今シーズンJ1展望、玉田圭司が予想する“大本命”は? 注目選手も明かす「僕はすごく好き」

昨季優勝争いを演じた川崎と横浜FM【写真:徳原隆元】
昨季優勝争いを演じた川崎と横浜FM【写真:徳原隆元】

【専門家の目|玉田圭司】拮抗すると予想も横浜FM、川崎は「少し抜けている」と指摘

 2023年シーズンのJリーグが開幕したなか、「FOOTBALL ZONE」では30周年を迎えた今シーズンを特集。現役時代、柏レイソルや名古屋グランパス、セレッソ大阪などで活躍した元日本代表FW玉田圭司氏に、今シーズンのJ1優勝争いを予想してもらった。(取材・構成=河合 拓)

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 30年目を迎えたJリーグについて、玉田氏は「世界と比べて、上位と下位の差がないというか、どの試合も拮抗した試合ができています。ちょっと抜けているチームがあるくらいで、ものすごく飛び抜けたチーム、ビッグクラブというものはない。それが良いのか悪いのかは分かりませんが、それは1つの魅力かなと思います」と語った。

 実際、開幕戦でも湘南ベルマーレがサガン鳥栖に5-1で大勝した試合を含め、3試合が2点差以上だったが、残りの6試合は1点差、ないしは引き分けという結果となっている。逆に言えば、Jリーグは予想が非常に難しいリーグということになるが、優勝争いをしそうなクラブを挙げてもらった。

「金曜日の試合を見させてもらって、マリノスとフロンターレは、やっぱり少し抜けているのかなと感じました」と、いきなり開幕戦で激突することとなった昨季優勝の横浜F・マリノスと2位の川崎フロンターレを挙げた。

 両チームは、主力選手が今オフに移籍。横浜FMは昨年のMVPとなったMF岩田智輝がスコットランド1部セルティックへ、同じく2019年のMVPであるMF仲川輝人もFC東京に新天地を求めている。玉田氏は、彼らの移籍が戦力ダウンになることを認めつつも、影響は最小限に抑えられると分析した。

「マリノスは、1人、2人の個人に固執したチームではなく、ある程度チーム力や総合力でカバーができるようなサッカーができています。もちろん2人の不在は影響があると思いますが、そこまでグッと落ちることもないと思うし、ある程度、安定した戦い方ができると思います。開幕戦も、試合内容的にはフロンターレのほうが良かったかもしれませんが、そこを勝ち切る力も示せたので、上位には必ず行くと思います」

 一方の川崎では、カタール・ワールドカップ(W杯)の日本代表にも選ばれ、2大会連続16強進出に貢献したDF谷口彰悟がカタール1部アル・ラーヤンへ移籍した。「この影響は大きい」と玉田氏は言う。

「センターバックの軸が抜けるというのは、本当に大きいと思います。チームに欠かせない選手であったので、そこが抜けた時の対応は、鬼木達監督は結構、難しいと思います。そこに関しても、新たな選手を補強するというより、チームの中にいる選手で補おうとしていると思います。実際に開幕戦では、DF車屋紳太郎選手が3バックに入りました。そのため、大崩れはしないかなと思いましたが、昨年に続いて開幕戦で負傷してしまったので、それはちょっと痛いかもしれません」

今季、C大阪に復帰した香川真司【写真:Getty Images】
今季、C大阪に復帰した香川真司【写真:Getty Images】

昨季躍進の広島の安定感を評価、古巣C大阪は復帰の香川にも期待

 神奈川の2チームを中心とした優勝争いを予想する玉田氏は、さらに昨シーズン3位となりルヴァンカップ(杯)で優勝、天皇杯も準優勝したサンフレッチェ広島、そして元日本代表MF香川真司の復帰でも話題を呼んだセレッソ大阪もここに加わる展開を予想した。

「広島は昨年、一番どの大会でも安定していました。ミヒャエル・スキッベ監督の1年目でしたが、若い選手も成長してきていますし、複数の大会で優勝争いの経験もしています。結果の面でも表れているので、今シーズンも上位に来ると思いますし、楽しみです」

 また、C大阪については「古巣ということで期待も込めて」と言い、「いい新人選手もいますし、外国人選手も入れ替わりましたが、MFレオ・セアラ(横浜FMから加入)、MFジョルディ・クルークス(アビスパ福岡から加入)といったJリーグを経験している選手たちで、武器を持っている選手たちなので、彼らがチームに噛み合えば、どこにとっても手強い相手になると思いますし、結果を残してくれれば、勝ち点も積み重ねられると思います」と分析した。

 そして、開幕戦のアルビレックス新潟戦(2-2)に途中出場して、ゴールにも絡んだ香川については、「人とは違う能力を持っている選手で、ヴィッセル神戸の(アンドレス・)イニエスタ選手のように、1つのプレーで状況を変えるプレーができる選手なので、そういうプレーに期待したいですね。1人で2,3人を抜いてシュートを決めるという選手ではないと思うので、そういうなかで得点、アシスト以外のところに注目したいですね」と期待を寄せた。

 4チームの優勝争いを予想した玉田氏は、開幕戦を終えた段階での大本命は「横浜F・マリノス」と、連覇を予想するとともに、その理由を説明している。

「開幕戦で川崎に勝ったこともありますが、軸となっている選手、喜田(拓也)選手も健在です。それと僕はエウベル選手がすごく好きで。彼が1年間、稼働し続けることができれば得点王もあるんじゃないかと思っています」と、スピード豊かなブラジル人ストライカーの爆発を予想した。

 横浜FMが連覇を果たせば、03年、04年以来、2度目のこととなる。2人のリーグMVP選手が抜けたチームが、玉田氏の予想通りに再び頂点に立つことになるのだろうか。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退した。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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