なぜ政界の道へ進んだのか 34歳元Jリーガーが山口市議会議員として誓う“恩返し”

サッカーのため、山口のために環境を整備していく覚悟だ【写真:本人提供】
サッカーのため、山口のために環境を整備していく覚悟だ【写真:本人提供】

「教育」「観光」「ひとり親家庭の支援」を公約の3本柱として掲げる

 鳥養は選挙活動中から、「教育」「観光」「ひとり親家庭の支援」を公約の3本柱として掲げてきた。サッカー選手としての経験だけでなく、自身が片親で育ったことや2人の子供を育てる1人の親としての思いを政治理念に反映させた。現実問題としては投票率の向上をはじめ、道路などインフラ整備など市民の生活に直結する問題に1つ1つ向き合っていく必要はあるが、鳥養は「これは自分の得意分野以外のことにも取り組んでいける」と前向きに捉えている。

「体力があって、フットワークが軽いのが自分の強み。特に政治に関して、自分はまだまだ真っ白なキャンバスです。これからどんな色にも染められる。スポーツしかやってこなかったからといって、スポーツばかりのことをやるわけではなく、さまざまな分野に挑戦していきたいです」

 ゆくゆくは育ててくれたサッカー界に貢献したいという気持ちもある。1つ1つは小さなことでも、サッカーのため、山口のためを思うアクションが子供たちの明るい未来につながることを信じている。

「1月に政治活動を始めるとリリースを出した時にヤフーニュースに載って、山口市という小さな街のことなのに『こんなに注目されるんだ』と驚きました。でも、それと同時に少しでも話題になることが山口に貢献できるツールの1つであると思ったんです。自分が選挙に出て、いろいろな人が『まったく興味がなかったけど、鳥養さんがいるから政治に少しずつ興味が湧いてきた』と言ってくれるのがすごく嬉しかった。自分は選手の時からサポーターと距離が近い選手だったと自負しています。市議会議員の中でも市民と一番近い存在であり続けたいと思っています。

 そして、自分がサッカー選手を目指したいと思えたのは、やっぱりJリーグの発足があったからこそ。実現するまでにいろいろなクラブ、いろいろな選手や監督が力を尽くしてくれたから、自分も含めた多くの子どもに夢や希望が与えられた。選手とは違う立場になりましたけど、今度は表舞台からではなく裏側から子供たちが夢を持てるための環境を作っていきたいです」

(文中敬称略)

[プロフィール]
鳥養祐矢(とりかい・ゆうや)/1988年5月11日生まれ、千葉県出身。千葉ユース―千葉クラブ/千葉リザーブズ―SAGAWA SHIGA FC―琉球―山口―琉球。J2通算107試合4得点、J3通算35試合8得点、JFL通算209試合31得点。千葉リザーブズからスタートしたキャリアで、何度も挫折を味わいながら這い上がってプロの道を掴んだ不屈の男。キャプテンを務めた経験を持つなどリーダーシップを生かし、2021年限りでサッカー界を離れ、政界へ転身して活躍を誓う。

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