、そのほかのプレーで沸かせていたので、レオナルドだけでも観る価値はあったと思います。ルックス面も人気がありましたし、歴代のレフティー11人には外せませんね。

■ラモン・ディアス(FW/元アルゼンチン代表)
所属Jクラブ:横浜マリノス

 左足のシュートには驚きしかなかったです。あんな正確にゴールを決められるんだと。強引にシュートするのではなく、カーブをかけながらゴールの隅のほうへ綺麗に決める。当時、それを真似しようと練習したのを覚えてます。シュートというのは、誰かに教わるのではなく、自分で形作っていくものだと思っていたんです。そんななか、同じ左利きのディアスさんを見て、「こうやってシュートって打つんだ」っていうのから始まったんですよね。それまではインステップで思い切り打つだけだったんですが、カーブをかけて隅のほうに決める形はそこから学びました。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退。23年4月より昌平高校サッカー部(埼玉)のコーチに就任した。

(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)



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