今年からセンターバックへコンバート、大津の守備を束ねる存在に

　2大会連続のベスト4進出を果たした大津（熊本）の守備を束ねるのが186センチの2年生長身センターバック（CB）碇明日麻だ。CBでプレーするようになったのは今年度からで、ルーキーだった昨年度はボランチなどでプレーし、攻撃的な選手として名門・大津の中で存在感を放っていた。だが、今年からチ―ム事情でCBに起用された。

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「最初はボランチでやりたいなという気持ちはありました。でも、ポジションがこうやって固定されたことで、CBとしての責任感は日に日に増しています。CBとしてどうすれば相手が嫌がるか、どうすれば対応できるのかを考えるようになりました」

　碇の持ち味はキックの精度と足もとの技術で、広い視野からテンポの良いパス出しをするだけではなく、前線に駆け上がっていくスピード、ゴール前での落ち着きを持ち、ゴールを生み出すこともできる。それをCBにポジションを移しても生かしつつ、今年の1年間で守備力を身に付けた。もちろん失敗はいくつもあった。FWやボランチと違ってミスがそのまま失点に直結してしまうCBのポジションだけに、リスク管理の重要性やボールを奪い切る、ゴールを守り切ることの難しさを学んだ。

　今大会では初戦で浜松開誠館（静岡）の強力な攻撃陣の前に苦しんだが、最小失点で抑えたことで試合終了間際の劇的な同点弾につながり、PK戦では自らもきっちりと決めて勝利に貢献。3回戦の日本文理（新潟）戦では完封勝利し、準々決勝の日体大柏（千葉）戦ではJ1柏レイソル入り内定のFWオウイエ・ウイリアムと真っ向からマッチアップ。激しい空中戦とセカンドボールの回収からのカウンターの起点として存在感を放った。0-0で迎えたPK戦では初戦同様に3人目としてきっちりと決めた。

「まだ相手FWに背負われてしまったり、足が出せないところもあるので、そこは課題として受け止めながら試合の中でどんどんチャレンジをして行きたい」

　今年11月のカタール・ワールドカップで母校の先輩であるDF谷口彰悟が日本代表のCBとして活躍。谷口もボランチからCBにコンバートした選手。先輩として、同じ境遇を辿ったお手本として、碇は大きな刺激を受けた。

「スペイン戦で相手の攻撃に対して最後まで粘り強い守備を見せたなかでも、縦パスは狙い続ける。この意識は大事だと思いました」

　偉大な先輩でも成し遂げていない大津初の全国制覇に貢献するために、彼はこの1年間の学びを国立でぶつける。