「ミトマをベタ褒めしたよ」 ブライトン三笘に大喝采、サッカー発祥国で異例の注目度…英国での“リアル評”とは

元スコットランド代表MFが三笘を絶賛 「W杯で活躍できる」

「とにかくもうミトマをベタ褒めしたよ。でも、あの活躍だとそうするしかない。最高だ。本当にエキサイティングな選手だ。ワールドカップ(W杯)が楽しみだね。絶対に活躍できるよ」

 10月29日、ブライトンのホームで行われたチェルシー戦のハーフタイムに筆者にそう話しかけてきたのは、1980年代のスコットランド代表MFで、チェルシーやエバートンでプレー経験もある往年の名選手パット・ネヴィン氏だった。

 現在、英公共放送「BBC」のラジオで解説を務める同氏とは、セルティックの取材を通して知り合いに。以後、年齢も近いこともあり、現場で会えば親しく話をする間柄になっていた。ネヴィン氏は心から興奮した様子で、さらにこう続けた。

「あのトリッキーなドリブルは魅力だ。切り返しが速くて、相手が幻惑される。1人でチャンスを切り開く力がある。本当に希少価値のある選手だ」

 振り返ればこのチェルシー戦、三笘が先発したこと自体がそもそも驚きだった。10月14日のブレントフォード戦で右足を負傷したからだ。ロベルト・デ・ゼルビ監督は当初「10日から15日で治る怪我」と発言していたが、15日で間に合った三笘を強豪チェルシー戦に送り出したのは意外だった。しかも先発。おまけにグレアム・ポッター監督を“略奪”した因縁の相手ときた。まさしく、ブライトンにとってはビッグマッチ。今季加入したばかりの選手を抜擢するには舞台が大きすぎる。

 さらにフォーメーションにも驚かされた。今季、ブライトンがそれまで採用していたのは3-4-3。確かにこの試合で敵将となって帰ってきたポッター監督が作ったシステムではあったが、デ・ゼルビ監督はここで突如として4-2-3-1を選択した。リバプール戦でハットトリックを達成したベルギー代表FWレアンドロ・トロサールを1トップに据えて、トップ下に元イングランド代表MFアダム・ララーナ、そして三笘を2列目の左サイドに置いた。

 3-4-3の場合、最前列の左サイドはトロサールのポジション。三笘はこれまで、その1枚下で左に開き、守備の負担も大きいウイングバックの控えとしてプレーしていた。

 しかも、同点もしくは点が欲しい場面での起用が目立ち、その際はトロサールがトップ下に動き、三笘はウイングバックとしてはかなり前目でプレーした。

 この形で結果が出たのが、10月1日に行われたリバプールとのアウェー戦の後半38分だった。2-3の1点ビハインドの場面で左サイドを上がった三笘がクロスを送り、トロサールのハットトリックとなる3点目を演出。チームにとってアウェーでの貴重な勝ち点1に貢献している。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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