【独占インタビュー】プレミアで活躍する三笘のプレーはFW目線で「ありがたい」

「FOOTBALL ZONE」ではJリーグ開幕特集を組み、日本で2年目を迎えたデンマーク人FWキャスパー・ユンカーを直撃。今シーズン、名古屋グランパスに浦和レッズから期限付き移籍したユンカーは、昨年開催されたカタール・ワールドカップ（W杯）で日本代表の試合も見たという。同大会で活躍し、今や世界最高峰と言われるイングランド1部プレミアリーグで主役の1人を担っているMF三笘薫について、「自分の特徴を出そうと意識してプレーしているのが分かる」と感想を語っている。（取材・文＝轡田哲朗／全3回の3回目）

　　　◇　　　◇　　　◇

　ユンカーは2021年春の登録ウインドー最終日にノルウェー1部ボデ・グリムトから浦和に移籍。左利きのストライカーは前線で存在感を放ち、公式戦32試合で16ゴールと得点力を発揮した。昨季は負傷がちで苦しいシーズンにもなったが、AFCチャンピオンズリーグ（ACL）では準決勝の全北現代（韓国）戦で1点ビハインドの延長戦終了間際に起死回生の同点ゴールを奪う勝負強さを見せつけた。

「非常に素晴らしいパフォーマンスだったと思うし、ドイツやスペインという世界の強豪に勝ったのも非常に素晴らしい」とカタールW杯における日本代表の戦いぶりについて話すユンカー。「それだけ日本のサッカーのレベルが上がっている証拠だろう。それはJリーグも含めてだと思う。そういった成長しているリーグで自分がプレーしていることも意義深い」と語り、Jリーグでプレーすることにも改めて思うところがあったようだ。

　そのうえで、「アーセナルの冨安や、フランクフルトの鎌田」と、DF冨安健洋やMF鎌田大地の名前を挙げたあとに「特に三笘ですよね」と、現在イングランド1部プレミアリーグのブライトンで大活躍しているアタッカーに言及した。

「最近のパフォーマンスを見ても世界で一番のプレミアリーグで活躍しているのは凄いことだし、印象に残ったことでもあります。もちろん一緒にプレーしてみたい選手だし、ああやってサイドで1対1を仕掛けていってドリブルで突破してクロスやチャンスメイクをできるのはストライカーにとってありがたい。そういう選手とプレーできるのなら素晴らしいと思う」

　ただし、ユンカーにとって三笘を評価する理由はJリーグで2年間プレーしたうえで、日本人選手に「同調意識が強いと思う」という印象を受けたからこそのことだと話す。

「例えば、三笘はピッチ内では自分の特徴を出そうと意識してプレーしているのが分かりますよね。それをゴールやアシストによって得点に結びつけられていると思う。そういう態度や特徴が日本のサッカー選手には求められていると思う。特に欧州でプレーしたい、あるいは日本サッカーのレベルを上げていこうと思うのであれば」

　欧州からやってきたストライカーは、Jリーグでプレーしたからこそ得た実感や日本サッカーのレベル向上、あるいは欧州に進出して行ける選手の条件も熱く語っている。そのなかで、三笘は見習うべきメンタリティーの持ち主だと映っているようだ。

[プロフィール]
キャスパー・ユンカー／1994年3月5日生まれ、デンマーク出身。ラナース―FCフレゼリシア―ラナース―オーフスGF―ACホーセンス（すべてデンマーク）―スターベクIF（ノルウェー）―ACホーセンス（デンマーク）―FKボデ／グリムト（ノルウェー）―浦和―名古屋。J1通算42試合16得点。周りの選手と連係しながらボックス内へ侵入し、ゴールを量産する左利きの長身ストライカー。献身的な前線からの守備も対戦相手にとっては脅威となる。うどんやラーメンを愛し、オフの日には有名スポットにも出没するなど、日本の地に溶け込んでいる。