“救世主”闘莉王が名古屋19戦ぶり勝利に不敵な笑み いまだ降格危機も「この状況は嫌いじゃない」

10カ月間のブランクをはね返し、復帰初戦で19戦ぶりの勝利に貢献

 名古屋グランパスの元日本代表DF田中マルクス闘莉王が、10日の敵地アルビレックス新潟戦で電撃復帰後、初先発を果たした。リーグ戦18試合白星なしで年間16位とJ2降格圏に沈んでいたチームの最終ラインに入った闘将は、絶妙なコーチングと鼓舞によってチームを奮い立たせ、前半29分の先制弾も“演出”。10カ月間のブランクをはね返して1-0勝利をもたらした男は、試合後に「厳しい状況は変わらない。こういう状況は嫌いじゃない」と不敵に闘志を燃やしていた。

「試合前はすごくドキドキ。自分としては初めての公式戦のような、不安と緊張感を持って入って、神様がこの勝利を与えてくれたもの。まだまだ自分ができることは限られているけども、久しぶりに試合をして、生きている感じがした」

 闘将は復帰初戦で、値千金の勝ち星を手にした充実感から満面の笑みを浮かべた。この日は最終ラインを引き締めるだけでなく、前半29分には先制弾を“演出”している。MF田口泰士の右CKに闘莉王が飛び込むと、相手の長身FW指宿洋史をブロックする形になり、闘将の目の前に入り込んだFW川又堅碁が値千金のゴール。復帰したばかりの4番が、この日唯一の得点に関与した。

 昨年限りで契約満了となった闘莉王は、Jリーグ発足当時の「オリジナル10」の一角である古巣の降格危機に立ち上がった。故郷ブラジルで2つの農場やガソリンスタンドを経営する傍ら、自主トレに励んでいた男は、クラブ幹部とジュロブスキー監督からの謝罪とともに復帰要請の連絡を受けた。すると男気に溢れる闘将は、「引き受けざるを得なかった」と9月に長女が出産予定の夫人の反対を押し切り、日本へと向かった。

 

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