柏が新戦力5人起用の積極姿勢 ちばぎん杯で敗戦も…指揮官がトライする4バックの“意図”とは?

第27回のちばぎん杯は千葉に軍配【写真:Getty Images】
第27回のちばぎん杯は千葉に軍配【写真:Getty Images】

恒例の大会で千葉に2-3と敗戦も得た収穫

 J1柏レイソルは開幕戦を1週間前に控えた2月12日に、J2のジェフ千葉と恒例の第27回ちばぎんカップ(杯)を戦い、2-3で敗れた。プレシーズンマッチとはいえ、タイトルの懸かったホームゲームで敗れたことは褒められないが、スタメンに5人の新戦力を起用するなど、意欲的なチャレンジは前向きな評価できる。

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 失点は全て柏側のミスが原因で、もちろんそれを引き起こした千葉のプレッシャーも見事だったが、ネルシーニョ監督も特に前半は「我々が狙っていた選手間の距離感がうまく定まらなかった」と振り返る。

 やはりトレーニングと試合では勝手が違うこともあり、ここで出た問題を改善していけばいい話だが、4バックに取り組んでいる影響も多少あるだろう。昨シーズンは3バックをメインに戦っていたが、4バックに変更して取り組む理由をネルシーニョ監督は「クリエイティブな選手を多く生かしたい」と説明する。

 昨シーズンはスタートダッシュに成功し、一時は優勝争いに加わるところまで躍進した。しかし、後半戦はマテウス・サヴィオと細谷真大のラインを封じられるなど、相手の対策を上回れず、終盤に失速を経験。結局、前半戦の”貯金”がものを言う形で7位フィニッシュとなったが、ネルシーニョ監督は43得点、44失点で得失点差が「-1」に終わった事実を認めており、さらに上位に行くためのプランをもとに、強化部とも共有したという。

 その甲斐あって山田康太、仙頭啓矢、高嶺朋樹といったタレントが入り、中盤の構成は充実した。昨シーズンに関して「相手からしてみればマテウス・サヴィオを潰せばうちの攻撃を封じられると思っていたはず」と語るネルシーニョ監督は中盤から前にクリエイティブな選手を増やすことで、相手の的を絞らせない狙いがある。

 実際、ちばぎん杯でも柏の2得点は厚みのある仕掛けから生まれたもの。ミスパスにつながったビルドアップ面など、明白な課題はあるが、我慢強く伸ばしていけば、個人のタレント力を活かしながら、昨年よりも多彩な攻撃が見られる期待は高い。ネルシーニョ監督は相手や状況によって3バックをオプションとして使う可能性を示唆したが、基本的には4バックで戦っていくプランが固まっているようだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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