U-20日本代表、必見タレント7人 松木玖生だけじゃない…03ジャパン期待の逸材厳選

U-20日本代表に選出された若者たちに注目【写真:Getty Images】
U-20日本代表に選出された若者たちに注目【写真:Getty Images】

【識者コラム】MF松木玖生以外の必見タレント7人をピックアップ

 冨樫剛一監督が率いる“03ジャパン”は世界の切符、さらに優勝を目指して、ウズベキスタンで行われるU-20アジアカップに挑む。最も注目を集めるのはキャプテンにも指名されたMF松木玖生(FC東京)だが、大会での活躍はもちろん、ここからの成長次第でパリ五輪、さらにA代表を狙っていけるタレントは多くいる。今回は筆者の目線で必見タレント7人をピックアップした。

■北野颯太(FW/セレッソ大阪)

 今大会に臨むチームのエースナンバー10を背負う。昨シーズンは高校生Jリーガーとなり、今年の開幕戦はスタメン出場を果たすなど、2004年生まれながら松木に次いでJ1実績があるストライカーだ。チームの勝利のために守備を含めたタスクを怠るつもりはないとしながらも「どの試合もゴール狙ってるし、アジアの大会も全部決めるつもりでいる」と語る。アカデミーの先輩であるMF南野拓実(ASモナコ)は同世代の“スーパーエース”と呼ばれたが、当時の大会で4試合4得点を記録しながらアジアを突破できなかった。北野は”03ジャパンのスーパーエース”として世界の舞台に立てるか。

■横山歩夢(MF/サガン鳥栖)

 昨シーズンはJ3の松本山雅FCで11得点を記録し、03ジャパンでは練習試合などで結果を残し、北野と並ぶエース候補に名乗りを挙げた。新天地の鳥栖では左サイドを主戦場としており、今回もMFとして招集されたが、目標は大会得点王だ。爆発的なスピードと鋭利なドリブルを武器としており、ミドルレンジからのシュート力もある。横山が左サイドに回ることでFW坂本一彩、北野、MF甲田英將など、個の突破力があるファンタスティックなアタッカーが並び立つことに。「自分はアシストもできるよっていうところを見せていきたい」と横山。まずはU-20で世界を目指すが、無論、大目標は松本時代の恩師である名波浩コーチの待つA代表だ。

■田中隼人(DF/柏レイソル)

 左利きの大型センターバック。守備の強さはもちろん、ビルドアップでも非凡な才能を見せる。「相手のプレッシャーが強いほうがいい」と語るとおり、ハイプレスを全く苦にしないボール捌きで組み立てることができ、隙があれば鋭い縦パスを前線に差し込む。DF山根陸とともに副キャプテンを任されたように、鬼メンタルでチームを支える。今大会のメンバー入りを果たしたDF諏訪間幸成のような同世代のDFはもちろん、C大阪DF西尾隆矢など1つ上の世代をライバル視しており、アジアでしっかりと世界を掴んで、柏でのレギュラー奪取に挑む。

父親は全日プロレスラー、横浜FMアカデミー出身DFの守備にも注目

■坂本一彩(FW/ファジアーノ岡山)

 MF堂安律(フライブルク)などを輩出したガンバ大阪のアカデミー出身で、鋭利なドリブルと研ぎ澄まされたフィニッシュを繰り出す。J2開幕戦でジュビロ磐田から見事なゴールを決め、岡山の3点目にも絡んだ。所属クラブからはMF佐野航大とともに招集されており、木山隆之監督も「正直、2人が抜けるのは痛い」と語っていた。それを伝えると坂本は「そう言ってもらえるのはありがたいです。代表で結果を残すことで、自分の良さをアピールしたい」と答えてくれた。アジアの舞台で大きく成長して帰ることが、J1昇格を目指すチームへの還元になる。

■山根 陸(MF/横浜F・マリノス)

 高度なスキルと戦術眼を備えるプレーメーカー。1次予選ではキャプテンを担ったが、今回は副キャプテンとして松木を補佐する。冨樫監督は「一歩引いたなかで俯瞰して、自分が何をしなければいけないのかを、しっかりとリーダーシップを取ってやれる」と信頼を置く。昨シーズンはリーグ戦11試合に出場して、J1優勝を経験。常に落ち着いており、中盤で繰り出す長短のパスはもちろん、柔軟なゲームコントロールでもチームを支え、良いリズムをもたらせる選手だ。

■諏訪間幸成(DF/筑波大学)

 横浜FMのアカデミー出身で「強みは対人です」と自信を持って答える。父親はフィニッシュ技「ラストライド」などで知られる全日プロレスラーの諏訪魔で、ジャンルは違っても1つの道を極める“人生の師”を「尊敬しています」と語る。ポジションは違うが、大学の先輩であり、プレミアリーグで活躍するMF三笘薫(ブライトン)も目標とする1人。副キャプテンのDF田中隼人を「ずっと刺激にしてきた」と言うように、個人の守備で強さを発揮するだけでなく、ディフェンスラインから覇気でチームを盛り立てる。

■甲田英將(MF/名古屋グランパス)

 ファンタジーを感じさるサイドアタッカーであり、主に右サイドを担う。本人も自負するとおり、左右の足を駆使したドリブルを武器とする。松木とともに、パリ五輪を目指す代表チームに“飛び級”で選ばれたこともある逸材だが、怪我で復帰に時間がかかってしまった。しかし、甲田は「そこでフィジカルが鍛えられた」と前向き。名古屋の先輩で、カタール・ワールドカップに出場したMF相馬勇紀(カーザ・ピアAC)からも学んだという縦の突破力と豊富なアイデアを生かして決定的な仕事につなげられるか。

 そのほか気鋭の左利きドリブラーであるMF永長鷹虎(川崎フロンターレ)やJリーグの争奪戦も予想される俊敏なサイドアタッカーMF熊取谷一星(明治大学)、横山と1、2を争う俊足を誇るDF屋敷優成(大分トリニータ)、左サイドから多彩に攻め上がるDF髙橋仁胡(FCバルセロナ)、松木の同僚でもある屈強な大型ストライカーFW熊田直紀(FC東京)など、楽しみなタレントが集まっている。

 この大会で世界の切符(ベスト4以上)を勝ち取り、アジア王者になることはもちろん、国際舞台での成長を所属チームでの活躍につなげてもらいたい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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